表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/66

事故

よろしくお願いします。

今回、馬車の事故の描写がございます。

ご注意ください。

グロイ描写は殆どありません。

.


夏らしい爽やかな柄のドレス。

いつものドレスより、軽い気がする。

ただし、コルセットはつけているし、丈は足首より長い。

とにかく暑い。

外に出る時は帽子もつけているし、日傘もしているけれど、いつか熱中症になりそう。

早く制服に戻りたいな。


「お嬢様、お顔がだらけています。カフェの中の個室とはいえ、ご令嬢としての品格がある顔でお願いします。」


「ナサリー、暑すぎるわ。汗だくになる位、暑いもの。難しいわ。」


「確かに、この暑さは辛いですわね。今冷たい飲み物を注文しますからお待ちください。」


カラン。

氷の入った飲み物の音が心地よい。

店員が陶器のカップに入れた飲み物を持ってきた。


「夏のブレンドアイスティーになります。」


ナサリーが一口飲んだ後、カップを手に取ると、赤い液体を口に含む。


「甘酸っぱくて、美味しいわ。」


「最近話題のハイビスカスやローズヒップ等をブレンドした美人になれるアイスティーらしいですわ。」


「美味しくて、美人になれるなんて素敵ね。」


「はい。さて、どうやら待ち人がきた様ですよ。」


個室の中に、エスタとハンナが入ってきた。


「ハナ。元気にしてた?お泊まり会楽しみね。」


「遅れてしまってすみません。」


「エスタ、ハンナ、久しぶりね。勿論、元気よ。」


「良かった。待たせちゃってごめんね。来る途中に事故があったみたいで、馬車が回り道しなきゃいけなかったの。ベルも遅れてるみたいね。」


「そうだったのね。確かに5分位前に大きい音がしたから、それがそうだったかも。事故の場所、ここから近いのかしら。」


「先ほど、執事達が確認しに行ったのですが、どうやらかなり大きい事故だったらしいですわ。大型の馬車同士がぶつかったと聞きました。」


バン。


「ハナ、すぐ一緒に来て。」


扉が豪快に開かれると、砂まみれのベルが入ってきた。


「その格好。どうしたの?」


「私が乗っていた馬車が事故にあって、とっさに結界をはったけれど、時間がなくて自分しか覆えなかったの。フェーンが。フェーンが死んじゃう。」


ベルが、大粒の涙を流し始める。


「わかったわ。今すぐに行くから案内して!」


ベルと同じく、砂まみれのモノクルをつけた執事が一礼する。

この執事は、服がかなり破れていて、出血が凄い。


「ナコッタ男爵令嬢、大変に申し訳ありません。ご令嬢の貴女を事故の現場にご案内するのは、誠に失礼なのですが、今は緊急事態でして。」


「緊急事態なのは、わかったわ。まずは、あなたからね。」


とりあえず、砂まみれだし、細菌とかで余計悪くならない様に、身体中綺麗にしてから、傷も治るイメージで集中。

執事は白く光ると、砂や身体の傷が直った。


「こ、これは、素晴らしい。全て綺麗に治るなんて。」


「ハナ、こっち。」


ベルが私の腕を素早く掴むと、移動し始めた。

エスタやハンナ、ナサリーに執事も後からついてくる。

歩いている間に、ベルを綺麗にしようと魔法を使ったら、出来た。

カフェをでて、通りを二つ挟んだ所は、まさに地獄だった。

4頭立ての馬車が横転していて、真っ二つに割れている。

馬は1頭を除いて、動いていない。

もう一つの馬車は、民家に突っ込んでいた。

砂煙がもうもうと立ち込め、視界が悪い。


「フェーンは、こっち。」


倒れている馬車の近くに比較的綺麗な布が何枚か引かれて、その1つに男の子が寝ている。

立派で綺麗だったであろう服は、千切れて殆どない。

顔に傷は殆どないが、下半身が酷い。

布がかかっているが、右足も左足もあるべき場所に膨らみがない。

男の子が出している声は、悲鳴ではなく、意味をなさないうめき声だ。

でも、まだ生きてる。


「回復魔法。お願い、元気にして。」


フェーン第二王子殿下だけではない。

周りの怪我をした人全員だ。

あの馬達も、全員できるだけ、元気にしたい。

白く輝く光が、辺りを覆った。

何故か、私自身も輝き始める。

身体中の魔力を全部持っていかれそう。

倒れる前になんとか、魔法を終わらせる。

フェーンの足の膨らみが元に戻る。


「あれ、ここは、どこ?」


寝ていたフェーンの目が開いた。


「……良かった。」


倒れそうになる私の身体を、誰かが支えてくれた。





「……ハナ。ハナ!」


誰かの声が聞こえる。

目を開けると、知らない天蓋が見えた。

ここ、どこ?


「……あの後、どうなったの?!」


「良かったですわ。目が覚めましたのね。」


「良かった。いきなり、倒れるから驚いたわ。あんなに凄い魔法使ったからだろうけれど。」


豪華な天蓋付きベッドに、私は寝ていたらしい。

ベッドサイドに、エスタとハンナ。

後ろの方にナサリーがいる。


「お嬢様、ご安心下さいませ。事故にあった人は全員助かりましたわ。全員傷1つございません。」


「そうなの。良かったわ。」


「あれだけの大きな事故で誰も死ななかったし、傷1つもなかったのは、本当に凄いことよ。しかも、事故にあったのが、第二王子殿下とゲッティ皇国の大使ご夫妻だったの。どちらかが傷ついても、外交問題になっていたわ。」


「すぐできる対応を全て終えて、今は王宮の中の応接室にいる所ですわ。」


「ここ、王宮なの?!」


「そうですわ。」


通りで、見たこと無いくらい豪華で広い部屋だと思った。


コンコンコン。


「失礼します。レディの目が覚めたとお聞きして、入ってもよろしいですか?」


大人の色気のある声。

この声って……。


「少々お待ちくださいませ。お嬢様、身体を起こせそうですか?」


「ええ。どこも痛く無いし、健康よ。歩けるし、座れるわ。」


「そうしましたら、宰相様がお待ちですので、ソファの方でお迎えしましょう。」


「なぜ、宰相様が、ここに。でも、わかったわ。ソファの前でお迎えするわ。」


ナサリーが私を優しく起こすと、靴を履かせた。

髪の毛や服の皺をささっと整えると、ソファまで誘導してくれる。

エスタとハンナも両隣に立つと、ナサリーは扉を開けた。


「お待たせして、申し訳ありません。」


「いえ、まったく待っていませんから、大丈夫ですよ。元気そうで良かったです。」


ルドルフはにっこり笑った。

待って、推しが笑った。

やばい、かっこいい。

自分の顔が赤くなるのがわかる。

にやけそうになるの堪えろ、私。


「倒れた私を寝かせて下さり、ありがとうございます。ただ、今目覚めた所で、あの後どうなったかがわかっていなくて……。」



.

読んで頂き、ありがとうございます。

やっと主人公と宰相が喋りました。

次回も喋ります。

これからも、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ