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トルバーさん 3

 トルバーさんに少し近づいたところで下馬する二人

 こちらの動きが分かったのかトルバーさんが俺たちに目を向けて

「あぁ・・仁多さん久しぶりじゃのぉ・・・」と声は発するものの完成している道に気を取られて心ここになしのトルバーさん。

「お久しぶりです。トルバーさん・・・驚かしちゃったようで・・・申し訳ありません。」

 まずは最初にお詫びの言葉を入れておく。どのみち出来ちゃった道がトルバーさんの固まっている原因なんだから・・

「・・ところでこれは何じゃろう?」手は道を指し示したままゆっくりと顔だけこちらに向けて、ぎこちない質問をしてくる。

「すみません。 その・・・馬が通りにくいかもと思いまして草を刈りながら来まして・・・」

 頭を掻きかき何とも言えない表情で返すと、「あぁ…草を刈りながら・・・・」と小声でつぶやく。

「結構コツをつかむとスパッといけるんです。」と、突然楽しげな声でルーアが参戦してくる。

 そんなルーアをキッと睨んで余計なことをと口だけ動かし声に出さずにルーアに伝えると、「あっ」と言う表情でまたもや口を手で覆う。

 が、もう言ってしまったことは引っ込めようがなく・・・

 それでも話題を切り替えようと「トルバーさん?・・こちらルーアです。」とだけ言って、ルーアに続きを促す

「・・えッと・・ ルーアと申します。仁多様のメイドとしてついております。」と半分俺に確認しながらゆっくりと途切れながら言葉を繋ぐ。

「あぁ。ルーア?さんか。仁多さんの・・・メイドじゃと?」どうやら次の驚きを手にしたようで、トルバーさんの道を指し示していた手はルーアに向く。

 と同時に手を向け指し示されたことで一歩後ずさるルーア。

「はい。仁多様のメイドです。」


 トルバーさんが言うには、メイドが主人と同格に乗馬することはこの世界では・・・ないということ。そもそも乗馬の機会など無いのでメイドが乗馬技術を持ち合わせないのが一番の理由のようだが。

 ルーアにはいろいろ仕込んじゃったしね。想力も使えるし、なんなら、馬上筒も撃てますよ?なんて言った日には・・・・です。それは、おいおい。


 そんなことまではなくともちょっと話さんといかんかな?というところで、奥様のルミーズさんが玄関から顔を覗かせる。

「あら!仁多さんじゃないの。久しぶりね。」としたところでトレバーさんに向くと、

「あなたも外で立ち話じゃなくて、お二人に早く家に入ってもらわないと。」と軽くトルバーさんを叱る。ルミーズさんの指摘に慌てて、「おぉ。そうじゃ、入って入って」と慌てて俺たちを家に招き入れようとするが、その前に馬を繋いでおきたいし、プレゼントする馬も紹介しておきたい。

「ルミーズさん。申し訳ないんですが、こちらに来ていただけます?プレゼントがあるんです。」とルミーズさんに声掛けすると、「あら、なにかしら?」って嬉しそうに玄関から出て俺たちの方にやってくる。その途中にトルバーさんを捕まえて。

 ルーアに合図してそのプレゼント馬を連れて来るように促す。

 ルーアが馬に向かっている合間にルミーズさんにルーアの紹介をしておく。

「彼女は、ルーアと申しまして、さる貴族の方から私に付けていただいたメイドです。」

 そのころにはルーアも「トーハ」の手綱を取りこちらに向き直っており、ゆっくりとトーハを曳きながら来る。

「あら?ルーアさんと言うの?よろしくね。こちらトルバーの妻でルミーズです。」

 ほら、あなたもと言わんばかりにトルバーさんを小突くと、トルバーさんも

「あ!名乗っておらなんだか?トルバーじゃ。」と名乗る。

 馬を曳いて俺たちのそばまで来ていたルーアはトルバーさんとルミーズさんに相対すると馬の手綱を持ったまま深く頭を垂れると

「遅くなりました。わたくし、仁多様のメードをさせていただいておりますルーアと申します。」と一気に告げると、いったん私に振り返る。俺が『いいよ』と伝えるとトルバーさん達に向いて、

「こちらの馬は仁多様から、トルバー様ご夫妻への贈答品となります。」とトーハの手綱をトルバーさん達に差し出しながらトーハを紹介する。

 しかしながらルミーズさんもトルバーさんも手綱を受け取らず

「非常にありがたいのですけれど・・」とルミーズさん

「馬一頭でそこそこの財産になることは・・・ご存じ?」と聞いてくる。

「もちろんです。・・いろいろありましてこの馬を含め私達で5頭の馬を所有しております。」正直な話だが、当のルミーズさんは、

「・・・5頭もお持ちで・・」と半分絶句。それでも受け取ってもらいたいのがあり、

「それもいろいろあった結果なのですが、最初に出会ったあなた方が親切にしてくれたお礼です。それがないと俺・・・私もどうなっていたか・・・」そこまで行って順に二人の顔を見つめる。

「ここでの基準も、何もわかりませんがせめてもの私の気持ち何です。是非に・・・」そこまで言うと二人はお互いに目を合わせて頷きあう。

「わかった。 それまで言うのなら受け取ろう。じゃが・・過分な贈り物だということは覚えていてほしいんじゃ。」ご夫婦を代表してトルバーさんがそう応える。

 その様子を見ていたルーアはトルバーさんにトーハの手綱を手渡すと

「こちらの馬は、参考までにトーハと名付けております。」と告げて再び一歩下がる。

 手綱を受け取ったトルバーさんは奥様に向くと、

「・・・じゃそうだが、名を変えるか?」

「トーハでよろしいんでは?」とルミーズさん

「ありがとうございます。」ルーアはメイドらしく?深々とトルバーさん夫妻に礼を終えると、変わって俺が

「末永く宜しくお願いします。」と重ねてお辞儀をする。それに合わせてルーアも再度深々とお辞儀をして贈答式?も終えることができ、家に迎え入れてもらった。




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