王妃さまとフロリア
それからさらにしばらく経つと、今度は王妃さまがフロリアに滞在されるようになった
即位式までは、あと3ヶ月ほどのときだ
エミリアはそれを新聞で知ったが、連日憶測に次ぐ憶測が報じられ、なかなか面白く読んでいた
「王妃さまがわざわざフロリアの花をご所望だとか」
「皇太子即位にあたって、より一層華やかに…」
「皇太子さまとは一度もいらっしゃらないのに不思議ですね」
エミリアはスタンリーが何か知っているのかも…と新聞を食堂へ持ち込み、朝食の前に読み上げていた
目の前に座るスタンリーは、ただお茶を飲むばかりで答えない
「あら、滞在期間は不明…さすがに即位式には戻られるでしょうけど…」
「エミリア」
スタンリーに呼ばれて、エミリアはパッと顔をあげた
「はい」
エミリアはてっきり新聞の件について、何か言ってくるのかと思ったが違った
「カリーナさまも即位式に出られるから…僕は、付き添いで行かなきゃなんだけど…」
エミリアはスタンリーが何を言いたいか分からなくて、目をしぱしぱさせた
「その…一緒に来る? 即位式ってそんなに楽しいものじゃないけど…」
「行きます!」
エミリアは、ばっと新聞を閉じて言い切った
「だってお父さまにも、ステラにも全く全然会ってないんですもの!」
スタンリーは、そんなエミリアに苦笑いを浮かべた
「エミリアはやっぱり王都が好き?」
エミリアためらう
「フロリアもトカラもダグラスも素敵でした。でも…」
スタンリーは頷く
「あ、ですがケルナには一度行きたいんです。スタンリーさまのお父さまに、未だお会いできていないですから」
スタンリー、それにも深く頷く
「即位式がつつがなく終わったら行こう。約束するよ」
エミリアは「楽しみです」と言って、微笑んだ
王都に行くなら服も新調したいと思い、スタンリーにも一緒に新調しないかと問いかけてみる
けれどスタンリーは首を振った
「僕はいつもの騎士服で行くから」と
「そうですか…」
「エミリアには悪いけど、あまり目立たないようにしたいんだ」
スタンリーはそう言って、エミリアも頷いた




