プロローグ
どうも、勢いで書いてみました。ぼちぼち更新していきたいと思っています。
2015年 4月6日(月) 午後7時20分
岡山県小田郡美星町 美星スペースガードセンター(BSGC)
この施設は、地球に衝突する可能性のある小惑星・彗星などの発見・監視を行うための施設である。
施設内にある口径1mの大型光学望遠鏡により、地球に接近する小惑星などを観測している。
その観測室内で如柏司郎は眠気と格闘していた。
理由は、ほぼ毎日毎日、観測室内で画面を見つめているだけだからである。
如柏司郎は観測室内を見渡した。
同じ室内には他にも同僚5人がいる。
その5人の科学者たちも、やはり画面と向き合っていた。
眠気覚ましにと、如柏は冷蔵庫から缶コーヒーを取り出して、一気に飲み干す。
口の中に広がるほろ苦い味で眠気を払拭させると、またもや画面を見る。
毎日地球には大量の隕石が落ちてくるのだが、ほぼ大気圏内にて燃え尽きてしまう。
最近では、ロシアのチェリャビンスク州で起きた隕石落下が有名だろう。
これは幸いも、地上には落下しなかったものの、空中で爆発し、衝撃波によって多くの人が負傷したことは記憶に新しい。
そう。隕石というものは恐ろしいモノなのである。
太古の昔、地球を支配していた恐竜を全滅させるほどの威力を持っているのである。
だが、燃え尽きずに地球上に落下することは稀であるため、こうして画面に映る多くの情報の中から、地球に激突の恐れがある隕石を見つけることは滅多にない。
毎日毎日同じ画面を見続けているのは退屈だ。
暇つぶしにテレビでも見たい気分になるが、やはり万が一、地球に隕石が向かって来ていたらと思うとサボるということはできない。
冷蔵庫からもう1つ缶コーヒーを取り出して、また椅子に座る。
缶の蓋を開けて、ほろ苦い液体を口に含もうとした瞬間、突如けたたましい警報音が鳴った。
如柏は思わず手に持っていた缶コーヒーを床に落としてしまう。
だがそんなことも気にせずに、慌てて画面モニターに目をやると、そこには警告 メッセージがズラリと流れていた。
「みんな慌てるな! まず誤検知かどうか確認するんだ!」
如柏はこの場にいる他の科学者たちにそう命令すると、他のモニターをチェックしていた1人の若い科学者がこう言った。
「確認しましたが、誤検知ではないようです! また、故障でもないようです!」
「なるほど、分かった」
誤検知でも故障でもないということは、やはり隕石か。
今度は如柏自身の目でモニターに映る情報を読み取ることにした。
「地球に接近してきている隕石の数は、全部で7個か」
如柏がそう呟くと、今度は40代後半である軌道計算の専門家である岸邉敦が1枚の書類を持ってやってきた。
「如柏博士、隕石7つの軌道予測の計算が完了しました。このままですと、今から約10分後に地球表面に激突します」
「隕石の大きさは?」
「隕石の大きさは最小で約1m、最大で10mです」
「何だと!? 最大で10m!?」
「ええ、そうです」
如柏は目を丸くした。
幸いにも人類滅亡級の超大型隕石ではなかったものの、直径10mの隕石が地球に落下した場合、それでも100mのクレーターを作ってしまう。
そんなものがもし、住宅密集地などに落下したらと思うと・・・。
「隕石落下地点は絞り込めているのか!?」
「はい、このままのペースで落下した場合ですが、1つ目はアメリカ、2つ目はブラジル、3つ目はオーストラリア、4つ目はイギリス、5つ目はロシア、6つ目はエジプト、そして7つ目は … 日本に落下すると思われます!」
「その7カ所の内、直径10m規模の隕石落下予測地点は?」
「アメリカ西部 ネバダ州 シエラネバダ山脈付近です」
それを聞いて少し安心する如柏。
直径100mのクレーターを造る隕石は、ひとまず市街地には落下しないようだ。
だが気になることが1つある。
「7つ目の落下地点は、日本だと言ったな? 日本のどこに落下するんだ?」
「東京都 足立区です!」
「何ということだ! 今すぐJAXAに報告するんだ!」