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感情のコア  作者: 神楽
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第一話 火事

連載小説を書くのが初めてなので、二話を出すのが早いか遅いかもわかりません。でも、しっかり完結まで書きたいと思っているので読んでもらえたら嬉しいです。

 その日は、風が強くて、少し焦げ臭い匂いがした。


 暑い夏の日だった。僕たちは都市とは離れた小さな町で暮

らしていた。この日は近くの川で水遊びをしていた。

「ほら! カズ、気持ちいいよ!!」

「待ってよひーちゃん!」

「遠くに行きすぎるんじゃないぞー!」

僕たちは血の繋がりこそないが、大切な家族だ。孤児だった

僕をひろってくれたサハラと、同じく孤児だったひばりちゃん

(ひーちゃん)と一緒に暮らしている。

「ほらひばり、そろそろ時間だぞー」

「えっ!? もう?」

今日はひーちゃんの用事があったので午前中しか遊べなかった。サハラとひーちゃんは時々二人だけでなにかしている。

「カズの預かり役も来たしな。」

「おいおい、預かり役って何だよ?」

「! ケンさん!」

ケンさんはこの世界の中央にある都市で暮らしているサハラの親友だ。サハラとひーちゃんがなにかしている間、僕はいつもケンさんに預けられていた。

「それじゃあケン、カズのことよろしくな。ひばり行くよ〜」

「うっす了解。よしカズ、今日は森でイノシシでも狩りに行くか!」

「うん! 行く!! ひーちゃんまた後でね!」

「うん! 後でね!」


 森でケンさんにイノシシの狩り方を教えてもらっているとき、僕はいつもしている質問をした。

「ねぇケンさん、二人はいつも何をやっているの?」

やっぱり気になる。

「んー?俺も知らねぇなぁ。いっつもカズ預かってくれーって言われるだけだからなぁ」

ケンさんは、嘘が下手だ。いっつも目が泳いでいる。今日だってそうだ。

「うそつきぃ!」

「なっ!? 嘘じゃねぇって!」

夕方頃、イノシシを一体担いでケンさんと家に向かった。


 「………おかしい…」

ケンさんがそうつぶやく。

「どうしたの? ケンさん」

「家の方から黒い煙が………黒い…煙…?…!!! まさか火事!?」

「えっ!!?」

二人で急いで家に向かった。

家は燃えていた。


 「サハラ! ひーちゃん!!」

「待て! 危ないから下がれ!!」

ケンさんに腕を掴まれて止められる。必死に前に進もうとするが、ケンさんの圧倒的な力に勝つことができない。

「離してよ!! ひーちゃんとサハラが中にいるかもしれないんだ!!」

「んなこと分かってるわ! でも火の勢いが強すぎる!!」

「そんなこと言ってる場合じゃ ーー」

『カズ………助けて………』

「!!! ひーちゃん!!」

頭の中にひーちゃんの声が聞こえて来た気がして、ケンさんの腕からするりと抜けた僕は燃え盛る家の中に走っていった。

「おい!! カズ! 待て!!」


 「はぁ………はぁ……、ゲホッ」

真っ黒な煙と赤い炎で包まれた家は息をするのも大変だった。目も開けるのが辛い中で、かすかに倒れた人影を捉えた。

「! サハラ!!」

サハラが倒れていた。そこまで中の方じゃなかったからすぐに見つけられた。

「カズ、か? カズ、ひばりを…まも…れ……もしくは、逃げ、ろ」

「サハラ?」

急に喋らなくなるから死んだかと思ったが、息はある。まだ助かる。まて、「ひばりをまもれ」?不思議に思ったその瞬間、真後ろでゴオッと音がなる。

「は……?」

明らかにおかしい炎の形。まるで柵のような。その柵の中には……背の高い男に抱えられたひーちゃんがいた。

「! ひーちゃん!!」

「!? カズ!」

「? 何だただのガキか。驚かせやがっ……!?」

その時の僕はありえない動きをしていた。ひーちゃんが攫われそうになっているのを見て怒りが隠しきれなかった。僕は炎の柵を飛び越えてヤツの顔面に向けて拳を振りかぶっていた。

「………そうか、お前もコア持ちか。連れてくか。」

ヤツは僕の拳をギリギリで避け、そう言った。僕には意味がわからなかった。

「カズー! サハラー! ひばりー!! どこだー!!?」

ケンさんが探している声が聞こえた。

「チッ 面倒だ。まぁ元々このガキだけで良かったんだし。コレで帰るか。」

「待て!!! ひーちゃん返せ!!!」

また飛びかかろうとした僕は、その目の前に炎の柵を作られてしまった。

「カズ!!!」

「じゃあな、クソガキ」

「ッ! まて!……ゲホッ!」

そのままヤツは炎の中に消えていった。


 ケンさんのおかげでサハラは安全に外に出ることができた。かなり大きな火事だったので町の人が総出で火を消した。燃え落ちた家に、ひーちゃんはいなかった。


 「……ねぇ、ケンさん。コアって何?」

「!? お前、どこでそれを…!?」

「ひーちゃんを攫ったやつが言ってた。“お前もコア持ちか”って」

「……コア、つっうのはなぁ、言うならば感情だよ。」

「感情?」

「あぁそうだ。今まで黙っていたがな、この世界の3割の人間が持っているとされるもので、一部の感情の高ぶりによりその力が使えるっつうもんよ。俺とサハラ、あとひばりもコアを持っている。俺たちはお前が持っていないと思っていたから、巻き込みたくなかったんだよな。」

「……僕のコアってどんなのかわかる? ケンさんとかサハラとか、ひーちゃんはどんなコアなの?」

「お前か? お前は見た所“怒り”だろうな。俺は“楽しみ”、サハラは“優しさ”、ひばりは“苦しみ”だ。」

「ひーちゃんのコアが、“苦しみ”……?」

「そうだ。まぁ、そこは今大切じゃねぇよ。」

「え?」

「早くしねぇと、」

「ひばり、死ぬぞ?」

感想お待ちしております。

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