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ファントム  作者: かな
本章
28/56

トールとマリア

中は外とは対照的に豪華だった


高い位置から差し込む光に、それを反射する鏡やシャンデリア


赤いカーペットの先には、王弟殿下と妃殿下らしき2人と衛兵が立っている


殿下並びに衛兵は黒い髪に金糸のある黒い服を着て、妃殿下は白いドレスに、金の髪を高く結いあげていた


妃殿下の方は殿下に寄り添いながら、少し困ったような顔をしている


スタンリーは堂々と進み出て、深く頭を下げ、エミリアもそれに倣う


目の前にいる妃殿下が裾を持ち上げて、お辞儀をしたのが分かる


エミリアが顔をあげると、「ごめんなさいね」と妃殿下は謝った


「トカラの街は要塞都市なの。怖かったでしょう?」


エミリアは「いえ…」と言って、思わず顔を逸してしまった


カリーナの気取らない雰囲気と違い、あまりにも妃らしく、とても眩しい


「お会いできて嬉しく思います、妃殿下」


失礼のないように再度頭を下げると、スタンリーがエミリアを2人に紹介してくれた


「トールです、よろしく」


「マリアですわ」


トールはにこやかに片手を差し出し、マリアはエミリアの手をギュッと両手で握った


スタンリーとトールは話があるので、その間エミリアはマリアに城を案内してもらっていた


壁と同化している扉を開けて、マリアはどんどん高く登っていく


エミリアと比べ、髪もドレスも動きにくそうなのに、慣れているのかマリアはすいすい昇っていく


マリアは片手を壁に、片手でドレスを持ち上げており、エミリアもそれに倣って進む


小さな四角い穴がたくさん空いているので、上へ上へと伸びる階段がよく見えた


3階か4階ほど昇って外へ出ると、長い廊下が横に拡がっていた


「見て」と言われるままに、細長い窓を覗くと、青々とした平原が続いている


「ダグラスの街よ。遊牧と農耕の街。その向こうがケルナ、うんと先の山を越えてイグノ…


わたしの好きな場所。あと、海が見えるところもあるのよ」


マリアは廊下の端まで進むと、短い階段を昇って扉を開けた


そこは海とトカラの街が一望できるバルコニーで、エミリアはマリアに続いて手すりまで歩いた


ちょうど夕日が沈むところで、空は赤くとても美しかった


「凄い…」


遠く空から海から吹く風を浴びて、エミリアは目線を少しずつ下に向けた


レモンの木が規則正しく、白い家々を区切るように生えている


そして真下にある断崖を目にして、思わず後ずさる


そんなエミリアを、マリアは駆け寄って支えた


バルコニーは反対側にもう一つあり、ダグラスの平原に沿って、コの字型に吹きさらしの廊下があるのだと言う


けれどエミリアは、さすがに怖すぎて首を振って扉まで戻った

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