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ファントム  作者: かな
本章
32/56

塩レモンクッキー

着替えて朝食を食べに行くと、トカラから一緒に戻ってきたスタンリーが既に座って新聞を読んでいた


エミリアが向かいに腰掛けると、フローラがロドニーを連れて現れ、パンやサラダを並べてくれる


ロドニーはそのままスタンリーに声を掛け、スタンリーは何か記事を指して2人は笑い合っていた


食事が終わると、フローラは手紙を渡してきた


「ありがとう」と言って、宛名を確認するとステラからだった


フロリアにいるおじさん家に遊びに来ているから会いたいといった内容だった


スタンリーにそれを伝えると、またロドニーに新聞を叩いて何かを伝え、ロドニーは頷いた


「エミリア」


スタンリーは新聞を持つとエミリアの隣に腰掛け、記事を見せた


それは塩レモンクッキーの広告で、どうやらベリルの働く店のものらしい


「ロドニーに頼んで、このクッキーを用意させるよ」


エミリアは頷いて、早速返事を書くために立ち上がった


午後にやってきたステラは、1人の紳士を伴って現れた


エミリアは寝室の隣にある部屋でぼんやりと庭を見ており、ノックの音に立ち上がる


「失礼します」とフローレンスが声をかけ、扉を開けた


「エミリア!」


扉が開くとすぐにステラは駆け寄り、エミリアを抱き締めた


「久しぶり、ステラ。来てくれてありがとう」


ステラは腕を解いて、エミリアの両手を握る


「会えて嬉しいわ。元気そうで良かった」


そして扉の方を見遣ると、「紹介するわ。今、お世話になっているブライトおじさま」と言った


「ブライトです」


黒いスーツ姿の紳士は、帽子を手に頭を下げた


「エミリアです」と、エミリアもスカートを持ち上げて礼をした


ブライトは灰色の髪に口髭があり、穏やかそうな目元にはくっきりと皺が刻まれていた


エミリアは、どこかで見たことがあると思いながらブライトの顔を見つめた


「お父さまにそっくりでしょ?」


そんなエミリアにステラは話しかけ、「ノアに会ったことがありますか!」と、ブライトは嬉しそうに目を細めた


「見分けが付くように、私は髭を作っているんですよ」


「あ…」


その1言で、エミリアは彼らが双子なのだと理解した


しばらくするとフローレンスがお茶のセットを持って、部屋に入ってきた


用意されたお菓子は、フロリア名物の花を模したクッキーと、塩レモンクッキーに小さなケーキが2つほど


それらを庭に近い丸テーブルに並べ、ワゴンで淹れたお茶を配ってくれる


「テーブルが小さくてごめんなさい。応接用のテーブルは片付けてしまったの」


エミリアは敷物だけが残る空間を示したが、「いいじゃない」とステラは言う


「ここの方がお庭が見えていいわ」


エミリアとステラはブライトを真ん中に、半円を描くようにして庭に向かっている


「おじさまのお家にある庭も、とても素敵なのよ」


ステラはうっとりとしたように言って、お茶を飲んだ


「あの…これはもしかして、塩レモンクッキーでしょうか?」


ブライトは尋ね、エミリアは頷く


「この屋敷と掛け持ちで働いている子がいるんです。それは先日、トカラに行ったときの塩とレモンを使っていて…」


と、そこからトカラでのことを2人に話した

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