お付きたちの観光
翌日、観光とお土産を買いにいくベリルに、エミリアはフローレンスも一緒に行くようにと申し付けた
スタンリーは、案内役にとヨハネを従わせる
フローレンスは何か言いかけていたが、
「今日は僕がエミリアのお付きだ」とスタンリーが嬉しそうに言うと口を噤んだ
「ヨハネさん!」
ベリルは高らかに呼びかけ、メモを見せながら相談を始めた
フローレンスも近寄って、輪に加わる
ベリルの手にしているメモには、塩バターパンやチーズパン、レモンケーキなど特産の食べ物がリスト化されていた
特に重要なものは、ぐるぐると囲まれている
ヨハネはそれを見ながら、絶対にここがおすすめだとメモを受け取り、店名を書き込み始めた
そして「まずはパン屋がいい、早く閉まるから…」とのことで、一向はパン屋に向かうことになった
変わらぬ白い四角い家々を幾つか過ぎて、どこかの角を曲がり…それだけで方向が分からなくなりながら、全く同じような建物に着いた
とはいえ壁には凹凸で大きくパンの模様が書かれているし、細長い窓から人々が食事をしているのも見える
通りも広く、辺りを見ると同じく白く四角いながらも、どうやら全てお店らしい
レモンの街路樹が等間隔に並び、きっと街全体が規則正しい法則で造られているのだろう
フローレンスはヨハネとベリルの後に続き、パン屋へと入る
そこはカフェの併設されたパン屋で、フローレンスの前に座るヨハネとベリルが次々にパンを注文した
すぐに届いた塩気の効いたチーズとバターのパンを食べながら、フローレンスはヨハネの話を聞いている
隣のダグラスとは昔から交流が盛んで…塩と乳製品や小麦の交換、そしてそれらを加工してまた販路に乗せている
そんな話をしながら、昔は塩を巡って争いもあった…ここは塩を独占しようとした王の城だとも言う
「トカラには荒くれ者が多いんですよ」
ヨハネは笑って、エールを飲んだ
席に着いて早々、「今日は休みだから」と頼んだものだ
ヨハネは上機嫌で「スタンリーさまも良かったですねぇ…」など言いながら、小さかった頃の話をポツリポツリと話す
まるで独り言みたいな話を、フローレンスは「はい」とか「あぁ…」とか小さな相槌を打って聞いていた
ベリルは一心にパンを頬張り、ぶつぶつとバターがどうのチーズがどうのと呟いていた




