銀の車(ポエム)
ポエムじゃないかも。
壁に掛かった鍵を取る。
鍵に付いたリングを指にはめクルクルと回す。
その姿はまるで西部劇に出てくるガンマンのよう。
すると鍵はさながらバントライン・スペシャル。
赤い靴を履いて、家を飛び出すと10歩進んで振り返る。
今、弾丸が鍵穴を銃創に変えた。
撃たれた車は観念してドアを開く。
乗り込む私はシンデレラ。
かぼちゃの馬車はガソリン車。
もう一度銃に頼る時、銀の車は悲鳴を上げた。
右手は窓のハンドルを。左手はカセットいしだあゆみ。
頭出しB面、ブルーライトヨコハマが流れ出す。
開いた窓からいなせな風も流れ込む。
今日もドライブ、アクセル半開。
時速40kmの私が荒野を駆ける。
街は慌ただしく、歌を唄う。
車も慌ただしく、歌を唄う。
曲名はヨコハマ。タテではなくヨコハマ。
走る車はサニー、私の気分もサニー、天気はサニー。
昼にネオンはないけれど、色はカラフル、アゲハ蝶。
町を抜けて海に出る。
いつの間にか風に潮の匂いが混じっていた。
カセットは既にA面、砂漠のような東京で。
ここは海。水に困らない、潮の海。
目的のお店はもうすぐだ。
銀の車は走り出す。
信号を躱して次の信号へ。
おいどけジジイ、はよ渡れ。
渡る世間は鬼ばかり。
ようやく見えた湘南江ノ島海岸沿いのお店。
着いたお店は定休日。
A面ラストは美しい別れ。
さあ、帰ろう。




