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変人の家 2

「だんな!馬はどうしますか?」

 玄関から、兵士の声が聞こえる。気付かなかったが馬小屋有ったっけ?

 そこに気付いて急いで玄関を出てみたが、兵士たちの姿がない。

(ん?どこ行った?)玄関から出て右側に行ってみたが、こちらは来た道の方・・・何もない。

(では、あっちか?)左側に行くために方向転換をすると、話しながら戻って来る兵士が。

「あ!そこにいましたか。」俺の姿をみとめて兵士が声を掛ける。

「あぁすまない。今出てきたところで。で、馬は?」

「この奥に馬小屋が有ったので入れておきました。」兵士は後ろを指さしながらそう言う。

「馬車の馬を、放しておこうと思うんですが、馬車をどこに置くかを聞こうかと。」

「で、その馬車は・・・今?」件の馬車の姿を求めてキョロキョロしていると

「馬小屋の横にとりあえず運んでますが?」よろしいか?と、異論はない。

「ああ。それでいいよ。・・じゃあ馬を放しておいてもらえるかな?」

「わかりました。」二人は俺の返事を聞くと馬の下に踵を返した。


 さて家の中だが、部屋は6室+奥に和室があった。玄関から家の真ん中を縦断するように広めの廊下があり右に3室、左に3室。

 中の造りはどれも一緒だが、奥の2室右と左だけはやや広めでベッドがあるところを見ると寝室として使っていたのか?

 その玄関寄りの左部屋は執務室のよう。さらに玄関側は・・ここは応接室だな。

 右側の寝室の一つ玄関側は・・ここも寝室?客間かな?

 一番玄関寄り右側は・・トイレに風呂か?(え?風呂??それも和風な・・・)

 絶対日本人だ。ここに住んでいた変人とか言うやつ。


 話し合いの結果、俺は左側の寝室を自室とし、ルーアが右の奥寝室を自室とした。開いた部屋はそのまま客間、応接間として使用することとして最奥の和室がリビングルームとなった。

 荷物の量は知れている。あっという間に部屋に運び込むと、兵士たちの出発を見送った。

 兵士たちは一旦、先ほど言っていた集落に赴き馬を調達してから屋敷に帰るとかで、今日のうちには館に戻れるはずと言っていた。


 兵士を見送ってルーアと二人きりになると、ふと寂しさが襲ってくる。これまでは引っ越しで賑やかしていたのがいっぺんにいなくなるだけで少々寂しくなるのは人としての理か。

「さっき、兵士が言っていた集落っていうのが私の村なんです。」誰に言うともなくルーアがつぶやくが当然隣にいる俺には、はっきり聞こえるわけで。

「一度、帰ってみるか?」

「・・・えぇ、・・そうですね。」となぜか歯切れが悪い。

「?どうかした。何か不都合でも・・?」家に帰るのに何か問題でもあるんだろうか?

「いえ。何でもありません。」ふっと顔を上げるとにっこり笑顔を見せてまた片付けに戻る。


「よし!大分片付いたね。」ルーアに声を掛けるとルーアも額の汗をぬぐいながら「そうですね。」と答える。

「で、だ?今日の夕食だけどね。簡単に食べようと思って。・・こいつ。」

 荷物の片づけの時に出しておいたカップラーメンを二つルーアの前に置く。

「なんですか?これ。」知らないから仕方ないよな。トルバーのところで食べた切り。久しぶり。ずっとしまったままで半分忘れていた代物。ただこいつにも消費期限と言うやつがある。

(もっとも、まだまだ先なんだけど)

 今から夕食の準備をするのもありだが、さすがに旅?の後では自分でも気づかないほど疲れているかもしれないし。

「カップラーメン。 お湯を入れるだけで待つこと3分・・・・だったよな。」

 そうそう、たまに4分とかましてや5分とか言うのがあって、3分と思い込んで食べてみたらちょっと固くねぇ?ってこともあったのを思い出した俺慌てて作り方を見てみる。

(うん。3分の奴だ。)

「カップラーメンですか?へぇ~。」俺から一つを取り上げるように手に取ってあっちからこっちから眺めている。

「なんかいっぱい書いてありますね。・・これ文字ですよね?」

 勉強中のルーアでも読めるわけ・・ない。だって日本語だもん。

「そうだけど、これは俺の母国語。この国の言葉とは違うからね。」解らなくても仕方ないよと言いたっかったのだが、

「へぇ~。このかくかくにょろにょろしたのが仁多様の母国語ですか?難しそうですね。」

「そうだね。いろんなのが混じりあってたりするからね。」

 ひらがな、カタカナ、漢字に時によってはアルファベット。漢数字にアラビア数字、ハハ、絵文字もカウントしとくか。

「これを食べるのに、フォークか箸。あとお湯ね。全部あるよね?」

「はい。お湯はすぐ沸かせます。フォークも・・はし?は解らないんですが?」

「いやいや、お湯とフォークがあれば十分。じゃあ沸かすか。」


「いただきます。」二人でカップ麺の蓋を外して、フォークで少しかき混ぜて、一口。

「う~ん。久しぶり。この味」俺が一人で感傷に浸っている間、ルーアは俺の食べる様子を見て、みよう見まねでラーメンを一口すする。

「わあ!すごくおいしいです。なんか不思議な食感・・なのかな?」もぐもぐしながらルーアの感想

「でもちょっと味が濃くないですか?」言われるまで気づかなかったが確かにこの世界の味になれると少々・・いや、ちょっと・・かなり濃くも感じるね。


 食べ終わるともうあとは自分の時間。ルーアも最近は加減が解ってきたようで自分の時間を有効に使い始め、最近はもっぱら勉強の時間となってはいるようだが。

「お風呂が沸きました。」

 ありゃ?ひょっとして時間外に気を遣わせたかな?

「仁多様。お風呂をお使いください。」

「ありがとう。・・じゃあ先に入らせてもらうよ。」

そそくさと着替えを用意して風呂場へ直行


あ~いい湯だった。

風呂上がりにルーアの部屋を通る時に「ルーアも入っちゃってよ。」と声を掛けて自室に戻る。

「ありがとうございます。」とルーアの返事があったから、いずれ入ってくれるだろう。

まあ入浴中とはいえ、共用ルーム(和室)で衣服の前をはだけて「あっつ、あっつ」とバタバタやるわけにもいかず自室でバタバタ体温を下げてから再び共用ルームへ・・行ったからってテレビ見たり、ゲームしたりって時間を潰すものもなし・・・本当現代文明の悪弊に蝕まれてるよね俺の意識。

そもそも、夜になれば何かを燃やすとかしないと明かりすら取れないのがこの世界

そして現実的には、油しかないんだけれど・・・高いのよね。むだ使いはできません。

せめてルーアが上がるまでは起きてい居て、明かりを消さないようにしないと・・仕方ない、必要経費です。





さて、いよいよ変人の家での生活が始まります。

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