『第6話』私に夢中な殿方たち②
「失礼しまーす」
下請けの渡辺さんが来訪された。
「こんにちは!係長呼んで来ますんでお待ち下さいね」
キマコはそう告げて係長のもとへ
「係長、渡辺さん来られましたよ」
「あぁ、ちょっと待たせといて」
「は~い」
キマコは渡辺さんを待合室に案内し、お茶をお出しした。
実は渡辺さんも、キマコのファンである。
特別何か言われた訳ではないけど、渡辺さんはキマコの容姿にうっとりしてるのがバレバレだ。
いつもニヤニヤ、キマコに手土産持参でやってくる。
今日はミサンガもらってしまった。
え?!微妙~。。
装着しなきゃダメなやつ?
すぐチギれてくんねーかな。
渡辺さんとキマコが初めて対面した時も、リアクションが半端なかった。
あ、このオジサン、
おそらく私に恋したな。
とキマコは感づくほどだったのだ。
決してキマコはおじ様キラーではないし、無理強いされてもいない。
単に勝手に気に入られ、キマコはそれをうまーくかわすだけの事だ。
「キマコしゃーん」
あ、社長がお呼びだ。
「キマコしゃん、台田建設に行って赤木部長に図面渡してきて」
「かしこまりました」
ちょっと苦手な赤木部長の元へとお使いを頼まれました。
赤木部長は完全下心のある悪代官だ。キマコは度々お誘いを受けている。もちろんスルーしているが。
そんな赤木部長の元へ行こうと、キマコは気を引き締めて、いざ!手荷物を持ってエレベーターを降りたのだった。
ビルの一階入り口横には、駐車場があり、そこに駐在している係員のおじさんがいる。
スラーっとした高身長で控え目な優しい雰囲気の係員さんだ。
キマコは、たまにその係員のおじさんと挨拶がてら軽く会話もしたりする程度の仲でもあった。
「お使いですか?」
早速話しかけられた。
「はい、いってきます」
「今日も可愛いね」
え?!
この人からこんな卑猥な言葉が。。
なんかショック
草食系かと思いきや、そんな目で見てたなんて。
「良かったら、お茶でもしたいな」
すごい積極的!?
なんでなんで、嫌~!
イメージと違うし!
「あ、はぁ、またの機会に」
とりあえず足早にその場を去った。
お茶なんか絶対行かないし!
もー、周りジジイばっかで嫌んなる。若いイケメンは全然だし!
同世代には何故モテないの??
私が相手を選びすぎ??
色々考えて歩いてると、台田建設の前に着いた。
すでに玄関ロビーで、嬉しそーに赤木部長がキマコを出迎えに来ていた。
「すみませんお待たせして、図面持って参りました。」
「白い靴…」
「はい?」
「靴買ったの?いいね。似合ってる」
ひぇー!
もう足元チェックしてやがる!
「は、はぁ、ありがとうござます」
「キマコちゃん、今度デートしようよ」
「えぇー?!」
「僕、オープンカー乗ってるんだ」
やだ、寒そう。今冬だし…
「あ、あぁ~そ~ですねぇ」
「??なんか困ってる?(笑)」
赤木のヤツ、キマコをからかっている。
「では失礼します」
そそくさと帰ろうとしたら、赤木部長に止められて、
「連絡先交換してよ。」
えー!断り辛いっ(汗)
けど、かなり大事な取引先の部長さんだし、下手に扱えない(涙)
キマコは仕方なく連絡先を交換したのだ。
まぁ、テキトーにあしらうか。
その時はその時にどーにかしたらいいさ!
と、諦めて帰路に向かったのだった。