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ニヤマーシャ 14

 ニヤマーシャに到着して3日目の朝。予定では今日ヴァンス家の迎えの者が到着するはずである。

 俺はいったん後ほど迎えの人たちに紹介されるとかでひとまずは待機。夕刻までは時間があるため、いろいろと気になる事の検証をしてやろうと思い立った。

 それでも何かしながらと思って昨日同様町に出てみたのだが、


 昨日の実験結果はまだエミリーたちと会っていないので確認はできていないが、それ以外にも確認したいことは山ほどある。

『願ったことが現実になる能力』とは何なんだ?

 この世界には、魔法も魔物も存在はしない。と言っていた。

(願うことの第1と言えば、やっぱり「元の世界に戻りたい。」・・・だよな)

 暫く変化を待つが・・・何もない。

(第2は・・「この世界で無敵でいたい。」・・かな?)

 これもしばらく待ったところで・・・検証のしようもないじゃないか。

 確か最初に願ったのは、夜目が効けば・・・だったよな。

 次に、音が聞こえればで夜目が効いたし、音も聞こえてた。

 つまり・・・身体能力に関することってことか?・・・???


 道に転がっていた石頃を指先でひょいと掴む。(・・・例えば、こいつを)

 つまんだ石ころを握りつぶすイメージを浮かべながら指先に力を込めて・・パキッ・・行くと。

(割れた・・・おれ、すげぇ)

 んじゃ、もう少し大きな固そうな奴だと・・近場にあったさっきよりちょっと固そうな石を見つけて

(よっと。)パキッ!

(よし。パワーアップも可能そう。)

「おう、にいちゃんこいつはどうだ?」

「どうかな?やってみるか。」不意に渡されたこぶし大の石ころに思わず挑戦心が湧く。

「はーいっ。」一声気合を入れて五指に力を籠め・・ボンッ!・・る。・・こめる前に割れたか。

「「「「おーっ」」」いつの間にやら俺の周りには人だかり。ぶつぶつ言いながら石を割っていたのを面白がった通行人がいつの間にか集まっていたのだ。

「え!・・ええっ??」

 その予期せぬ人だかりに、ついあたふたしているとギャラリーから声がかかる。

「次は何を見せてくれるんだ?」

「いや。見せもんじゃなく・・って。」と断ろうとしたのだが、ギャラリーの勢いは強く何かもう一つ二つ納得の行けるものを見せなければ収まりがつかないほどの勢いになろうとしつつある。

(ん~。大石でもチョップとかで割ってみるか。)俺は人の頭ほどの石の大きさをイメージして手を広げて

「すみませーん。これくらいの石ありませんか。」ギャラリーはわいのわいのと騒ぎながらも思い思いに足元やら周辺やらに目を配って言われたような大きさの石を探し始める。

「これでい~い?」やや遠くから見つけたぁという女性の声が聞こえる。

 声の主と俺の間の空間がサッと開けて道ができる。(いやいや。すごい一体感。)

 声の主が踏ん張って、両手でようやく膝辺りまで持ち上げている石が視界に入ってきて..

(ほー 理想的な大きさ)

「それで行ってみます。」と声を返すと、すかさず周りの屈強そうな男たちが彼女から石を受け取り俺の下に運んでくる。声の主にお礼の一つも…と、そこには昨日の シホン だった。

「シホンさん。ありがとうございます。こちらに来てください。」

「覚えててくれたんですね。」と笑顔で歩いてきてくれる。

「何かすればいいのかしら?」

「ここで、この石が普通の石で仕掛けなどがないことを確認していただきます。」

 ギャラリーからは、「そりゃそうだな。」とか「俺もやってやるよ。」など様々な声が飛ぶ。が、まず最初にシホンさんが叩いたり、踏みつけたりして試す。

「さっき見つけたそこらにある石だもん。私じゃ何ともならないわ。」と、

「ではほかに試したい方は?」ギャラリーを伺うように視線をぐるりと一巡りさせると、最前列に居た先ほどこの石を運んでくれた隆々男が「・・俺が、やろう。」と手を上げる。

「お?名乗り出てくれました。ではまずお名前を伺っても?」

 まさか名前を聞かれるとは思っていなかったのか、俺の顔をまじまじと見てから

「ホフマンだ。」

「ありがとうございます。では、ホフマンさん。割ってしまっても大丈夫です。思いっきり確かめてください。」

「おうよ!」男はそういうと地面に置いた先ほどの石を溜めもなく拳で一突きにする。

 ーーゴキューー 何とも言えない音が響いたかと思うと石が真っ二つに…割れた。

(あれ?割ってしまったのね。割れないと思ってたのに・・・)

 とたん周りからは「「「「すげー」」」」、「「「「やるじゃねぇか、ホフマン」」」」と声が飛ぶ。

 すっかりホフマンが主役の恰好だ。

 ホフマンも自慢の筋肉を披露しながらギャラリーの声援に応えている。

 そんな中困り顔なのは、俺とシホンさん

(なんか。仕込んでたみたいな結果だね。)と、二人で顔を見合わせては苦笑い。

「いや、想定外でしたよ。まさか割る人がいるとは」との俺の言葉に

「は、は、は」笑うしかないシホンさん。

 で、その後どうなったかって?

 広場ではホフマンさんの筋肉披露に対抗した何人かの男たちが出てきて同じように筋肉を披露

 やいのやいのでうやむやの筋肉披露大会になってしばらく盛り上がっていた様子。

 だってもう俺はせっかくの機会。シホンさんと少し話しませんかとその場を離れたからね。



突拍子もない話になってまいりました。

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