表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/10

2.精霊研究の賢者と旅立ち

 炎が鎮まった後、村人たちは茫然と立ち尽くしていた。


 彼らはリラの力の恐ろしさを目の当たりにした。

 そして、セレスの力によってそれが鎮められた光景に、言葉を失っていた。


 リラはセレスの腕の中で、恐怖と安堵がないまぜになった涙を流していた。


 その時、一人の壮年の男性が静かに二人に近づいてきた。


 彼の名はアウル。各地を旅しながら精霊の存在を研究する賢者だ。

 その顔には深い知性が刻まれ、その目は好奇心と探求心に満ちていた。


「素晴らしい……実に素晴らしい」


 アウルは、リラとセレスの二人を交互に見つめ、感嘆の声を漏らした。


「炎の精霊の加護と水の精霊の加護。相反する二つの力が、互いを打ち消すことなく、調和を保っている。これは偶然ではない……古代の歴史に記された、真なる加護の証だ」


 アウルは、リラの力が未だ覚醒していない「炎の精霊王」の加護である可能性が高いことを語った。

 その真の力を得るためには、火の山の奥深くにあるという「燃え盛る心臓」に辿り着く必要があると説いた。


 精霊王は、かつて人間と精霊が共に生きる時代に交わした契約を今も守り続けており、その場所こそが、その契約の証なのだと。


 リラは、自分の力が「呪い」ではなく「加護」であるという言葉に、戸惑いとともにかすかな希望を感じた。

 そして、何よりも、自分の力を恐れず、受け入れてくれるセレスとアウルの存在が、彼女の心を温かく照らした。


 リラは、村を救うため、そして自分の力を理解し、制御するために、火の山を登る決意をした。


 セレスは、リラの決意を静かに見つめ、告げた。


「僕は、君の旅に同行させてほしい。僕の力は、君の炎と共にあってこそ、本当の意味がある。故郷の町には必ず戻る。でも、今の僕は、君の助けになりたい」


 セレスの町は、彼という水の加護の存在によって守られている。

 彼が町を離れることは、大きな不安を伴うはずだった。


 しかし、セレスは迷うことなく、リラのために旅に出ることを選んだ。


「お二方、準備はよろしいかな?」


 アウルが、二人の絆を確信したかのように尋ねた。


 こうして、リラは初めて自分を信じてくれる存在に出会い、セレスは故郷の町との絆を胸に、リラと共に旅に出ることを選んだ。


 アウルという知恵の導き手を得て、三人の旅が、今、始まった。

 彼らが目指すのは、火の山の頂上にある「燃え盛る心臓」。

 それは、リラの力を覚醒させるだけでなく、彼ら三人の運命を大きく変えることになる、壮大な冒険の始まりだった。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


少しでもリラたちの物語を楽しんでいただけたら嬉しいです。


次回は、三人が最初の試練に挑む場面が描かれる予定です。お楽しみに!


感想やお気に入り登録をいただけると励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ