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出会い3

 近づけばより詳しく家の様子が見えてくる。

まず、周りに人の姿は見えない。家の中にいるのか、はたまたどこかに出かけているのかここからはわからないが、平屋である。しっかりと手入れがしてあるのかしっかりとした佇まい。どうやら空き家の線はないようである。玄関の前にはきれいに刈り込まれ手入れされた…芝生かな? 。その丁寧に手入れされた庭と外地を区分するように背丈ほどの柵が厳重に庭と家を守っているようである。必然的に出入口は玄関から正面の方しかないようでそこにはこれもまた頑丈な門が鎮座している。

(家の造りに比べれば不釣り合いに物々しいな)

家は淡いグレーの壁に青い屋根、木製の玄関扉にところどころに窓が見えるが、周りを囲む策はどうも鉄製で黒一色の装飾はなくがっしりとした、まるで牢屋の檻のような頑丈そうな造り内側に支柱が向いていることから外部からの侵入を防ぐものと見える。

(まあ、こんな森の中だから用心は必要なのかもね。)

さて住人がよい人ならいいのだが、

門のところにたどり着いて俺はインターホンなり何らかの家の中に訪問を知らせるものがないものかと辺りを見てみたが、それらしいものは見当たらない。

(はて?どうしたものか。)

玄関の木戸までは少し距離があるが、まあ、声が届かない距離ではない。

(勝手に入っていくのもよくないしな。)

「すみませ~ん。どなたかいませんか??」 反応がないので、しばらく間を開けてもう一度家に向かって叫ぶ。。

「どなたかいませんか?? 道を尋ねたいのですが。」しばらくすると玄関扉の目の高さ辺りに付いた小さな木窓が内側に開き、どうやら中からこちらを確認しているようだ。

ある程度観察されてのだろうかおもむろに先ほどの木窓が閉じられ、玄関扉があけられてた。

開いた扉から出てきたのは、俺より少し背は低いが遠めでもがっしりとした体つきなのが判る男性だ。

年齢はわかりにくいが俺よりは大分上と思われる。顔立ちは西洋人のそれに近く髪はきれいなシルバー

動きやすそうな軽やかな服を身にまとい腰には剣?を佩いている。

(なんとなく中世ヨーロッパ的な雰囲気。レトロ感はんぱねぇ)なんて考えていると

門から少し距離を置いて立ち止まった彼が口を開いた。

「⁂⁜✓µ⁒૱₯﷼ɠ▶◉∇」

(あ!これ何語だろう?わかんねぇ??)

「Excuse me, I don't know what you are talking about, Can you speak English?」

「⁂⁜✓µ⁒૱₯﷼ɠ▶◉∇」

どうも同じ言葉が繰り返されているようだ。こちらの言葉も通じていないようでこのままではどうしていいかわからない。

何とか身振り手振りでも伝わらないかと思案するも、彼も思案顔である。彼の方もどうも私に伝わらないことが解ったようで、手のひらをこちらに向けて何か言っている。

(おそらく…ちょっと待て?かな)ゼスチャーから見るにそのように取れるのだが文化が違うとゼスチャーそのものも全く違う意味を持って誤解トラブルのもとになると聞いたこともある。

とりあえず、いらない誤解を避けるためには丸腰がいいのだろうという判断で数歩下がって銃を下ろし、荷物を下ろして相手に見えるように山刀も同じように荷物のところに置く。

何も持っていないとアピールするように両手を横にいっぱいに広げてみせる。

が、大事なことを失念していた。

薄い上着の下にはホルスターに入った拳銃が、あったのだが、彼からは見えていないのかわずかにうなづいたように見える。どうもこちらの意図はわかってもらえたようだ。

しかし言葉がわからないと大変だ。何とかならならないものだろうか?ちょっとした意思疎通もこれほどの苦労がかかる。

(もう。神様何とかして・・・)

都合のいい時の神頼み。日本人ならたまーにやってると思うけど、ついこう思っちゃう状況なんだよね。

『なんだって?わたしゃ神様じゃ。』不意に頭に響く声に思わず声に出してしまった。

「昭和のコントかぁ!」俺の突然の大声に門の向こうの彼が驚き一歩下がりながら剣の柄に手をかける。さすがに抜かずにいてくれたようだが、

「しょうわのこんととはなんだ?」

「え!  えぇっ!!」

「だから、しょうわのこんととはなんじゃ!」

「いや。ごめん! えぇ??? わかる! わかる?」

「わからんから聞いとる。しょうわのこんととはなんじゃ?」

「いや昭和のコント…には意味がないから。わすれて」思わず昭和のコントを説明しかけたが、余計に話がややこしくなると思いやめた。そりゃそうでしょ知るわけないし説明できるか!

それより話が言葉が通じとる。なんで???

「まあ、よいじゃろう。それよりお主何者じゃ?おかしな格好しよって。このあたりのものじゃあるまい?」彼は手をかけていた剣から手を放し、そう声をかけてきた。

「どうも失礼しました。混乱しまして。私は、仁多 真 と言います、日本に帰りたいのですが道に迷ってまして、、ここはどこでしょうか?町へはどう行けばよいのでしょうか?」

「そうか。わしはトルバーという。見てのとおりの老人じゃ。お主の質問じゃが、まずここはヴィラムというところでな。町へはあっちの方向に3日も歩けば着くじゃろう。それと にほん というのは聞いたことはないがのぅ?」見ての通りの老人って…服の上から判るくらい鍛えあがっているじゃない。こんな老人見たことないわ。まあそこに突っ込みは入れずに、ヴィラムかぁ?聞いたことないな。地区かなんかの名前だろうかな?

「ヴィラム?ですか。で、なんという国ですか?」

「ん?妙なことを聞く。ここはヴィラムという森じゃ。もう一つ言うなら先ほど教えた町がノルアという町で、ここから一番近いニヤマーシャという国の町の一つじゃ」

「それより。このまま町へ出立してもじきに日暮れじゃ。悪いことは言わん。今日はうちに泊まっていけ。」自称老人はそう言うと門を開けて招き入れてくれた。









お読みいただきありがとうございます。

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