憂鬱な1日
ここ最近ずっと雨が降っている。それに、日付が進むごとに夏に一歩ずつ近づいてゆく。
何が言いたいのか簡潔に述べると、じっとりとした蒸し暑い日が続いているのだ。
しかし博麗神社の主、博麗霊夢は毎日の日課「縁側でお茶を飲む」をこなしていた。
だが、こんな天気が毎日続くと折角のお茶がまずくなってしまう。それだけは、なんとしても避けなければならなかった。最低でも、この蒸し暑さだけは紛らわしたかった。
「この前みたいに氷精が通らないかしら。」
と、呟く。つい一週間ほど前、偶々神社の前を通った氷精を拉致したのだった。霊夢はその氷精を冷房みたいにこき使っていたのである。だが、3日前に昼寝をしていた間に脱走されてしまった。いくらその氷精が馬鹿とは言っても、最恐とも言える恐怖を味わったばかりである。しばらくは博麗神社に寄り付かないだろう。そうなると、暑さをしのぐ術が無くなったも同然である。
「あづい.......紫に頼んで暑さと寒さの境界を曖昧にしてもらおうかしら。」
と、物騒なことを考えながらもお茶を飲む。
そこに、歓迎されない客人が来た。真っ黒い魔女の服を着た金髪の少女、魔理沙だ。手には何か変な機械を持っている。
「霊夢、河童に面白い物を作ってもらったぜ。」
と、持ってきた変な機械を自信満々に見せる。
「何よこれ。」
霊夢の目には、やはりプロペラのついた変な機械にしか見えない。
「これはな、扇風機って外界で呼ばれてる機械だ。この蒸し暑い日とオサラバできる素敵アイテムだぜ。」
と、言い扇風機と呼んだ物のボタンを押す。
すると、プロペラが回り風が起きるではないか。風は生ぬるいが、無風よりいい。扇風機の風に当たりながら
「河童の技術もすごいわね。どっから取り入れたのかしら。」
「扇風機自体は、香霧堂から借りてきた。でも壊れてたからな、河童に直してもらったんだぜ。」
などと、会話をしていると、扇風機がガタガタと音を立て始めた。
「ありゃ、こわれたかな?」
「元々壊れてたんでしょ。無理して使ったのがまずかったのかしら」
なんて言い争いをしているうちに、音がどんどん大きくなってゆく。そして最後には、ボンッ!という音と黒煙を吐き出して完全に止まった。
「完璧に壊れたな。折角いい納涼術だったのになぁ。」
魔理沙の言葉には、さぞかし残念そうな響きがあった。一方、霊夢は
「動きなさいよ、暑いじゃないの。」
と、獅子奮闘していた。
「霊夢、諦めろ。それ以上すると、流石にやばい感じがするぜ。」
「うるさいわね、まだ動くはずよ。ここをこうして....ほら動いた。」
確かに扇風機は動き出したのだが....黒煙をあげ、なっている音はガタガタなどと優しい音ではなくギギギという音になっていた。常人ならば真っ先に耳を塞ぎたくなる音である。しかし、そんな重労働に耐えきれなかったのか、さっきの三倍くらいの大きさでボンッ!といい、爆発した。その後、霊夢の絶叫が幻想郷中に木霊したのは、言うまでもない。
こんにちは。毎度毎度、こんな面白くない小説を読んでいただきありがとうございます。東方プロジェクト二次創作第二弾です。この前はシリアスで書いたので今回はほのぼのにしてみました。あまり得意では無いのですがどうだったでしょうか。これからも頑張りますので、今後もよろしくお願いします。