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ファントム  作者: かな
本章
47/56

王妃さまとフロリア

それからさらにしばらく経つと、今度は王妃さまがフロリアに滞在されるようになった


即位式までは、あと3ヶ月ほどのときだ


エミリアはそれを新聞で知ったが、連日憶測に次ぐ憶測が報じられ、なかなか面白く読んでいた


「王妃さまがわざわざフロリアの花をご所望だとか」


「皇太子即位にあたって、より一層華やかに…」


「皇太子さまとは一度もいらっしゃらないのに不思議ですね」


エミリアはスタンリーが何か知っているのかも…と新聞を食堂へ持ち込み、朝食の前に読み上げていた


目の前に座るスタンリーは、ただお茶を飲むばかりで答えない


「あら、滞在期間は不明…さすがに即位式には戻られるでしょうけど…」


「エミリア」


スタンリーに呼ばれて、エミリアはパッと顔をあげた


「はい」


エミリアはてっきり新聞の件について、何か言ってくるのかと思ったが違った


「カリーナさまも即位式に出られるから…僕は、付き添いで行かなきゃなんだけど…」


エミリアはスタンリーが何を言いたいか分からなくて、目をしぱしぱさせた


「その…一緒に来る? 即位式ってそんなに楽しいものじゃないけど…」


「行きます!」


エミリアは、ばっと新聞を閉じて言い切った


「だってお父さまにも、ステラにも全く全然会ってないんですもの!」


スタンリーは、そんなエミリアに苦笑いを浮かべた


「エミリアはやっぱり王都が好き?」


エミリアためらう


「フロリアもトカラもダグラスも素敵でした。でも…」


スタンリーは頷く


「あ、ですがケルナには一度行きたいんです。スタンリーさまのお父さまに、未だお会いできていないですから」


スタンリー、それにも深く頷く


「即位式がつつがなく終わったら行こう。約束するよ」


エミリアは「楽しみです」と言って、微笑んだ


王都に行くなら服も新調したいと思い、スタンリーにも一緒に新調しないかと問いかけてみる


けれどスタンリーは首を振った


「僕はいつもの騎士服で行くから」と


「そうですか…」


「エミリアには悪いけど、あまり目立たないようにしたいんだ」


スタンリーはそう言って、エミリアも頷いた

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