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ファントム  作者: かな
本章
22/56

数カ月後…

数カ月後にスタンリーが屋敷へ戻ってくる頃には、雰囲気が様変わりしていた


あれからほどなく、手紙で屋敷の管理に対する許可を得たエミリアは、サミュエルに教わり倣った


そのうえで、部屋から見える庭と、食堂の前にある庭を好きに整えた


道沿いにある使用人たちの庭は、どこからも見えないように囲い、裏庭から屋敷の脇を通って出入りするようにしてある


玄関の両側、ロータリーに沿う小道の先

へは対称にアーチを整えた


アーチを潜ると素朴な庭が広がり、屋敷からかかる屋根の下にちょっとしたお茶の出来るテラスが用意されている


エミリアは使用人たちの庭には一切立ち入らず、関与せず、育ったものも好きにしていいようにした


どうやらそれは好評らしく、お礼に各々の庭で取れた花が活けられるようになった


フローレンスやメイド長は花を活けながら、誰の庭で取ったものかを説明してくれる


ベリルは果物を植えて、上手くできたら砂糖漬けにしてくれると約束してくれた


そうしてエミリアが少しずつ使用人たちと打ち解けたころ、スタンリーが今度は手紙を先触れにして帰宅した


丁度昼どき、エミリアは使用人とともに出迎え、そのあと一緒に食堂へ向かう


黒い帽子を目深に被り、最初はそれで顔を隠していたが食堂に入るとサミュエルが有無を言わせぬ態度で預かった


エミリアは少しだけ驚くが、スタンリーは笑って、


「サミュエルは幼い頃から仕えてくれてるんだ」と言う


瞳は前髪がかかっていてあまり見えないが、さらさらとした黒髪が美しかった


その日はサミュエルとロドニーが給仕をしてくれ、全員がぎこちないながらも何とか食事を終えた


昼食後は、テラスに移動してお茶をいただく


エミリアは「あの…」と、少し気まずいながらも、この間のお詫びをと言ってイニシャルを刺繍したハンカチを渡した


手紙で好きだと教えてもらった、淡い若草色をした木綿のハンカチだ


薄く葉のような模様が入っており、刺繍は金で刺した


スタンリーは「ありがとう」と受け取って、色合いが気に入ったのか角度を変えて眺めている


前髪が横に流れて、キラキラとした瞳が良く見えた


エミリアは、「そういえば…カリーナさまとはお親しいのですか?」と尋ねてみる


スタンリーは、「うーん…」と何とも言えない声を出した


「僕の養母である叔母さまと、カリーナさまは仲が良くて、たまに屋敷に来られてて…」


スタンリーはこの丘に住むことにしたのも、カリーナさまがいるからだと言った


「僕はこの国で産まれたけど、育ちがややこしいから…知り合いがいるのは嬉しいんだよね」


エミリアは、納得して頷く


スタンリーから見たカリーナは“いい人”で、お茶会のことを手紙に書いたときも同じような返事を貰っていた


そして今回は彼女を招いて、2人で会うことになっている


そのことを話すと「怒られそうだ」と、スタンリーは笑った


「やることがあるのは本当だよ。けど…家庭もどちらも、もっと上手くやらないと…って…」


エミリアは少しずつでいいと思ったが、上手く言えずにただ頷いた

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