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第一章 二話 旅立ちは計画的に

いつの頃からだろう。自分が他の人と違うのではないか?と自覚していたのは。

他の人が楽しいこと、面白いと思うこと、つらいこと悲しいこと、そういったことに全く興味がわかず、心動かされることがなかった。

 

 いまならなぜそうだったのか答えられる気がする。

 

 生まれた瞬間から気づいていたんだろう。僕にとってこの世界は異世界だと。


 多分転生というやつなんだろう。輪廻の輪から外れたのか、それとも必然だったのか。前世の記憶なんてものは全く引き継いではいないけれど、見るもの触れるもの全てが、違和感に包まれていた。

 

 だからきっと僕は異世界から転生してこの世界にやってきたに違いない。

 

 なにか証拠があるのかって?


 そんなものないよ、僕がそう思い込んでるだけかもしれないね。でも、人は信じたいものしか信じない生き物だし、僕が仮に前世の世界の記憶を引き継いでいたとしてもそれは変わらないだろう。

 いかに自分が真実を話していたとしても、最初から嘘を言っていると思われればそれまでだし、それに力説したところで何の意味もないことだと思うよ。


 実際この世界の人間だって宇宙人だの地底人だの動物が化けてるだの、逸話には事欠かない。僕が異世界から転生してきた異世界人であると同様に、目の前の人間が別の惑星からやってきてるなんて言われたところで彼らが色々な品物を用意したり、消えてみせたりしたところで、そんなのトリックだと言われてしまえばそれまでだしね。 


 結局のところ自分が何者なのかなんて、他人にわかってもらう必要も義務も全くないって話なんだ。

 でも、それでも僕は証明したい。自分が何者であったのか。だから旅に出るのさ。


「旅に必要なものはなにか?」

 そう尋ねられて即答できるのは旅慣れた人なんだろうなぁ、僕は旅なんてしたことないから、なにが正解なんてさっぱりわかんない。でも、全くわかんないわけじゃないんだよ?


 僕が最初に思いついたのは「地図」だ。

 だって、自分が今どこにいてどこに行こうとしているのか、それがわからないなんて不安じゃない?

 もちろん「方位磁石」もあるに越したことはないよね!

 でもでも、別に山に行くわけじゃないし、街をあるいていくのだって旅と同じだと思うんだよね。

 じゃあ~「お金!」これは間違いないでしょ、どんな場所だって金さえあればどうにかなんとかなるもんだ!

 しかし、だからといってこの答えじゃロマンが無い様な気がしない?


 そりゃあ、大富豪の金持ち旅行みたいに飛行機でファーストクラス?とかいう席に座ってのんびりお酒でも飲んでたら目的地につきました。そこで豪遊して帰りました。っていう話を聞かされて楽しくなるんだろうか?


 僕はそんな旅はできないし、したいとも思わない。だって人に話してもただの自慢話にしかならないじゃんw

 

 やっぱり旅といえば自分の身ひとつでいくもんじゃないかな?

 しかし、そこは現代っこである僕にとってはハードルが高すぎるよね。

 

 何を持っていったらいいのかわからない、でもお金にあかせた旅なんてつまんない、じゃあどうすればいい?


 まぁ答えはもう出てるんだけどね・・・そう!キャンピングカーなのであります!

 まさに逆転の発想、何がいるのか分からなければ、すべてを持っていけばいいんじゃないの?

 まさに僕のための装備といえるだろうね!

 いやー僕は昔からかたつむりとか、やどかりとかすごいなーって思ってたんだよね。

 家ごと移動すれば家から出るいうことをしなくていいんだよ?

 

 すごいねーまさに彼らは究極のひきこもりと言えるんじゃない?

 

 僕はひきこもりの大先輩として彼らを崇拝しているんだ!


 ん?僕?ああ引きこもってるね。いやいやこれでもまだだいぶよくなった方なんだよ。


 なにせ家に来るお客さんには会えるようになったからね!(えっへん)


 ああ、このまえのおじいさんね、あれ、お母さんが色々連れてくるんだよ。カウンセラーとかお医者さんとかはずいぶん前に来たっきりさじを投げたっぽいんだけど・・・

 僕の引き込もり体質をどうにかしようといろいろ試してくれてるみたい。

 怪しげな占い師やら武術家やらを連れてきては色々誘ってくれてたんだけどね・・・

 ついには常に外にいる旅人まで連れてきちゃった。


 いやー発想の転換って恐ろしいよねーきっと僕のこの思考回路も親譲りだね。


   

 それでもまぁ、家ごと移動できるって言うんなら別に外の世界を見るのも悪くないんじゃないかって思ったのは事実だよ。


 幸い外にでなくてもお金を稼ぐ方法っていうのがあるのが現代だからね、仕事をしながらでも十分旅をすることも出来るんじゃないかなって思ってはいるのさ~


 家ごと移動して、世界を感じつつ、仕事をこなし、見聞を広めることができるなんて、まさにパーフェクトヒキコモラーっていう新しい分野に目覚めちゃったりして?


 すごい、すごいよ僕、まさにヤドカリライフだね!

 究極的には背中に家をくっつけて旅ができるに越したことはないんだけど。さすがにそこまでやると僕がモンスターだよね?


 まぁ、妄想にふけるのも楽しいんだけど、もうちょっと具体的な計画を立てないとね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 計画を大雑把に書くとまずは、僕の故郷の世界に帰る。次に、キャンピングカーを購入する。そして、いろんな土地を見て回る。ってところだ。

 

 異世界に渡る方法についてはそれほど心配はしていない。この世界はいろんな異界につながっているゲートも多いし、召喚や転生は日常、神と呼ばれる高位次元体も存在するし、過去・現在・未来までもつなげてしまう時空ワープ航法なんていうのもある。最近の一番の流行は肉体だけこの世界において、魂だけ異世界に飛ばすという方法、いわゆるVRMMOだ、僕もやってみたけれど違和感が余計ひどくなっただけだった。今後進化すれば適合できる世界もあるだろうけど、元からの異世界人には2度の異界渡りは負担になるようだ。

 僕の場合は前にいた世界に帰るだけだからそれほど難しくはない。実家に帰るようなものだしね。


 さてさて、そっから先は出たとこ勝負!

 

 

 

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