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ファントム  作者: かな
本章
21/56

スタンリー

スタンリーと会えたのは、カリーナと会って数日経ってからのことだ


エミリアは本を読んでいて気にしなかったが…思えば夕方ごろに、玄関先が騒がしくなったような気もする


夕食は一人だったが、食材の説明をしてくれるロドニーは確かにいつもより寡黙で、そわそわとしていた


そしてその後に、エミリアはメイド長のベイカーから呼ばれ、スタンリーの私室に入ることになった


「スタンリーさまがお会いされます」とのことで、


エミリアの部屋の向かい、裏庭に面した部屋の一番内側をベイカーは強くノックし、エミリアを素早く中に押し込んだ


中は暗く、一瞬閉じ込められたのかと思い、「えっ?」とエミリアは閉じたドアに手を当てた


そして、ドア脇に置かれた燭台に気がついた


それを掲げると、向かいにスタンリーらしき人が座っているのが何となく分かる


背中にあるカーテンは締め切られて、彼は顔が見えないよう、組んだ手の上に伏せていた


「スタンリーさま」


エミリアが呼びかけると、彼は燭台を置くように言った


「顔は見せない方がいいと思ってね」


スタンリーは今まで会わなかった理由も詫びもなく、当たり前のように話し始める


わたくし、むしろきちんと顔を見て話をしたいです」


エミリアは言うが、彼は俯いたまま首を振る


そして「これからのことだけど…」と、そのまま話を続けるので、エミリアは燭台を持って1歩近付いた


「申し訳ありませんが…私を所望なさったのはあなたでは?」


スタンリーは一瞬顔をあげかけたが、片手で眩しそうに光を遮る


燭台の灯りはまだ届かないが、「せめて顔を見せて下さい」とエミリアはゆっくりと近付いた


スタンリーは頭を抱え縮こまっていたが、エミリアは燭台を机に置くと、無理矢理彼の顔を暴いた


… … …


スタンリーはまたすぐに、屋敷を発ったらしい


翌日の朝食も当たり前のように一人で、サミュエルに尋ねると昨日の夜にまた出て行かれたのだという


サミュエルの髪はいつもより乱れ、疲れた顔には、くまが出来ていた


エミリアは昨日、屋敷の管理に対する許可を得れば良かったと後悔しながら、


「出来ることなら何でも手伝うから休んで」と声をかける


そしてさすがに悪いことをしたのだな、と思い至った


何かお詫びにと、部屋でハンカチに刺繍をしたり、編み物をしたりするが落ち着かない


エミリアは意を決して、久々にルクスに宛てて手紙を書くことにした


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