『第10話』会社の危機を救う為、部長のお誘いを......
何やら朝から設計室が騒がしい。
物々しい雰囲気だ。
何かトラブル??
社長もいつもに増してピリピリムード。
「何かあったんですか?」
キマコ、向かいの席に座る経理のお局に訪ねる。
「設計ミスみたい」
「当初の予定より大幅変更せざる得ないらしい」
「担当の○○さん、クビ覚悟らしいよ」
「えー?!」
「そんなに大変な事をやらかしたんですか?!」
「今から台田の赤木部長が来るらしい。かなりのお怒りの様子よ」
台田の物件なんだ……
それからしばらくして、赤木部長が物凄い形相で現れた。
社長と設計担当者、他重役たちが赤木部長を出迎える。
応接室からは時々怒号と涙声が聞こえてきて、ハラハラハラハラ落ち着かない。
長い時間話し合いが行われ、うちがだいぶ弁償する形となって落ち着いたようだ。
帰る頃には赤木部長も平常を取り戻し去っていった。
会社内は、皆気落ちし、社長も肩をすくめて気力を失っていた。
「大変だ」
「うちは倒産するかもな」
そんな声もちらほら聞こえてきた。
◇◇◇
その日の午後……
キマコは、外出先の銀行に向かった帰り道、信号待ちをしていると携帯電話が鳴った。
この着メロは?!
赤木部長からだ!
キマコ、電話に出るのを一瞬ためらったが、意を消して出るとした。
「はい、もしもし」
「もしもし、右方向見て」
「右?」
キマコは右に振り向いた。
そこには、道路はさんだ信号待ちで手を振る赤木部長がいた。
「あ。どうも」
キザな演出だな……
「そっちに渡るから待ってて」
そう言って、赤木部長がキマコの方にやって来た。
「今夜食事行かない?」
「え?こ、今夜ですかぁ」
「何か予定あるの?」
キマコは、断りたい気持ちもあったが、今朝の出来事もあり、簡単には断れないと悟った。
だが、やんわりと逃げ道を作ってみた。
「ちょっと今日は残業で遅くなりそうで…」
「そうなんだ。遅くなっても僕は構わないけど、帰りも送るし」
「と、とりあえず、後程連絡します!」
そう告げてキマコはその場を去った。
あーしんど!
どうしよ~(涙)
行きたくないけど、圧が凄い。
会社の存続にも関わるし、なんだか私、板挟み??
キマコは会社に戻ると、目の前の席の上司に、赤木部長のお誘いを受けた事を打ち明けて、相談してみることにした。
すると上司、
「頼む!会社を救うために行ってちょうだい!赤木部長のご機嫌とって!」
はぁ?!
なんだそれ。
フツーこういう場合って、社員を守るべきなんじゃないの?
若い娘に接待させて、しかも相手が下心あるのわかった呈で、
ヒドイ!!
身体を売ってこいって言ってるようなもんだよね。
この会社、この上司嫌い!!!
この時、激しい何かがキマコの中に降臨した。
いいわよ。やったるわ。
二度とお誘い受けないように、キマコの本性さらけ出してドン引きさせてやるわ。
キマコは赤木部長のお誘いを受ける事とした。




