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ファントム  作者: かな
最終章
54/56

即位式と祝賀会

その翌々日には、即位式が催される


サピア、マグノリアは生地を揃えて仕立てた新しい服を着て、エミリアも深い色の新しいドレスを着た


今日のスタンリーは騎士服ではなく、父ストウルと同じ礼服を着用している


馬車を2つ用意して王宮へ向かうと、以前よりも広い会場に、ところせましと人が詰め込まれた


中には2歳や3歳くらいの小さな子もいて、彼らは親や乳母とともに最前列に座っていた


そしてつつがなく、ルーベンが新たな皇太子となると、列席者は祝賀会へとなだれ込んだ


「凄い人ですね…」


エミリアが気圧されながら、スタンリーに言うと、スタンリーは人波から父を庇いながら「そうだね」と答えた


みるみるうちに、皇太子殿下に挨拶をするための列が出来ていく


会場の端にはテーブルが並べられ、小さな子どものいる人々は座って食事を始めている


しばらく会場を見渡していると、ふいにスタンリーがエミリアの手を引いた


ストウルも驚きながらも、二人のあとを追いかける


どこへ行くのだろうと思っていると、前皇太子アレックスが遠巻きにされながら、にこにこと王族たちを見ているのが見えた


彼の前で、スタンリーは膝を付いた


アレックスは、急なことに少したじろいでから顔をあげるようにと言った


エミリアは慌てて軽く頭を下げて、スタンリーと同時に頭をあげる


アレックスの「何か?」という問いかけにスタンリーは、


「ありがとうございました、陛下」と膝を付いたまま、また深く頭を下げた


エミリアも頭を下げ、衣擦れの音からきっとストウルも頭を下げているのたろうと思った


アレックスはしばらく黙ってから、ストウルの前に手を差し出した


「ケルナを、宜しく頼む」


スタンリーはその手を取って、アレックスに導かれるまま立ち上がる


アレックスは答えも聞かないままに微笑み、きびすをかえすと人混みに消えた


それを目で追いかけていると、ふいに高らかな音が響き、これから王による重大な声明があると告げられた


列席者の目線が、王族たちのいる1画へと向かう


いつの間にか、皇太子ルーベンへの挨拶もひと通り終わったのかもしれなかった


会場には安心といったような、柔らかな空気が流れ、小さな子の中にはまどろんでいる子もいた


エミリアは、とてもいい会だと思った


そしてその最後に、王は自らも地位を手放すと宣言した


エミリアには、その意図も内容もよく分からなかったが、中には涙ぐむ人もいた


王位を兄上に返す。双子で、要職を解かれていた者を戻す。そして、王妃さまの王都への出入りを拒否する。


ルブテラは戻るのだ、と王は言った


会場は大きく拍手をあげる者と、ただ釣られる者とに別れた


エミリアもただ、釣られて拍手をしたが、スタンリーとストウルは大きな拍手をあげていた

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