顔合わせ
「お初にお目にかかります、エミリアです」
とび色の髪に薄茶の瞳をしたエミリアは、まだ9つながらに美しい礼を披露する
目の前にはお屋敷の旦那さまのストウルと奥さまのフィリスが座り、エミリアと同じ9つの息子が奥さまの手を握っていた
3人は揃って黒い髪をしており、旦那さまの瞳は茶色、奥さまと息子の目は琥珀色だった
エミリアの隣には、同じとび色の髪に薄茶の瞳をしたら父サピアが同じく頭を下げている
「はじめましてエミリア」
エミリアと父が顔をあげると、奥さまがフィリスと名乗り、息子とよく遊んでくれていることにお礼を言った
エミリアはおずおずとこちらを見た息子のルクスに控えめに手を振ったが、恥ずかしいのかすぐに顔を逸らされてしまった
「今日は具合がいいから、1度会いたかったのよ」
フィリスはにこにこと笑顔でエミリアに話しかけた
それから、ほらというように息子の背を押したがルクスはイヤイヤをしてフィリスの腕に顔を埋めた
フィリスは困ったと眉を下げながら、「いつも遊んでくれてありがとう」と言った
「今日も遊ぶ?」とエミリアが聞いてみるが、またもルクスはイヤイヤと顔を振る
フィリスは困ったというような顔をし、助けを求めるようにストウルとサピアを眺めた
2人はしかし居心地が悪そうに咳払いをすると、「仕事の話を…」とどちらともなく言って退席した
フィリスは困った顔のまま、エミリアを見る
「お茶とお菓子を用意するわ。ゆっくりしてらして」とエミリアを気遣った
エミリアは使用人に案内されて、庭の見える素敵なテラスでお茶をいただくことになった
しばらく1人で大人しくお茶を飲んでいると、ひょっこりとルクスが現れた
ルクスは先ほどとは違い、目をキラキラさせて嬉しそうにエミリアに近づく
「こんにちは?」
エミリアが挨拶をすると、ルクスは隣に腰掛けて「こんにちは、やっぱり遊ぼうよ」と言った