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壁様の言うことにゃ

少しふわふわと心地よう状態で部屋に戻りつく。寝巻ではないが寝るのに楽なジャージ様部屋義に着替えて静かにベッドにもぐりこむ。いつでも眠れる態勢だが 壁様 が話があるということなので先に休むわけにはいかないか と今にも眠ってしまいそうな中で、

『(おーい 壁様… 。俺は準備がいいけど?早くしないと寝落ちしてしまうかもよ。)』と思念すれば案の定

『なんだかずいぶん気安くなってきたようじゃが。一応わたしゃこの世界では神様みたいな扱いなんじゃがの。』

と言われても俺も酔いの勢いと眠気のために半分判断力が持っていかれている。

『(あ~すみません。で、お話って・・・)』

壁様は一息ため息をつくと、

『まあ、いいじゃろ。こっちが巻き込んでしまったことじゃしな。その方には苦労を掛けるかもしれん。』

『で、大切なことじゃが、お主は鈍いのかまだ気づいていないようなのではっきり言っておく。心して聞くんじゃぞ。』

壁様は言い聞かせるように 仁多 真 の反応を確かめながらこう言った。

『お主の解るように言う。ここはお主たちが ”異世界” と呼ぶ世界のうちの一つ。とここまでは良いか?』

『(”異世界”の一つ?・・・日本はこの世界にない?というとですか。)』

『”異世界”だからのぉ。それとこれから先、お主がこの地から遠ざかれば、もうお主とこのように話すこともできん(と思う)。』

『(・・・・・)』

『ただ、安心せい。その方が我を通った時に我の一部がお主と同化した(ような…)。そのためお主は願ったことを現実にする力を持つことになった(はず)。』

『(願ったことが現実になる能力? 漠然としてて解らないんですが??)』

(それと 壁様 の語尾が微妙に自信なさげに聞こえるのは…気のせい?)

『その能力ならすでに経験しとろう? ちゃんと見えれば とか 聞こえればと思ってできたじゃろ?』

(おお!確かに見えた。聞こえた。あれがその能力か。)

しかし、俺は現実を直視してきたおとこ)

そういえば異世界物の小説やアニメ漫画が流行っているとかちょっと前に誰かが言っていたな?

主人公は異世界で最強なんだっけ?

ああ。こんなことならもっと真剣に聞いとけばよかった。

(じゃあ、俺もその現実になる能力で強くなれるってことか?見えたり聞こえたりで??)

いやそりゃ人より見えたり、聞こえたりできれば有利ではあるよな。情報を制する者は・・・か?

(いや、待て待て。確か魔法とかあったり魔物?が跋扈ばっこしたりしてるとか?)

『(”壁様” この世界に魔法とか…あるんですか?)』

『この世界に魔法は存在しない(・・・はず)。魔物と呼ばれるものも存在しない(・・・はず)。』

(んっ?また語尾に力がないような・・・)

『(ならば、この世界の生き物は基本的に元の世界と能力は変わらないんですよね?)』ちょっと心配になったので語尾に力が入る。

『(こ奴ちょっと疑っておるな?)・・・そのとおりだ(と思って…)。お主の世界の中世後期から近世前期という文明レベルだと思えばよい。』

『(中世後期から近世…って)」すぐに頭に思い浮かばない。歴史はあんまり勉強してこなかったのが悔やまれる。

『日本で言えば戦国から安土桃山、江戸の辺りかのぉ(よし押し切った。)』姿はなく声しか聞こえないが、なんか押し切られた感が十分に感じられる。

『(では、俺がここに連れてこられた理由は?)』定番の魔王をどうとかとかいうやつでもなさそうだし、世界を破滅から救うとか大それたこととかじゃないよな。

『その件に関しては我の口からは言えん。(だって偶然の産物なんて言えない。・・・すまんのぉ)』

さらに質問を重ねようと口を開きっ掛けた俺にかぶせるように ”壁様” が続ける。

『お主の思うように行動すれば道はおのずと開ける(特にやることはないはずだから)。』

『それでは、さらばじゃ。すべてが終わった時にまた会おう。』そう言い残すと、”壁様”はスッと気配を消した。そして森の奥へ戻りながらぽつりとつぶやいた。

『これまでで初めて我とつながった人間じゃ。初めてのな。』

”壁様”のこの言葉は、残念ながら仁多 真には届かなかった。いや、あえて届けなかったのであろう。

しかし一方、聞きたいことの半分も聞けずに不完全燃焼の 仁多 真 は”壁様”の真意も知らず悩むしかなかった。

『(俺は何のためにここに連れてこられたんだ。?)』

『(教授や倉田たちはどうなったんだ?)』

『(もうちょっと説明しろや~)』

最後はもう悪口というか口でしかなかった。


もういいや寝よう。





いい加減な”壁様”でした。

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