第一章 第三話 扉を開けばそこは異世界
いやーやって来ちゃいましたねぇ~輝く太陽!白い砂浜に青い海!ここはどこぞのリゾート地と見まごうばかりっ
今僕は異世界に来ております。
どうやって来たのかって?うーん、これ信じてもらえるとはとても思えないんだけど、我が家には異世界に通じる扉があってね。望むならばいつでもその扉を開いて異世界に旅立つことができるんだ。
蒸し暑い空気に強烈な日差し、緑の濃厚な香りに混じって排気ガスが漂ってくる。
うるさい蝉の鳴き声にエンジンの駆動音がこだまする。真夏の海っていうのは観光客が多いもんだから車が渋滞してるんだよ。
はぁ、人が多いのは苦手だしそもそもこの騒音がつらい、やはり防音仕様になっている我が部屋にもどってネトゲか漫画か小説でも読んでた方がなんぼかマシだったか?
まぁとりあえず、クーラーの効いた部屋で今後のプランでも考えますか。あーかき氷でも食べるかなぁシロップはイチゴ練乳で。
僕の異世界探検はとりあえず一歩踏み出しただけで踵を返し、玄関というゲートをくぐる。
人類にとってどうでもいい一歩でも僕にとっては偉大な一歩だ。
そもそも僕にとっての世界というのはこの自分がいる部屋の8畳がすべてであり、その部屋から出れば中立地帯であるリビングにつながる廊下があり、さらにその先にはゲートという名の玄関があり、そこから異世界へとつながっているのだ。
でも、僕はこの世界の狭さに耐えられなくなってきているんだ。なんていうかとても息苦しい。
僕は焦燥感を感じていた。なんというか檻にに閉じこめられている感覚というものだろう。常にイライラと不安が交互におそってくる感じがするんだ。
僕は生を実感できない、すべてが夢のような感覚で過ごす日々、ここから抜け出さなくては、その思いだけが先走り冷静ではいられない。
だから、僕は旅にでなくちゃいけないんだ。そして、僕は探さなければならない。自分がいられる世界、そして僕が生まれた意味を、納得ができる答えを。
しかし、車を売っている場所まで行くのはおっくうだなぁ、ネットで購入して家までもってきてもらうか。