表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファントム  作者: かな
本章
34/56

ノア

翌日お昼を食べていると、スタンリーがしばらく忙しくなると言った


エミリアはそのときは曖昧に頷いたが、昼過ぎには玄関に馬車が停まった


「急なことでごめんなさい!」


まだ食堂でお茶を飲んでいたエミリアとスタンリーは、サミュエルとともに入ってきたカリーナに目を向けた


カリーナは今から出かけるような、つばの広い帽子と同じ色のドレスを身に着けていた


カリーナの隣で手を繋いでいるのは、以前と同じセーラー襟を着たノアだった


スタンリーは何も言わず、カリーナの前に進み出ると深々とお辞儀をした


「行きましょうか」


「は?」


エミリアは思わず声をあげて、スタンリーを見上げた


エミリアは食堂の入り口近くにいたため、声は届いていたはずだ


けれど詳しい説明はなく、「しばらくよろしく頼む」と、ノアを残して行ってしまった


思わずサミュエルを見ると、サミュエルも困ったように笑っていた


「翌日には戻るそうですから…」


エミリアはその言葉にようやく、学校が休みの間だけかと安心した


「とりあえずお客様の部屋に…」


エミリアが言いかけると、ノアは何か言いたげに服を掴んだ


「……」


けれど何も言わないので、エミリアは少し腰を落とし目線を合わせた


「お腹は空いてますか?」と尋ねると首を振り、「何か欲しいものは?」と聞いても首を振る


「明日にはお迎えが来るそうですから…」


そう言うと、ノアはようやく頷いて手を離した


エミリアはサミュエルに、客間に案内するよう指示を出す


そして今度は「案内します」と言ったサミュエルの服を掴んだため、サミュエルは手を繋いでノアを案内していった


ノアのお付きと御者が、2階の客間に荷物を運び、彼らはロドニーやサミュエルと何かやり取りをしていた


どうやら厨房や諸々使いたいようで、エミリアは希望する全てに許可を出した


使用人たちが部屋を整えている間、ロドニーはさっそくノアを菜園に誘い、夕飯にはノアが好きなキャロットケーキが提供された


そしてさらに翌日、荷物の多さに嫌な予感はしたが、昼を過ぎてもカリーナもスタンリーも帰って来なかった


食堂前のテラスで、ノアと庭を眺めながらエミリアは思わずため息を吐いた


近くには、フローレンスが給餌として待機している


「ごめんなさい…」とノアは謝る


「いつもなら、僕はトカラでお留守番なのに…」


エミリアはノアを見て、「さっきのは、旦那さまに」と言った


それから「トカラ?」と尋ねる


ノアは、こくりと頷いた


「カリーナさまは王都に旦那さまと、息子のルーベンお兄さまがいて、たまに会いに行かれるんです


僕も…だからついでに、トカラのお母さまのところに…」


なるほど、とエミリアは頷く


「お母さまは、本当は僕に会いたくないのでしょうか…? 僕だけが遠くにいますし…」


エミリアは慌てて、「それは風習だから」と口を挟んだ


そのとき、ふとロータリーから馬車の音がして、思わず2人はそちらを見た


給餌をしていたフローレンスは、すぐに駆け出し庭から玄関を確かめに行った


そしてすぐに戻ってくると、「スタンリーさまではありません」と首を振った

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ