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一片の雪/それでもおれは君を...  作者: 希塔司
第2章 「やはり元カノって存在はうざい...」
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第23話「透の長い1日②」

料理もすごく豪華だ。

高級料亭で出される懐石料理そのものだ、前菜からメインディッシュの蟹の甲羅焼きまで幅広くお品書きが書かれたものを仲居さんに呼んでもらった。お互いにこの豪華な料理を写真に撮り、snsに挙げていく。陸のやつはきっと羨ましがりそうと思ったがあいつはあんまり見ないから多分美緒辺りが反応するかなと思う。


「さてと、写真撮ったし召しあがろ!

ほらほら主役さん食べてみて!」


朱音ちゃんに急かされながらもおれはまず前菜の金平の和物(あえもの)を食すことにした。


「美味いこれ!」


「でしょ?w」


ただの和物だと思って舐めていたけどさすがに懐石料理の前菜。風味、味、見た目、食感、何から何まで一流のものだった。他の品も食べてみるとやっぱり美味い。


朱音ちゃんもアサリやシジミから取れている出汁汁を飲んで美味そうに笑顔になっている。他にも煮物や茶碗蒸し、採れたての鮎の塩開きなや真鯛の刺身など本当に美味い料理に感動を覚えた。


「これいつか陸たちにも教えたいな!」


「いや、ここは2人だけの秘密にしよ。陸や未紗にこの味はわからないよw」


「それもそうだなw

特に陸は食えりゃなんでもいいようなやつだから。」


陸はどちらかと言うとガッツリと食べたい人間だから懐石料理やフレンチとかはあまり行かなそうだしな。未紗ちゃんは和食はあまり食べないとのこと、おれと朱音ちゃんとの最初の秘密の共有となった。




       ーーーーーー


「いやー美味かったわ!連れてきてくれてありがとね!」


「そうだね、来てよかった!

てか透くんプレゼントまだ開けてないよね?」


「あ、そういえば店で開けるってなってたけど料理に夢中で忘れてたw」


そういってもらったプレゼントの箱を開けてみた。すると中には1番欲しかったワイヤレスイヤホンが入っていた。それも1番高性能のものでけっこうな値段がするものだ。



「え!?これほんとにもらっていいの?」


「うん!誕プレ!」


「ありがと!1番欲しかったやつなんだよ!」


「今聴いてみようよ、透くんの好きな曲かけてさ!」


おれはさっそく接続して携帯の中に入れている1番好きな歌手の1番好きな曲をかけることにした。盛り上がる恋愛ソングだ、男だって恋愛ソングは聴いたりするものだ。


高校時代に陸が美緒と付き合っていたのが羨ましくて恋愛ソングをあさっていた時にたまたま見つけた曲。今思い出してもほんとに懐かしい。近くのベンチに座り、片方を朱音ちゃんに渡して再生する。


もらったイヤホンはやっぱりすごいいい音質だ。まるで脳にまで響くくらいクリアで尚且つ重い。今気づいたけど隣には朱音ちゃんが座っていてめっちゃ近い。


「あ、透くんこの歌手知ってたんだ!」


「高校の時によく聞いてたんだよ、朱音ちゃんも知ってるの?」


「うん、私もちょうど高校の時に聞いてた!」


この曲もちょうどおれたちの高校時代に出しているしそこそこ売れてる歌手だからもしかしたらと思っていたけどやっぱり聞いている人もいたんだと。朱音ちゃんもその1人だった。


「私当時好きだった人がいたんだ。その人とこの曲のような恋愛したいなって思ってたんだけど、私が一歩踏み出すのが遅くて別の人と付き合っちゃったんだよね。

未紗はいつも『ダメだよ思った時に即行動しなきゃ』って言ってくるんだけど、やっぱり一歩を踏み出すのは怖いよね。」


朱音ちゃんは高校時代の自分のことについて話し始めた。確かに肝心の一歩を踏み出すのは怖い、おれだって自分から告白したりしてこなかったから本当に好きになった人に一体どうすればいいんだかわからない。そう考えると陸や未紗ちゃんは自分の気持ちに正直になってるから強い。2人を本当に尊敬するしおれにはできないことだ。


ただおれも1人の男だ、自分が決めたことは最後までやり通す権利と責任はあるはずだ。

だからこそ誕生日というタイミングとはいえおれは、自分の思う事、考えている事、感じる事、すべてをこの人に伝えてみようと思う。それがおれの気持ちの伝え方、恋愛のやり方だから。


「おれも似たような感じかな。」


「え?」


「正直陸に嫉妬してる部分はあるんだよ。

あいつ確かに極端なやつだけど、未紗ちゃんとおんなじように自分の気持ちをしっかりと相手に伝えることができる人間だから。


.....だから羨ましいって思うんだ。

おれ自身昔からいろんな女子に言い寄られたりはあったけど、自分から好きになったりすることがなかったからその一歩を踏み出すのが怖い。おれも同じように。」


「言い寄られてる時点で陸くんと違ってモテてるじゃんw」


「まぁそうなんだけどね。

けど、その関係としては非常に淡白であっさりしてる。そこには好意はあっても愛がないって、本当はおれすっげぇ重いんだ。愛したいし愛されたい。わがままなのかもしんないけど。


でもみんなの理想の男として振る舞った結果そういうあっさりした関係でしか関われなかったんだ。」


あぁ、ついに言ってしまった。

陸しか知らなかった本当のおれについて、なんでだろう?なんで朱音ちゃんに言えたんだろう。



いや、朱音ちゃんだからこそ言えたんだと思う。明るくて気さくな感じを見せている恥ずかしがり屋な人。そんな君をおれは...



「透くん他に何か聴こうよ!」


「え、あぁそうだね!洋楽とかは普段から聴く?」


「あまり聴かないけどどんなの聴いてるのかは知りたいな!」


次に洋楽を流すことにした。

洋楽はノリノリで車を運転するEDMか落ち着きたいって思った時に聴くバラードの2種類がメイン。今の感じだとバラードがいいかもしれない、何年か前に流行った曲だ。


「この曲懐かしい、聴いたことある。」


「有名だからね、確かタイトルは

『この思いが成就したなら』だったかな日本語訳で。」


全米オリコンチャートで年間No.1を取った曲だったから街中などでどっかで聞いたことあるって感じの曲だ。そしてタイトルに惹かれてこの曲を好きになった。女性ボーカルの声が透き通っていて聴いていて心地良くなる。


肩に感触があったから見てみると朱音ちゃんが頭を乗せていた。眠たそうな顔をしながらうっとりと曲に浸っている。それとも甘えたいのかなと一瞬感じた、そう感じたからこそ肩を寄せてみたら流れに身を任せて体が近づいた。そして朱音ちゃんもおれの顔を覗かせて雰囲気に飲まれた。そのままキスする流れになっていった。


側からみたらおれたちは今カップルに見えているんだろうか。




       ーーーーーー


疲れて眠ってしまったのか、ここは...おれん家だ。隣には朱音ちゃんがいる。まだ深夜の真っ最中で外はアブラゼミの鳴き声だけ、車の音はほとんどしない。部屋の中は暑くお互いに汗をかいてしまっていたからクーラーをガンガンにして、朱音ちゃんに布団をかける。


リビングに行き冷蔵庫の中にある水を取り出してコップに注いで一気していく。はぁ、少し落ち着けた。それから自分の姿を見て驚愕してしまった。


おれ、ついに大人になってしまったのかと。

陸、やっとおれもお前に追いついたぜ。そんな今だから思う。


「朝、言ってみるか...」


聞こえないように静かに一人言をつぶやいた。朱音ちゃん、今日はありがとう。君のおかげで最高の誕生日を迎えることができたよ。小さい時から両親は仕事で忙しく、高校までは夏休みもあってなかなか祝ってもらえなかったから今年は本当に幸せな1日になった。



少なくても今日が1番人生で幸せな1日だったのは確かだ。

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