友達は偉大
今回の話には、テストが出て来ます。
空欄が見づらかったら、すみません。
作者は、学生時代テスト大嫌いでした。
よろしくお願いします。
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「ハナ、凄いじゃない。ノートをとっていない様に見えたのに、リッツ先生に当てられても、すらすら解けていたわね。」
「ありがとう。算数は、得意なの。その代わりに、歴史や地理が凄い苦手で……。困ったら、助けて欲しいわ。」
私は、前世で数学が苦手だったけれど、一次方程式位なら、まだ何とかなる。
「そうなの?私は歴史や地理は好きだけど、算数は凄く苦手なの。お互い、助け合いましょう。」
エスタが、私の手を両手で握る。
私も両手で優しく握った。
「エスタ、もう仲良くなったのか?私達にも、聖女ちゃんを紹介して欲しいな。」
「とっても可愛い子ですのね。」
そこに二人、女の子がやってきた。
「はいはい。ハナ。こっちの背が高い方が、男爵令嬢のベル=ラプン。おっとり穏やかそうな子が、子爵令嬢のハンナ=エッグよ。」
「可愛い子だなって思って、凄く見てたんだよ。私とも友達になって欲しいな。ベルって呼んで。」
「私も、ハンナで良いですわ。」
ゲームでは、見た事なかったけれど、そうよね、こんなに社交的で性格の良いエスタが、ぼっちなわけないわ。
赤髪をポニーテイルにした、ちょっと吊り目な赤い瞳がベルで、金髪をハーフアップにした黄色の垂れ目がハンナね。
エスタは、髪の毛をツインテイルにしているし、私はサイドを編み込んでいるから、ここにいる全員が違う髪型だ。
「ベルに、ハンナね。私もハナで良いわよ。よろしく。ハンナも敬語じゃなくていいよ。」
「私は、敬語の方が話しやすいので、気にしないで下さいね。」
「わかったわ。」
「可愛くて、性格も良さそうな子で良かったわ。このクラス、高位貴族が多いから、友達になれる子は貴重なの。」
「そんなに、高位貴族ばっかりなの?」
「男爵や子爵の令嬢は、私達だけよ。他は、伯爵令嬢が三人に、侯爵令嬢が一人、公の公爵令嬢が一人よ。男子の男爵や子爵子息は、八人。伯爵子息が三人、公の公爵子息が一人、王太子様が一人よ。」
「特にこのクラスは、王太子様がいらっしゃるから、学園で一番爵位が高いんですの。婚約者の公爵令嬢のアリッサ様、公爵で宰相の子息のライ様、ライ様の婚約者の侯爵令嬢のガーベラ様がいらっしゃいますわ。」
「凄く気品のある方々だから、見ればわかると思うけれど、爵位が上の方には、話し方とか気をつけてね。」
「わかったわ。丁寧に話す様に、気をつけるわね。所で、他国の皇子様とかはいないの?」
「他国の皇子様?このクラスだけじゃなくて、他の学年にもいないと思うわ。」
「そうね、聞いた事ないから。」
あれ?
攻略対象者のナムロがいない?
おかしいな。
ぶつからなかったショーンといい、ゲームとずれてきている。
これは、何かがゲームと違う?
私がヒロインをやっている事もそうだけれど、誰か他にゲームの知識を持った人がいるのかも。
慎重に行動しないとまずそうね。
「そうだったの。これだけ、立派な学園だから、他国の方も留学しに来ているのかと思ったわ。」
「ハナの言う通り、私達の親世代位にはいたらしいんですけれど、最近、他国との関係がピリピリしてきた影響で、留学等はなくなっているそうですよ。」
「ハンナ、詳しいのね。」
「私の家は、大きい商会をやっていて、色々な噂話がはいってくるんですの。」
「ハナは、エッグ商会知らない?卵の看板が目印で、国内製品から、外国の品まで何でも取り扱っている大きい所よ。学園の中にも、お店があるの。」
卵の看板。
そういえば、男爵領の町でも見た事あるかも。
今つけている白いレースのリボンを買った店だった気がする。
「このリボン、その商会で買った物だわ。」
「ご贔屓に、どうもですわ。他にも、可愛いのが沢山あるので、今度おすすめしますね。」
「ハンナ、お願い。学園の中も外も、全然わからないから、案内もして欲しい。」
「それなら、私にも任せてほしいな。まずは、お昼休みになったら、学園の中を案内だね。」
「アリッサ様とガーベラ様にも、挨拶しないとですわね。」
「学園の敷地内の店には、今度の休みに一緒に買い物しに行こう。」
「三人とも、ありがとう。」
友達が出来て、良かった。
ぼっちは、辛いわ。
カラーン。カラーン。
予令のチャイムが鳴る。
「次は、歴史の時間ね。」
「エスタ、私が困ったら、助けてね。」
「任せて。」
前の扉が開くと、ハンレーがはいってくる。
どうやら、担任が授業を行うスタイルらしい。
持って来た荷物を置き、準備をしている。
授業が始まる鐘がなると、一番前の机にプリントを配っていく。
「今日はテストを行う。一年生の復習だ。教科書はしまう様に。」
「ごめん、助けられなかったわ。」
「これは、しょうがないわ。自力で頑張る。」
前の席のベルから、送られて来たプリントを見る。
穴埋め方式だ。
『魔法とは、人間は( )歳の時に神から授かる物である。
魔法は、基本的に一人一つである。
例外は、我が国の王女で、公爵夫人となったパトリシア様等、数人である。
魔法は人間だけではなく、動物も使える。
魔法を使える動物を( )物という。
( )物は、基本的に種族で一つの魔法である。
稀に、二つ以上魔法を持つ物は、( )と言う。
そんな( )物から、国や民を守っている人達を( )騎士団といい、ダンジョンや依頼を受けて討伐している民間の団体を( )ギルドという。
( )騎士団には、適した魔法を使える( )が多く、( )ギルドには、様々な魔法を使う一般国民が多い。』
「全員に行き渡った様だ。名前を書いて、始めなさい。」
私は、名前を記入すると、空欄を埋めていく。
これは、自信あるかも。
余裕を持って、書き進めていく。
ゴードン先生が、面白く教えてくれた所だ。
先生は、昔冒険者をやっていた事があったらしく、その話も教えてくれた。
よし、埋まった。
「隣と紙を交換して、答え合わせを行う。」
「ハナ、交換しよ。」
「はい、お願い。」
「何だか、自信有りそうね。」
「今回は、家庭教師の先生に聞いていた事が丸々でたわ。」
「それは、良かったわね。私も、今回は自信ありよ。」
「交換が終わったな。それでは、答えだ。一個目の空欄は(十)。二個目、三個目、五個目は、(魔)。四個目は、(レア)。六個目、八個目は、(辺境)、七個目、十個目は、(冒険者)、九個目は、(貴族)だ。しっかり、内容を覚えておくように。では、テストを回収する。前の席に回せ。」
「凄いわ、ハナ満点よ。」
「エスタも満点ね。」
「得意科目だもの。」
空欄を埋めると、こうなる。
『魔法とは、人間は(十)歳の時に神から授かる物である。
魔法は、基本的に一人一つである。
例外は、我が国の王女で公爵夫人となったパトリシア様等、数人である。
魔法は人間だけではなく、動物も使える。
魔法を使える動物を(魔)物という。
(魔)物は、基本的に種族で一つの魔法である。
稀に、二つ以上魔法を持つ物は、(レア)と言う。
そんな(魔)物から、国や民を守っている人達を(辺境)騎士団といい、ダンジョンや依頼を受けて討伐している民間の団体を(冒険者)ギルドという。
(辺境)騎士団には、適した魔法を使える(貴族)が多く、(冒険者)ギルドには、様々な魔法を使う一般国民が多い。』
「去年は、この国を守る辺境騎士団についてや、魔法を授かる魔法教会の歴史や、一般国民の団体である冒険者ギルドの成り立ちについて学んだな。今年は、それらが魔物の撃退の為にどう歴史に関わって来たのか、また他国とレッツェル王国との関係について学ぶ。特に、他国との関係については、外交を行う際、貴族として、非常に重要となる。きっちりと学ぶ様に。」
「アンダギー子爵は、お父様やお兄様、お祖父様も代々親族で外交官が多いの。私も家で特に学んだ分野だから、腕がなるわ。」
「ハンナもだけど、このクラス凄い人が多いのね。」
「王太子様がいる一組だから、ただの子爵や男爵は、このクラスには、居られないのよ。」
「そうなのね。」
「ナコッタ男爵は柑橘類が有名だけど、このクラスに入れるまでじゃない。ハナ自身の回復魔法が、かなり重要視されてると思う。このクラスで一緒に頑張ろうね。」
「そこ、私語はやめて、真面目に授業を受ける様に。」
ハンレーの声で、私もエスタも、目を逸らす。黒板に書いてある文字に目をやり、必死にメモをとる。
やっぱり、歴史は苦手で、覚えるのは大変だった。
後で、エスタに教えてもらおう。
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読んでいただき、ありがとうございます。
一応、レッツェル王国にも歴史があります。
ゴードン先生の昔話も、後で、書けたらいいなと思っております。
しかし、サターニャ先生の昔話も想定以上に長くなってしまっているし、ゴードン先生の方が長くなりそうな予感がするんですよね……。
時間が出来たら、書こうと思います。
これからも、よろしくお願いします。