いたずら
「ルクス」
とび色の髪に、薄茶の目をした女の子が笑う
ケープのついた可愛らしいフリルたっぷりの服。まだ9つの彼女、エミリアは少し先を指差す
そこでは白いエプロンに白い頭巾を被った使用人が、タイルで出来た床をモップで掃除しているところだった
ルクスと呼ばれた同じく9つの男の子は、黒いくせ毛にフリルタイのついたシャツと黒いズボン姿だ
2人がしばらく見ていると、やがて使用人は掃除を終えてモップを片付けに行く
それを見計らって、エミリアはまだ濡れたタイルに駆け寄り、滑って遊び始めた
すぐに別の使用人が駆け寄ってきたので、ルクスも止めようと動いた
けれど先に止められたのは、ルクスの方だった
使用人は強い力で2人の腕を握った
「カエラ!」
使用人が名前を呼ぶと、先ほどモップを片付けに行った使用人がすぐに戻ってくる
「ベラ…? 何…」と言いかけて、驚いたようにルクス、エミリア、そして床を見下ろした
それからベラに言われた通りに乾いた雑巾を持ってくると、彼らに踏んで靴裏を乾かすようにさせた
「ねぇ雑巾の上からなら滑っていいの?」
エミリアは腕を強く掴まれたまま、薄茶の瞳をキラキラさせてベラを見上げる
「ダメに決まってるでしょう!」
ベラは信じられない、といった顔でエミリアを見て
「旦那さまに叱ってもらいますからね」と、引きずるように2人を連れて行った