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ファントム  作者: かな
本章
24/56

スタンリーとは…

お茶会が終わると、エミリアはステラと父とに手紙を書いた


スタンリーに、お茶会でのやり取りを深く聞きたかったのだが、はぐらかされてしまったのでそんなことを書く


スタンリーは、ほどなくしてまた屋敷を空けた


エミリアはスタンリーの部屋にある本を読んだりして、時間を潰していた


そしてある日、サミュエルにスタンリーの幼い頃のことを尋ねてみた


食堂と対になるような、掃き出し窓の付いた自室で、ベイカーにお茶を入れて貰いながらサミュエルの方へ顔を向ける


エミリアがお願いをして、ベイカーとサミュエルにお茶会をしてもらっているのだ


サミュエルは快く応じてくれたが、ベイカーは「1時間だけですよ」と言った


それでもエミリアの好きな茶葉を選び、お菓子も数種類用意してくれた


サミュエルの話によると…


スタンリーは幼くして母を亡くし、しばらくは父と暮らしたが、やがて叔母に引き取られた


サミュエルはスタンリーが産まれたときから屋敷に仕え、スタンリーとともに叔母の元へと向かった


「まさか、まだお仕えできるとは思っていませんでした」


サミュエルはそう言って、嬉しそうに笑った


「気取らない方ですから…使用人など迎えず、もっと小さな屋敷で暮らされるのかと…」


「大きなお屋敷で良かったわ」


エミリアは屋敷自体は小ぶりだが、庭がとても広いのでそう言った


エミリアは、今度はベイカーの方を向いてスタンリーのことを訊ねたが


「申し訳ありません。わたくしは、ここで雇われただけなので…」と恐縮したように答えた


それでも、気取らないのはその通りだと言う


「今はお忙しくしてらっしゃいますが…


使用人を自らお選びになって、見かけたら名前を呼んで挨拶をなさるんです!


お怪我をなさってからは、少々塞ぎがちでしたけと…」


エミリアがあれ? と思って聞くと、スタンリーは怪我をする少し前にこの屋敷を整えたらしい


「フロリアの隣にあるケルナがお父上の領地でして、スタンリーさまはそちらの国境沿いでお仕事をされていたのです」


サミュエルの話によると、最初はそちらで休暇のための屋敷を…となったが、カリーナの勧めでフロリアに来たらしい


「国境沿いにはお互いの国から半分ずつ兵が配置されるのですが、スタンリーさまはお立場が微妙で…」


叔母の養子として配置されたが、領主の息子でもあり、ケルナに居を構えるとややこしいのだと言う


「カリーナさまに乞われて、ここに住むという風にしたのです」


エミリアは、てっきり自分のために用意された屋敷なのかと思っていたので驚いた


もしかしたら怪我があってもなくても、スタンリーはいずれ今のように動いていたのかもしれない


「そういえば、スタンリーさまの叔母さまはどんなお方?」


エミリアは、お茶をひと口飲んでから尋ねた


今更だがこの家に来てから、家族や親類に一度も会っていない


今は忙しいのだろうから、落ち着いたらきっと…とは思っているのだが、このままにされそうな気もしていた


サミュエルとベイカーは、顔を見合わせた


そしてベイカーから「気軽に会える方ではないのですが…」と、前置いてから話してくれた


わたくしは、近付こうとして転んだ子どもを優しく抱き起こされたので感動しました」


サミュエルはその話に頷く


「確かにお心の広い方でございます。実の息子が3人いらっしゃいますが、スタンリーさまも含め皆平等に愛されていらっしゃいます」


ただ国という垣根が大きく、国境を越えて来られたことはないのだと言う


「いつか、スタンリーさまと一緒に会いにいきたいわ」


エミリアが言うと、2人も大きく頷いて賛同してくれた


エミリアはケルナの領主である、スタンリーの父にも会いたいと思ったが、それも難しいとサミュエルは首を振った


「奥さまを亡くされてからは塞ぎがちで…スタンリーさまも、養子に出されてからは一度もお会いされてないはずです」


エミリアは思わず口を開けて、でも何も言えずにキュッと閉じた

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