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ニヤマーシャ 19

家人が退出するとエレノアさんはさっそく表情を緩め俺に正面のソファーを勧める。

「ありがとうございます。」

「ごめんなさいね。窮屈な感じで申し訳ないけれど。ルーカについてはあなたに付けました。判らないことは彼女に聞けばよいでしょう。」

「はい。そういった意味では助かります。」

俺は言葉を続ける

「非常にありがたいことではありますが、俺はメイドを使ったことがないのでどのように扱えばよいのかわかりません。その辺りを少し教えていただけないかと思い時間を取ってもらいました。」

「あら。あなたの世界にはメイドはいなくって?」

(あー『萌え萌え』なメイドしか知らないけど。…そうは言えないしなぁ。)

「一応、聞いたことがある程度で、少なくとも俺の周りにはメイドを使うような身分の者もなく・・」

「そうでしたか。そこは認識の違いでした。」エレノアさんがメイドについて簡単ながら説明をしてくれる。

それによれば、メイドは文字通り主人の身の回りの世話をするイメージのメイドと大差なかった。

しかし、今回の専属メイドとは、ことさらルーカにとってはもちろん。俺の今後のヴァンス家の中での立場にもよるが、メイドとしての立場として昇格に値する話のようだ。

とりあえず家人には、俺のことは客人として遇すように話しているという。

それは騎士たちにも同じで、俺はあくまでもヴァンス家の客人であって期限付きとはなるが、エレノアさんやエミリー、ヴァンス家の人たちと同等に扱うということである。

もっとも、主人であるアルフレッドが無くなっている今ヴァンス家は二人しかいないのだが…

なので、俺の今後のヴァンス家との関係性如何によってはルーカの出世にもつながる可能性があるということと同時に、その反対もある様なのだが、そこは複雑すぎてイメージできずそんなものなんだと理解するしかなかったのだが。

ただこれらは俺がヴァンス家の者だった場合であって、あくまでも俺は客人。ヴァンス家の人間ではないため、はじめからルーカの出世とは結び付くものではない。それは理解できた。

そこで肝心のメイドとの関係性だが、普段の身の回りはもちろんだが、情報の共有をとりある程度のスケジュール管理もこなすタレントなどにつくマネージャーをイメージした。説明からはこのイメージで間違いなさそうであり俺の場合は特にルーカからこの世界での一般常識なり生活様式なりを学び取れればよいようだ。ルーカはその面に関しては問題ないという。


その後気になっていたエミリーとBPの話を聞いた。

「エミリーもBPと気が合うみたいでいつも一緒。BPもエミリーの下を一刻も離れようとしないのよ。」

エレノアさんはちょっと呆れた様な表情ではあったが、エミリーとBPは上手くコミュニケーションが取れているようだ。(今度本人に会ったら聞いておかないとな。)

「しかし、そこまで気が合うようなら却って自然には帰せないかもしれませんね。」

「とは言っても、BPが大きくなればそうは言ってられなくなるでしょう?」

「ええ。そうですが、エミリーさんとBPの信頼関係が構築されていれば逆に力強い味方になりえるかもしれませんよ。」

(これは俺の推測だけど、おそらく二人?は理解しあえるのではないだろうか?と思っている。)

「まさか!?・・フフッ。それなら頼もしいかもね。」ありえないことと言わんばかりの反応ではあるがBPがただの黒豹ではないかもしれないと俺はにらんでいる。

「まだ時間がありますから、ゆっくりとふたり?の様子を見ておくのも楽しみですね。」

(意外と驚く結果になるかもしれんですよ。)


それからとりとめのない話をエレノアさんとしながら約一時間明日の朝ここを立つことを確認して話を終えた。

外に声を掛けると直ちに家人達が入ってきてそれぞれの立ち位置を求めて配置につく。

ルーカはすぐさま俺のソファの左後ろに、エレノアさんの左後ろについたのはサーヤさんだったっけ?

「それでは私は戻ります。」エレノアさんそのように宣言して席を立つとエレノアさんはゆっくりと頷く。

エレノアさんの動作に合わせるように扉が開かれたので、俺はルーアを伴って自室に向かった。


自室に向かう途中ルーアにちょっと確認をお願い。

「ルーカさん?ここは汗を流す場所はあるのかな?」

「・・汗を流す・・とは、お風呂とかの施設のことでしょうか?」ちょこっと首を傾げながらそう返してくるのだが(くそう。ちょっとかわいいぞ!)

「それもそうなんだが、運動・・訓練のできる場所だな。」

「仁多様は、剣術ですか?弓術ですか?それともほかの??」知らないで当たり前なのに申し訳なさそうに聞き返してくる。

そうなんだ。まだ俺の情報を彼女は全く知らないに等しいのでそこらから共有しておかないと‥‥ということか。

「俺は、剣術も弓術もやらなくて強いて言えば柔術かな?じゃなくて、基礎訓練をやるようなところはないのかな?」

「・・じゅうじゅつですか?・・場所の確認をしておきます。すぐに使われますか?」じゅうじゅつって何だろう?な疑問符がルーアの周りをまわっているのが見えるようだ。

(そりゃそうだろ。この世界に柔術はないと思うが・・)

「そうだね。有る様ならすぐ使いたいね。それにその後のお風呂も。」

「はい。わかりました。確認してご連絡します。」

俺が部屋に着くや否やルーアはさっそく場所の確認に飛び出して行った。・・元気だ。


コンコン

「有りました!すぐ使えます。ご案内します。」駆けこむように部屋に入ってきたルーアは俺の顔を見るなりそう言って扉を開けたままその場で待機している。ちょっと急いだのか、大きく一息ついていた。

「ありがとう。じゃあ、いきますか。」





ルーアと情報共有しないといけません。

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