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この世界は機械に犯されました【ボツ、打ち切り】5/5

サブタイトル:稀によく来る侵入者

 応接間から居間へと移動し、今度はそちらに腰を下ろす。

 とはいえ、畳にちゃぶ台な所からして大した変化はない。

 お茶は無し。


「おにーちゃん、おフトンないよ。どうしよう」


「ケイさん、どうしましょう。このままではわたしは布団もなく床に丸まって寝ることになってしまいます。猫みたいに」


 腰を下ろしてすぐに部屋の案内をしていた妹達が部屋に来た。

 布団の用意で困っているらしい。


 一応親が洗ってから仕舞ったはずだけど、2年だもんな。

 久しく使ってないからダニとか湧いてるかもしれない。


 干せばいいのだが、時間はもう5時を過ぎている。

 いくらなんでも布団を干す時間ではない。

 日光がなければ殺虫もできないし。


「とりあえず掃除機で吸って応急処置だな」


「かなー」


 まだ11歳である妹もこういう話についてこれる。

 祖父母が居なくなって、両親も居なくなって、おれが家事をするようになり、妹も手伝うようになった為だ。

 ありがたいことだ。

 おれの教育がよかったのかな? なんて。


「ふむ、ダニか。そういうことなら密閉出来る袋はあるかい? 布団が入るほどに大きいやつがいい」


「100リットルのビニールの袋ならあると思うけど」


 神が――。

 いや、もうわだかまりはないからサクリと呼ぶか。


 サクリに何か妙案があるらしい。

 昔じーちゃんが落ち葉とかのゴミを集めるのに使った、大きすぎるビニール袋を渡す。


「あとは風呂を沸かしてくれ。布団をビニールに入れて、風呂に浮かべておけば虫は死ぬ。そしたら掃除機とやらで吸えばいい」


「知恵袋か」


「おばーちゃんみたい」


「うちのお母さんですら知らなそうなおば知識です。おばーちゃん知識です」


 思わず妹らがおばーちゃんって言ってしまうほどババくさい知識が飛び出てきた。

 はたして本当に神の口から出ていい知識だろうか。

 おれ達はもどかしい気持ちでいっぱいになった。



「……じゃあおれは風呂の用意をしてくるわ」


「あたしはレファちゃんのお部屋の掃除するー」


 そういえば、さっきは神棚騒動で掃除が途中だったな。

 妹がしてくれるなら任せよう。

 重いものを運んだりするわけでもないし。


「ならボクは神棚の片付けをしようか。本意ではないとはいえ世話になるのだからね」


 サクリも自分の仕事を見つけて動き出す。


「わたしはゲームでもして時間を潰してますね」


「(きっ!)」


「(ビクゥ)」


 メヌエットはやることがないと寂しそうな様子だったので、ひと睨みしたら那由の所で逃げていった。



◆◆◆



 布団をビニール袋に入れ風呂に浮かべること15分。

 ダニとかの虫は死んだかな? と思ったところで掃除機で吸う。

 俗に言うお日様の匂いはしなかったが、何となく綺麗になった気がするので二階のメヌエットの部屋に運ぶ。


 二人は携帯用のゲーム機で遊んでいた。

 那由の持っていないゲーム機だということは、必然的にメヌエットが同じ機体を二つ持っていたことになる。


「お前、寂しいゲーマーだったんだな……」


 おれは哀れんだ。


「ち、違うんです。これは……」


「これは?」


「これは……………………お姉ちゃんのです」


 明らかに嘘だった。

 おれは哀れんだ。


「そうか……おれは下で飯の準備をするから遊んでていいぞ。那由も今日は手伝い要らないから」


「はーい」


「せめてなじってくださいぃぃぃい」


「レファちゃん続きしよ?」


 妹はマイペースだ。




「サクリ、神棚はどうなった?」


 ついでとばかりにサクリの方の様子も見る。

 なんだか主夫になった気分だ。

 けっして間違いではないが。


「片付けたよ。欠片も落ちてないから、踏んで怪我をすることもないと思う」


「そか、助かる。それでこれから飯を作るけど、実際どうするんだ?」


「先ほども言ったけど食事は取らなくて平気だよ」


「わかった」


 取らなくて平気。

 という言い方なら多分普通に食べることもできるんだろう。

 多めに作っておいて、その時また食べるかどうか聞くことにしよう。


 メヌエットの買ってきた食材はジャガイモ、人参、玉ねぎ、豚肉だった。

 カレーを作れと言わんばかりの食材だ。

 メヌエットの中ではカレーは豚肉なんだな。


 ちなみにうちでは鶏肉だ。

 なぜなら味がさっぱりしていて余った時に飽きにくいから。

 数日間まるまるカレーとかになってしまった時には豚肉とか牛肉は重たい。

 ただし、今日からは4人になるので消費も早く、余ることはなくなるだろう。

 サクリ次第なところもあるが。





 そういうわけで今日はバジルの香り漂うポークソテーを作った。

 ズッキーニとプチトマトを添えて。

 あとは副菜を少々。飲み物はほうじ茶。


 古い茶葉を煎ってほうじ茶にする方法をサクリに聞き、その通りにやったら普通に出来た。

 ババくさい知恵袋は健在だ。


「あれ? 思ってたのと違います!」


「ボクも一緒だなんて、気を使わせてしまったみたいだね」


 居間に食事を運び、4人でテーブルを囲む。

 和室なのでローテーブルだが、普通に皆正座なりあぐらを組んで座っている。


 結局サクリも食べることになった。

 遠慮はしていたのだが、妹が寂しいとダダをこねて折れたようだ。

 この件に関してはおれも賛成だったので文句はない。

 食費もまあへそくりで臨時収入を得たし当分は大丈夫だろう。


「あたしきゅうり嫌い」


「きゅうりじゃない、ズッキーニだ。きゅうりと違って栄養はあるから少しでも食べなさい」


「食べれないならボクが貰おう。代わりにどれでも持って行くといい」


「こらそこ、甘やかさない」


 サクリが妙な親切心を出したのでたしなめる。

 好き嫌いがあるのはしょうがないが、甘やかすのもよくない。

 それにちゃんと那由の分は少なめにしておいた。


「ケイさんが作ったとは思えないおしゃれ料理ですね」


「お前がおれの何を知っている」


 今日あったばかりなのに、既にがさつなイメージが出来上がっているようでげんなりした。


 おれだって2年も料理をしているんだ、それなりに上達位する。

 自分の分だけじゃなくて妹の分もあるし。

 それにまあ、料理はそこそこに好きだ。

 趣味とまではいかないが。


「あ、おいしいです」


「それはよかった」


「あたしきゅうり嫌い」


「ズッキーニだから」


「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」


「サクリはあれな。随分よく噛んで食べるのな」


 つーか噛みすぎだろ。

 一口30回噛むのを実践してる奴初めて見たぞ。


 おれや妹は当然として、サクリもメヌエットも味に不満はないようだ。

 メヌエットの方はまあどうでもいいとして、サクリの方は正直自信なかったが申し分ないようでよかった。

 神の味覚とか未知の領域だからな。


 ほうじ茶を飲む。まずい。

 だいたいほうじ茶とか緑茶とか若者向けの味じゃないし。

 妹にあれだけ言った手前、口には出さないけど。

 明日なんか買いに行かないと。


「かみさま、ご飯の後でまたゲームしよ」


「なんだ3人でやってたのか」


 さっきは2人でやっていたようだがサクリも混ざって3人でやっていたらしい。

 ゲーム機が3機あったかどうかは聞かないことにしよう。メヌエットの名誉の為に。


「ああ、『げ・え・む』? とやらに誘われてね」


「なんで片言なんだよ。さっきコンクリとかラスボスとか、普通に言ってただろ」


 ほとんど無表情だから冗談なのかどうなのかわからん。

 だいたい神もボケるのか?


「神様はよわっちいので一緒にやってて楽しいです。なゆちゃんは結構強いので気が抜けません」


「お前、けっこう性格悪いのな」


「ケイさんもあんまり得意じゃなさそうですよね。ケイさんも一緒にやりましょうよ」


「泣かすぞ。4人でやるならおれの部屋にCS機があるから、居間に持ってくるか」


 そんなこんなで食事の時間もわりかし楽しくすぎていった。



◆◆◆



 ゲームも程々に、風呂にも入って就寝どき。10時頃。

 何となく来る予感はしていた。


 ――コンコン


「おにーちゃん?」


 木製の引き戸をすーっと開けて入ってきたのは妹だ。

 多分来るだろうなとは思っていたので、布団を軽く持ち上げて誘いこむ。


「おじゃましまーす」


 妹は嬉しいことがあったり、悲しいことがあったりすると割りとこうやって部屋に来る。

 両親がいた頃は何かあっても一人で寝ていたので、やはり寂しいのだろう。


 ということは今日は――。


「なんだか急におうちが賑やかになったね」


 そういうことなんだろうな。


「嬉しいのか?」


「うん」


「二人ともお前が拾ってきたんだけどな」


「そうなんだけど。そうなのかな?」


「難しいところだ」


 メヌエットに関しては妹が拾ってきたんだが、居候になるとまでは思わなかっただろうし。

 サクリに関しては完全に事故だ。まさか、へそくりを取ろうとしたら神様出てくるなんて想像もつかない。


「おにーちゃんとかみさまって仲直りしたの?」


「した。少なくともいがみ合うようなことはもうないだろ」


 両親の帰還もなんとかしてくれるらしいし。

 そもそも蹴ったり投げられたりで大分ほぐれたような気がする。


 こういう時自分を男だな、と思う。

 川べりで決闘とまではいかないが、一度喧嘩をすると割りとどうでもよくなってしまう。

 まあ、それでも台所で話をするまではわだかまりがあったが。


「おにーちゃん、いきなりかみさまに飛びかかるからびっくりした」


 おれの覚えてる限り驚いてる様子はなかったが驚いていたらしい。

 その言葉に驚いたわ。


「かみさまが怒ったらどうしようかと思っちゃったよ」


「相手にもされなかったけどな」


 実際に神様を怒らせたら下るのは神罰だ。おれ死ぬわ。


「もうケンカしない?」


「多分しない」


「うん、よかった」


 妹が身を寄せてくる。


 季節は3月も終わる頃で、まだ夜は寒い。最低気温は一桁だ。

 子供は体温が高いとか聞くが、たしかに妹の身体は温かい。


「サクリの方は主張はするけど物静かな性格で、メヌエットの方は賑やかすぎる性格だったな」


「おにーちゃんはどっちが好きなの?」


「女子脳、怖い」


 今日あったばかりだぞ二人共。

 もうそっちの話かよ。恋愛脳怖いわ。

 いや、那由はれっきとした女子なんだが。

 学校でもそんな話ばっかりなのかね? 小学生でも。


 話を戻そう。


「サクリの方は色が白すぎるし、ちょっと敬遠気味だな」


 一応表情もあるっぽいけどほとんど動かなくて、人形っぽすぎるというかなんというか。

 慣れるにはまだ時間がかかりそうだ。


「じゃあレファちゃん?」


「メヌエットは胸でかいよな」


「おっきいよね」


 巨乳ではないが、豊かって感じだ。

 何かあると揺れる。おれはそれを八方目で見る。win-win。


「いやらしいことしたい」


 おれは妹に向かって何を言っているんだ。


「だよね」


 賛同されてしまった。


「お手伝いするね」


「うむ」


 協力までしてくれるらしい。

 ラッキースケベの確率が上がった。

 最低な兄妹だ。



「お前の方はどうなんだ? クラスに好きな男とかいないのか?」


 今は春休みだからクラスとかないのか。

 いや、6年に上がるときにクラス替えはないはずだから5年の時と同じ編成になるのか。


「んーん、いない。クラスの男子ってかっこよくないし」


「そうなのか。ませてんな」


「おにーちゃんはかっこいいよね」


「かっこいいとはまた違うだろ。友達からネタにされる程の女顔だし」


「そうかなー。かっこいいと思うけど」


 っていうかお前も割りとおれに似た顔してるのに、いいのか? それで。

 アレか? 女の憧れる「かっこいい女性」的な。

 どっちにしても自画自賛じゃねーか。


「おにーちゃん。お腹カチカチして」


「ほらよ」


 言われるままに腹筋に力を入れる。

 何が楽しいのかわからんが堅い腹を触るのが好きらしい、この妹は。


「おにーちゃんって、太ってないのに筋肉あるよね」


「元からある程度あったけど、ここでまた筋トレとかしたからな」

 

 細くはあるが、それなりに筋肉はある。

 ガリマッチョという程でもないが、腹筋も割れてる。


 この顔でガタイが良かったらちょっと気持ち悪いからまあいいが、もうちょっと男らしい身体が欲しかったなと思う。

 整った顔に生んでもらいながら男らしさが欲しいとか贅沢だとは思うが。


「狩り、行くんだよね」


「とりあえず明日、行ってみようかと思ってる。それでダメだったらなんか別の仕事でも探すつもりだ」


「あたしもついてっていい?」


「ならもう寝るぞ」


「はーい、おやすみなさーい」


「おやすみ」


 電気を消すと、妹は更に身を寄せてきた。

 おれはその背中をあやす様に撫でる。


 正直、妹と寝るのは思ったよりも暑苦しかったが、我慢した。




残念ながらこの話はここで終わりです。

ちゃんとした連載をしようと思ったんですが、どうにも勢いとか楽しそう度が足りずに断念。

ゲームの攻略にはチートもいいけど攻略本もいいよね。って感じになればよかったんですが。


次は頑張る。

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