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『"式"という名の魔眼』 ──そして、理系の俺は異世界へ  作者: あや
序章 拝啓、さようなら今までの日常
3/16

初対面の焦り

目を開けると、見知らぬ場所にいた。


視界に入ったのは、どこか薄暗い学校の教室。椅子も机もすべて木製で、色あせて黒ずんでいる。正面には黒板があり、左側の窓からはわずかに太陽の光が差し込んでいた。


「ん……?」

目をこすろうとしてみる。体はガチガチに凝っていて、ちょっとやそっとじゃ動きそうにない。俺は何かに座り、上半身を突っ伏していたようだ。

確か…いや、何も覚えていない。


頑張って顔を上げて周囲を見渡してみる。どうやらここは普通の学校の教室で、俺は教室の真ん中、一番後ろの真ん中の席に座っているようだ。教室は所々ほこりっぽく、決して綺麗とは言えない。


「ここ、どこだ?学校?なんで?」

(待て待て考えろどこだここは?遡ろう。俺は確か……だめだ何も思い出せない。一番直近の出来事は朝目が覚めただけ。確か遅刻しそうだったような??)


通っていた高校とは違う。俺の学校はもっと綺麗で、椅子や机はプラスチック製のはずだ。

椅子から立ち上がり、思いっきり背伸びをする。


「んーー…ふぅ。」

まずはこの教室の中を見てみるか?いや、誰もいないみたいだし、動き回ってもいいかもしれない。

ふと黒板の上にある時計を見ると、6時半を指している。これが朝なのか夕方なのかはわからない。外はまだ明るいから、朝かもしれない。時計はローマ数字で書かれていて、ちょっとオシャレな感じだ。

視線を下に移すと、教壇の上にB5くらいの小さめの紙が一枚置かれている。読まずにはいられないよな。


紙には黒と赤の文字でびっしりと書かれている。

「ご入学おめでとうございます。あなたは我が校、フィリシアム学園センター校の生徒にふさわしい人材でした。急ではありますが、入学式後に校門前に集合をお願いします。あなたの健闘を祈ります。    学長」

「ほうほう……は?」


こんな文面、一度読んだだけで理解できるはずもない。赤文字は「フィリシアム学園」「校門前」「健闘を祈ります」の3箇所だ。学長の署名部分はペンでぐちゃぐちゃに塗りつぶされている。

「フィリシアム学園…?校門前?健闘?一体ここは何なんだよ…あ、そういえば」


ポケットに手を入れてみる。右ポケットにはスマホ、左ポケットにはタバコ、後ろポケットには折りたたみ財布がある。盗まれてはいないらしい。

スマホの電源を入れてみるが反応なし。画面は真っ暗で、自分の顔が薄っすら映っている。

「まあ、とりあえず校門に行ってみるか。そこで何かわかるかもしれない……いや、でも勝手に動いてもいいのか?」


少し目を閉じて考えるが、状況を把握することが先決だと思い直す。

音を立てないように扉を少しずつ開け、その隙間から廊下を見渡す。

扉を完全に開けて顔を出すと、目の前は綺麗めの廊下だった。右側は普通の高校のような廊下で、左側は行き止まり。上を見ると「1-λ(ラムダ)」と書かれた表札が掛かっている。


足を片方ずつ廊下に出し、静かに歩き出す。

教室から左へ進むと、「1-θ(シータ)」「医務室」「階段」と書かれた札が見えた。まるで普通の学校のようだ。

やがて大きな下駄箱のような場所に出る。


「……おい、下駄箱にしてはデカすぎるだろ!400人分くらいありそうだ。そんなに生徒がいるのか?」

下駄箱の奥には大きな昇降口の扉があった。曇りガラスだったので外は見えそうにない。

ガラス張りの扉に手をかけ、押して開けてみる。

外には普通のグラウンドが広がっている。砂地に陸上トラックの線が引かれ、横にはサッカーゴールが立てかけてある。


「ガチの学校みたいだな、ここ」


グラウンドの外周には巨大なコンクリートの壁がそびえ立っていて、一部に豪華な校門の扉が見える。

そこへ向かって歩き始める。

しばらく歩いた後、振り返ると、俺がいた建物は巨大な洋風のお城のようだった。

「え……いつこんな場所に……?」


一瞬立ち止まってから、校門へ足を進める。

(人?が立ってる?)

目を細めると門の前には、俺くらいの年齢の人間が10人ほど立っていた。


(あの人たちも、同じく閉じ込められたのか?まさか俺を閉じ込めた側じゃないよな…)

そう考えながら近づく。

周りの目が一斉に俺を睨みつける。


「誰だお前」


男の声が響く。周囲を見ると、女子3人、男子7人がそれぞれ違う制服を着ている。中にはピアスをつけたり、金髪だったり、制服をだらしなく着ている者もいる。


「ああ、僕は君たちをここに呼んだわけでも手紙を書いたわけでもないよ。みんなもここに集められたの?」

「あなたはここの在学生ですか?入学生は今、2人来ていませんが他は全員揃いました」

白髪長髪で緑色の瞳の女子がにこやかに話しかけてきた。だが残念ながら俺は、ここの在校生でも入学生でもない。


「あー、いや、悪いんだけど、俺ここがどこかわからなくて……」

少し愛想よく笑いながら答える。


「じゃあ、あなたは入学生ですか?」

「あー残念ながら」

「じゃあ、侵入者ですか?」

は?まさか。侵入者どころか監禁されている身だ。

「いや、だから急に目を覚ましたら……」


「さてさてぇ〜皆さぁん、お集まりいただきありがと〜ございますねぇ!」

どこからともなく、突然響いた軽やかな声。その直後、ふわりと宙から舞い降りるように、奇抜なローブをまとった男が現れた。帽子には羽飾り、杖はキャンディのようにカラフル。まるでサーカスのピエロのような出で立ちだ。

「改めましてぇ〜、フィリシアム学園、学園長の“アーヴィン・クローネ”と申しますぅ。よろしくどーぞぉ〜ですぅ!」

その軽薄な物言いと動きに、生徒たちは一様に戸惑ったような視線を向けていた。が、誰一人笑ってはいない。というのも、男の放つ“気”が異常だったのだ。視線を向けられるだけで、背筋に氷を這わされるような感覚。


「ふふっ……怖がらなくてもだいじょ〜ぶですよぉ。わたくし、子どもにはとっても優しいんですからねぇ。ええ、優しいんですよぉ?」

笑いながらも、その目はまったく笑っていない。黒曜石のように深く、何もかもを見透かしているかのような目だった。


「さてさて、入学生の皆さぁん。今日からあなた方は、この不思議な不思議な学び舎で、ちょ〜っとだけ……命懸けのお勉強をしてもらいますねぇ!」

「フィリシアム学園は、ただの学校ではありません。才能ある者が、さらに強くなるための場所でございますぅ。」

「まずは“適性試験”ですねぇ。どのくらいの魔力をお持ちか、どの程度制御できるか、バッチリ測らせてもらいますよぉ。ふふふっ、ドキドキですねぇ?」


そして、ふと真顔に戻り、ひとこと。

「――落ちたら、予備学科行き。そこは“才能ないかも組”が、頑張って這い上がるところでしてねぇ?」

声色はそのままだが、空気がピンと張り詰める。生徒たちの背筋が自然と伸びるのがわかった。

「でもまぁ、大丈夫大丈夫〜。命まで取るような試験じゃあ、ありませんからねぇ……たぶん」

そう呟いた学園長の笑みは、心なしか楽しげだった。


「まあこんなところでは窮屈ですので試験場を用意しました~」


瞬きをすると俺は別な場所にいた。

学長の言葉を合図に、生徒たちはそれぞれ名前を呼ばれ、順に案内されていく。

俺も訳も分からないまま名簿に名前を呼ばれ、促されるまま試験場へ向かう。

案内されたのは、広場の裏にある広大な闘技場のような場所だった。観覧席には教師らしき人物たちが並び、生徒たちは一人ずつ、中央の魔法陣のようなものに立たされている。


「おいおい、待て待てどういう事だ」

俺は焦りながら目が点になる

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