『第7話』パーティーで再開
定時の時刻が近づいた。
そろそろ帰り支度をするかな。
今日はこの後、お見合いパーティー行くんだ♪
キマコは、従業員達の湯飲みをかき集め、玄関外の廊下を渡って給湯室へ向かった。
キマコの会社は雑居ビル。
同じ階にいくつかの会社が入っているので、給湯室も共用だ。
廊下に出ると、時々他の会社の男性達とも顔を合わせる機会がある。
よく見かけるのが、若い高身長の同じ世代の男性と小柄な男性で、よくペアでタバコを吹かしている。
何やらキマコに話しかけたいのか、キマコが現れると、二人はいつも会話を辞め、ニヤつきながらペコリと挨拶してくるのだ。
今日も湯飲みを洗いに行くタイミングで、彼らと遭遇。
彼らの視線は遠くからでもしっかり伝わる。
めちゃめちゃ意識されてんな。
「お疲れ様です」
キマコが声をかけて通りすぎると
「お、お疲れ様です!」
と、二人は嬉しそうに返してくれる。
二人とも、そんなにいい男ではないけど、まぁ悪い気はしないな。
私のエロいタイトスカートと、デカパイ強調したボタンはち切れそうなパンパンしたシャツがたまらないんだろうな。
だって、今日はお見合いパーティー♪
身だしなみにも特別気合い入ってますから!
そんなこんなで、キマコは片付けを済ませそそくさと退勤し、友達と待ち合わせの地下街へと向かった。
今日のパーティーは先日合コンに行ったリエと♪
リエは美人過ぎて、パーティーでは逆に男性陣か寄り付かない。
高嶺の花だと謙遜しちゃうのか……
それでも中には美人好みのチャレンジャーくん達が、もしかすると、と淡い期待を胸に声をかけてくる。
「お待たせ~」
リエと合流して、再度地下街のトイレで化粧治し。
(パーティー会場にて)
「さすが大規模パーティー、かなり人集まってるね」
受付を済ませ、お酒のグラスを片手に、さぁてどこ座ろうかとウロウロウロ。
リエとキマコはとりあえずソファーには腰をかけずに、今回は積極的に動き回る行動に出ることにした。
リエもキマコも本気の恋愛相手を探しに来ている訳ではない。
なんとなーく、寂しいから。
出会いに飢えているだけ。
けど、あちこち主宰のパーティーに足を運び過ぎると、常連になってしまい、顔が知れると尚更ハズい。
そうならないよう、パーティーは期間を開けて参加しているのだが……
「キマコさん」
ある男性が声をかけてきた。
え?!早くも知り合い??
ヤダな……
「キマコさんだよね」
そう言って男は親しげにキマコに近づいてきた。
そうだ!この人、前にパーティーでいい感じに見事カップリングして、一度だけデートした人だ!!
嫌、二度だ。
二度目は夏祭りに行って、途中キマコがしらけて、わざとはぐれてそのまま帰って、、からの音信不通で終わり。
終わり方が酷かったから、
なんか気まずいな……汗
まぁ、普通に声かけて来てくれてる事だし、気にしてないのかな?!
「わぁ!久しぶり~!」
彼の名前は古原さん。
キマコの3つ年上で、ルックスは悪くない。爽やか好青年タイプ。
ただ……
まったくなびかない。
なんだろうな、決して悪い人ではないんだけど、話がつまんないの。
共通の話題もないし、異性を感じないというのか何というか、
ごくごく普通の人。
だから、夏祭りも全然面白くなくて、なんだか悪いことしちゃったな。
「相変わらず男探しにきてんの?」
??!!
は?!
そーだった!
こいつちょっとイライラするとこあったんだ。
そしてついでに1円単位で割り勘だったのも思い出したぞ。
こいつ問題ありだった!
よし、だったら話しは早い。
雑に扱うか。
「いやいや、フルフルも飢えてんだろ」
※古原→フルフルと呼んでイジる
「なんだよフルフルってー!」(笑)
そしてフルフルの傍らには二人の冴えない男性達がいた。
一人は顔は地味だか服装は物凄い派手なスカジャン。
もう一方はごく普通の大人しそうな男性。
「はじめまして~」
キマコは挨拶した。
男二人 無言で会釈。
いったいどういう組み合わせ?
フルフルはルックスは華やかだけど、お友達二人は恐ろしく陰キャ。
リエも退屈そうだし、とりあえずこの場を去るか!
「じゃ、またねフルフル~」
リエとキマコは、限られた時間で次なる出会いを求めて移動するのだった。