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放浪のカワウソ  作者: Nihon_Kawauso
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追跡

第10章 追跡


夜が明ける間もなく、沼地猟師が小屋から慌ただしく出てきて、キツネが――彼が襲撃者だと思っていたのですが――自分のアヒルをさらっていないかどうか確かめようとしました。小さな庭を横切る前に、ドアについた雪の跡に気付きました。そしてその大きさからアナグマの物だと判断しましたが、門の外の紛れもない痕跡に目が留まり、襲撃者の正体が疑いの余地のないものとなりました。

「カワウソだ!神様、なんてこったい」

そして、海が凍り、生き物たちが水から遮断されていることを思い出した時、驚きの表情が勝利の表情に変わりました。そして自分がおいぼれであることも忘れて、彼は大喜びで叫びました。

「あいつらはわしのもんだ、卵と同じくらい確かなこった。わしのもんだ!」

彼が大喜びしたのは、彼ら破滅したからではありませんでした。彼らの毛皮を手に入れ、茅葺き小屋に貯めてある減るつつある蓄えにソブリン金貨を加えることが出来るという見通し、ほぼ確実な見通し、によるものでした。


もちろん、皮を処分する前にカワウソ達を見つけて、見つけたら撃たなければなりません。しかし、そのような痕跡を追って彼らを追跡することよりも簡単なことはないだろうと彼は考えました。そして、彼は年老いて病弱ではありましたが、青空寝椅子(couch)を去って雪の中を彷徨っている体が長い生き物達を仕留め損なうことなど考えられないことでした。最初の興奮の瞬間にはその仕事はとても簡単に思えましたが、やがて様々な困難が彼の前に現れ、あたかも彼を目的から振り落とすかのように彼に押し寄せてきました。身を切るような風の冷たさ、深い吹き溜まり、生き物たちが崖を目指していた可能性、いや、確率、衰弱した自分の体。すべてが彼に逆風となりましたが、それらをただ単に軽視し、脇に追いやり、向きを変えてよろよろと小屋に戻り、どんな犠牲を払ってでも挑戦することを決意しました。


敷居を越えると、彼は真っすぐに囲炉裏に向かい、二丁の銃とその上の木の杭の上に置かれた真鍮のラッパ銃に目を上げました。火打式銃は簡単に手の届くところにありました。しかし彼が使おうとしていたのは現代的な銃でした。そして、つま先立ちでなんとか撃鉄を掴み、下ろしました。一年ちょっと前、この素晴らしい作品をそこに置いたとき、彼はそれを二度と使うことはあるまいと思いましたが、雪の積もった海の上でカワウソが提供してくれた、このようなチャンスが来るとは夢にも思いませんでした。


「わしはちゃんと真っ直ぐに構えることがでけるかな、もちろん、でけるとも」独りよがりな自答が返って来ました。

「十分ちゃんとまっすぐ構えれるとも」


それにも関わらず、それが出来ないことを意識し、自分の弱った力を試すことを恐れていました。埃は全て失せていたにも関わらず、彼は銃身に何度も息を吹きかけ、そして、雪を積んだ暗い空を思い出し、銃床を肩に当て、片目を閉じ、銃に沿って見ました。彼の若い頃、人間と武器は青銅で一緒に溶けていたように思え、彼はしっかりと立って保持することが出来ました。しかし今、彼が恐れていたように、外のセイヨウカリンの木にいるムクドリを狙うと、窓ガラスの格子の上で視界がジグザグに揺れました。


「だめだこりゃ、アザラシにさえ当たりゃせん。カワウソになど当たりっこねえわ。こげんに銃口があちこち震えとったらよお。おや、まあ、まあ、まあ」

そして彼は長椅子の隅にへたり込みました。


しかし、少女が世話をしていたハリエニシダの火の前に座っていると、手に暖かさが戻り、ソブリン金貨のことを考えていると血の気が増し、彼は2度目の試みをしようと決心しました。彼は立ち上がり、再び銃を肩に上げ、息を止め、まだ揺れている枝に群がっている鳥を狙いました。視界がほぼ的をとらえていたので、自信が戻り、老人の顔は明るくなり、武器をテーブルに立てかけて準備を始めました。彼は衣装ダンスの引き出しから火薬瓶、ショットポーチ、帽子、wads(訳註:弾丸を抑えるための詰め物)を取り出しました。彼は両方の銃身に装填し、ラムロッドを交換しました。それから彼は、着古したビロードのコートの襟を上に上げ、アナグマの毛皮の帽子を耳にかぶせ、子供に長く離れてはいけないと告げ、銃を小脇に抱えて飛び出しました。


その足跡は凍ったボートを通り過ぎ、揺れるコリヤナギの林へと続いていました。しかし、そこに到達する直前に、まるで生き物達が先を越した採餌者を目にしたか、あるいはすぐに湿地の向こう側に向かうのが最善だと考えたらしく、予期せぬ方向にそれました。老人は、体を折り曲げたまま向きを変え、強風に顔を向け、足跡の脇を勇敢にとぼとぼと歩きましたが、ところどころ雪が革の脛当ての半分まで達していました。その雪の深さから、彼はカワウソが横になる前にそれほど遠くまで行かなかったのではないかという希望を抱きました。そこで彼はカワウソの避難所を提供する可能性のある、あらゆる遮蔽物に近づくたびに撃鉄を上げ、銃を構えました。川の向こう岸の草むらを探し回りながら、彼はこれを何度も繰り返しました。そこではカワウソ達が丘の麓まで途切れることなく広がる雪原を渡る前に探索のために留まっていました。


一歩一歩進むごとに、彼はますます深く雪の中に埋もれていきました。10ヤード進むごとに雪はどんどん深くなっていき、ついには大きな吹きだまりとなって彼の行く手を阻みました。風によって溝が出来、エスカロープ状(訳註;肉の薄切り状態)になった雪の盛土にある切れ目は、カワウソがトンネルを掘って通り抜けた場所を示していました。そして老人は、彼らが近くにいることを確信し、麻痺した指に息を吹きかけた後、銃身をしっかりと握り、後を追う決意をしました。雪の吹き溜まりは若くて背の高い男でもひるむほどの恐るべきものだったので、窒息しそうなその塊の中に身を投じることを彼は2度躊躇しました。しかし再び黄金のソブリン金貨が頭に浮かび、今や手の届くほど近くなっているその黄金の輝きが彼を奮い立たせました。彼は銃を頭上にかざし、雪の塊に向かって進み、その中に沈み、手と銃以外すべて沈み、戦い、そして戦い抜きました。目に入った雪を猛烈な勢いで払いのけながら、彼は熱心に右と左を眺め、獲物はまだ歩いていて逃げ出そうとしていると判断しました。しかし、彼の視界にある倒れた葦の間に、動いている動物は何もありませんでした。あひる小屋の壁の下にあったようなはっきりとわかる、大きな足跡と小さな足跡だけが幹の間をジグザグに海の方向に向かって進んでいました。

「急ぐんでねえ。可愛いこちゃん。すぐに追いつくからよう」

そして彼は脆い葦の間をゆっくりとパキパキと音を立ててながら進みました。彼は騒がしい音で獲物が後退し、その姿を見ることが出来ると期待し、熱心に前を見つめ続けました。しかし、幸運な捕食者が飢えを癒したバン(訳注:水鳥の一種、クイナの仲間)の翼以外には彼の目に留まるものは何もありませんでした。


しかし、彼はカワウソ達そのものの姿は何も見ませんでしたが、彼らがずっと彷徨いながら夜を過ごしたわけではない、という証拠を雪の中に見つけました。葦と小川の間には、彼らが転がり落ちて踏み固められた場所があり、彼らが滑り落ちた斜面がありました。滑り台を見て彼は立ち止まり、間違いなく飢餓に苦しんでいる生き物たちが、はしゃぎ回る余裕があることに驚きました。

「神が作りたもうた生き物の中で、汝らほど遊び好きな動物はいない」

彼はそう呟きました。しかしすぐに彼の血生臭い使命を再開しました。今度は、カワウソ達がこのまままっすぐ砂州と崖に進み続け、彼の手の届かない所に行ってしまったことが、すぐにでも判明するのではないか、という不安がありました。したがって、ハリエニシダの生えた岬に到着した時、彼の懸念は杞憂であったこと、カワウソ達が湾の河口を渡らずに、その地点を回り込んで入り江を通り過ぎたことを知って、彼は安堵しました。彼は、彼らにきっと遭遇し、ありそうな2つの巣穴のうちの近い方に彼らは現れるだろうと確信しました。そして帽子の庇の下から覗くたびに、彼の光輝く目がその方向に向けられました。彼はカワウソが生息する島をボートで通り過ぎたときに、カワウソがこっそり逃げていくのを2度目撃したことがありました。


「あいつらは今あそこにいるにちげえねえ」

老人は足跡がその方向に曲がるのを見てそう良い、両方の撃鉄を一杯に上げ、それまで必要とは考えてませんでしたが、忍足で進みました。島に到着した時、彼は積もった雪でごちゃごちゃの塊になった場所で足跡を見失いました。彼はその塊を突き崩そうと試みました。しかし、彼はそんなところに獲物がいるとは思ってなかったので、足で踏みつけるのを止めました。そして、彼らがいると信じていた空洞の幹の方を見て、「お前達、そこにいるのか?」と呼びかけました。そして思い切って穴に近づき、裂け目から覗き込みました。彼らが飛び出した時にうまく撃てるように、少し距離を保たなければなりませんでした。目を凝らし、首を伸ばしても、薄暗い奥にある黒い物体を見分けることは不可能でした。彼は彼らがそこにいるのは確かだと感じ、雪玉で彼らを追い出せるかもしれないと思いつきました。彼の靴裏の鋲釘の跡が残る雪の塊を手に取り、彼は2つの雪玉を作り、それを開口部に素早く続け様に投げ込みました。2番目の雪玉を手を放すとすぐに置いた銃を拾い上げ、逃げ出す動物達を撃つ準備を整えました。しかしカワウソは現れませんでした。

「ここにはいねえみたいだ」

彼はそう言い、それでもつま先立ちで木に近づき、木を蹴り、そして彼の期待が完全に消え失せていないことを示す機敏な動きで飛び退きました。やはり反応はありませんでした。グラグラする樹冠から落ちる雪のほかには何も動きませんでした。彼は木に近づき、亀裂から覗いて、根元から枝まで薄暗い殻の中を調べましたが、その横の地面にある魚の骨のある古い巣以外には何も見つかりませんでした。


ついにカワウソは本当にそこにはいないと確信した彼は、雪に露出した氷を越える際に銃を使って体を安定させながら、島の向こう側へ追跡を続けました。そこで足跡を発見し、彼は自分に先見の明が欠如していることを思い出し、激怒しました。


「くそ!このポンコツ頭!どうして先に島を一周しなかったんだ」

彼は、熱い後悔の言葉を漏らしました。

「落ち着け、慎重になるしかねえだ」

そう言って彼は唸り、再び騙されないように戻って行く足跡を探し、土手から土手へと大股で歩きました。しかし、開いた雪の上にも、葦の茂みの中にも、カワウソ達が戻って行った兆候はありませんでした。足跡を取り戻すと、彼はそれに沿って進み、動物達が湾の端で休んでいると確信しました。


「ようやくだな、苦労した価値があるわ。毛皮に賭けてもいいが、あいつらはここにいる。じっくり時間をかけて、あいつらの頭を狙う。でかいやつが最初だ」


入り江の端に近づくにつれ、彼はますます興奮し、ついにはカワウソ達がイバラに入る前に2つの草むらの間を一列で通過した場所に到着すると、彼は極度の興奮に襲われました。しかし、彼の興奮にもかかわらず、彼が取った予防策は、彼がしっかりと自制していること、そして、千載一遇のチャンスを最大限に活用しようと目論んでいることを示していました。彼は音を聞き漏らさないように帽子のフラップを上げました。そして銃身についた雪の粒をすべて払い落としました。そして銃が不発しないことを確かめるため、銅製のキャップを上げると、火薬がまだnipple(乳首に似た管状のねじ部分)に残っているのが見えました。そして、すべての準備が整ったので、彼はカワウソ達を最後の隠れ家から追い出すために、もつれた小枝を踏みつけて進み始めました。


彼が6歩ほど進んだとき、かなり前方のイバラ(bramble、訳註:棘のある灌木)から雪が落ちてきて、何かが起こっていることを彼に知らせました。その瞬間、彼は立ち止まって耳を傾け、その落ち着きのない目はカワウソの逃げ場を探していました。彼の緊張した手の中で銃が震えていました。カワウソ達が姿を現さなかったので、彼は彼らが姿を隠してこっそり逃げようとしていると確信しました。そして藪から抜け出す時、必ず通らなければならない葦原に注意深く目を向けました。茎がわずかに揺れ動いているのを見ると、彼は狂ったように低木をかき分けて進み、端に立って銃を構えました。しかし、あまりに興奮しすぎたので、ほんの少し遅れてまた進みましたが、先ほどの無謀な突進ではなく、慎重な歩みで進みました。やっと至福の瞬間が到来し、彼は獲物達が逃げていってしまうことだけを恐れていました。彼が慎重に数歩踏み出した時、わずかなカサカサという音がしました。そして驚いたことに、一羽のサンカノゴリ(bittern)が飛び上がり、湾を下って行きました。銃が向けられ、人差し指は引き金に当てられていましたが引きませんでした。そして鳥は怖がることもなく遠くに飛び去って行きました。それはひどい失望の瞬間であり、老人は倒れ込みました。銃が肩から滑り落ち、彼の顎は落ちました。一瞬前まで燃え上がっていた目は今は鈍く気だるいものになっていました。葦の間をよろめきながら峡谷に沿い、岸辺がほぼ切り立ったあたりにある小さな囲いに向かって歩いている時、彼の背は何インチも低く見えました。


「わしは『妖精のサロン(Piskies’ Parlour)』にでもいたにちげえねえ。でもどうやってあいつら逃げたんだろうな?」


彼が言い終わらないうちに、彼の目が崖の斜面の表面についた新たな足跡に落ちました。それから彼は、カワウソ達が一番下の岩棚に飛び上がった時に雪の上に残した足跡に目をやりました。


「わしの頭の中は霜で凍りついてんのか?それともわしの目の中で妖精でも踊っているのか?ありえん、こんなことありえん。

わしの目はありのままの真実を語っているのであろうか、おや、まあ」彼は長く息を吸ってから続けました。

「わしはこの沼を50年近く彷徨って、いろんな足跡を見てきたが、こんな足跡は一度も見たことねえ。おお、神様、こんな足跡を残したやつはとてつもねえ害獣にちげえねえ。ああ、こいつを捕まえれたらなあ!」


足跡を見たことが彼に新たな生命を吹き込みました。彼はできる限り後を追うことを決意しました。


「死ぬほど疲れたが、足跡を最後まで見届けてやろう」


カワウソが登ったところを追いかけられるのは猫だけでした。それで彼は湾に戻り、高い土手をよじ登り、崖に続く風が吹きすさぶ尾根を目指しました。強風に耐えながら断崖絶壁の縁まで必死で進んだ老人が見た心細そうな姿は、道端が岩板の上にあっただけで、そこから水しぶきが降り積もっていた雪の一部を洗い流していた。強風に耐えながら断崖絶壁の縁まで必死で進んだ老人は、そこで絶望的な光景を目にしました。足跡が岩板の上で途絶え、そこから先は水煙が降り積もっていた雪の一部を洗い流していました。


「終わった・・・」

崖に沿ってさらに離れたところにある大きな浮き石の山(great pile of loose rock)に目を向けながら、彼はそう呟きました。

「あいつらは隠れ家(clitter)に篭ってしもうた。では、わしも帰るとするか」


帆も翼も見えない海をひと目見た後、彼は海の上にある断崖の先端まで進みました。そして慎重に崖の端を越え、岩と草むらにしがみついて無事に下山することに成功しました。彼は麓でしばらく立ったまま休みました。それからすぐに、カワウソのことで頭が一杯になりながら、小屋を目指して雪原を越えて出発しましたが、カワウソを手に入れる希望はすべて諦めていました。


彼は生き物が崖にいると確信していたので、道が分岐する場所に来るまでは、海の真っ只中で出くわした足跡を全く重視してませんでした。しかしそこで彼は状況の重大さに気づきました。


「おお、おお」と彼は足跡を確認しながら言いました。

「ここで君達は別れたんだな?1頭は葦原へ行き、もう1頭は上へ登って多分どこかよそへ行ったんだろうな」


少し間を置き、彼は笑いながら付け加えました。

「カワウソさんよ、お前はもうわしのもんだ」


貴重な戦利品が自分のものになると思うと、彼は再び生気とエネルギーを取り戻しました。カワウソが通るであろうと予想していた流入路の近くにある孤立した茂みに目を留めながら、カワウソが作った溝に沿って彼は勢いよく歩き始めました。茂みに到着してその周囲を探り、その向こうの雪の上にも足跡の形跡が見られなかった時、彼の驚きと興奮はかなりのものでした。


「こんなちっぽけな茂みの中にいるはずはない、と誰もが考える」

彼はその茂みとカワウソが向かうに違いないと思った葦原の間に位置し、声を殺して言いました。

「しかし、ここにいるはずだ、ちげえねえ、お前さんはここにいる」

そして、声を張り上げてこう呼びかけました。

「カワウソさんよ、もう逃げ場はねえよ、諦めて出ておいで、早いとこ終わらせようや」

そう言って彼は銃で葦を叩き始め、葦の茎を踏みつけながら進みました。茂みの真ん中で、彼はカワウソの青空寝椅子(couch)を見つけました。彼はすぐにかがみ込み、その暖かい感触を確かめました。

「お前はここにいた」

彼はそう言い、バキバキと葦を地面に薙ぎ倒しながら進みました。


カワウソを一目見たいという一心で、ひざまずいて草の茎の間から覗いたとき、残りの遮蔽物は十数ヤードもありませんでした。カワウソの頭だけが覗き見え、人間と獣の目が合いました。沼地猟師が立ち上がる前に、その生き物は逃げようとして荒々しく跳躍し、飛び出しました。バン!バン!最初に1つの銃身、次にもう1つの銃身が火を吹きました。老人は弾が命中したと信じ、狂ったように追いかけ始めました。実際、彼は足の短い生き物に対して少し先んじていたので、息さえ切れてなければ追い越したかもしれませんでした。実際のところ、20ヤード進んだ後、彼に出来ることは自分の無力さを嘆き、巨大な黒い姿がどんどん遠ざかっていくのを眺めることだけでした。

「なんという獣じゃ!」

彼は何度も何度も喘ぎました。それから突然、「やつが倒れた!」と彼は叫び、走り始めました。しかし、カワウソは倒れていませんでした。弾も命中してませんでした。ただ、雪の中に見えなくなっただけでした。彼が再び砂州の近くに現れたとき、興奮した沼地猟師は自分の間違いに気づき、再び立って見守りました。尾根に到達すると、カワウソはその見事なプロポーションを見せながら、尾根に沿って走りました。一度彼は立ち止まって敵を振り返りました。数分後、カワウソは視界から消え、老人は踵を返して家路に向かいました。

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