優秀なクラス
よろしくお願いします。
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この学園には、学園祭があった。
「そうですわね。去年は何をしたんですか?」
「去年は一年生だったから、おとなしく合唱をしましたの。ただ、今年は張り切ってますから。劇になるんじゃないかしら。」
乙女ゲームのシナリオ通りだ。
学園祭は、前世の文化祭の様な出し物だ。
ただ、全クラスが、体育館の様な学園ホールで、舞台の出し物をする。
学園生の父兄が観にくる数少ない学園行事だ。
一年生は、合唱。
二年生は、合奏や劇。
三年生は、音楽と劇を合わせたミュージカルだ。
各学年毎に最優秀賞が決まる。
これは、攻略対象者と仲良くなるチャンス。
ここは、何としても良い役をやらないと。
「では、このクラスの出し物は、眠り姫の劇で、主役の王子は、王太子殿下。お姫様は、クーヘン公爵令嬢で決まりです。」
「僕らは婚約者同士だし、王子と姫はぴったりだね。」
「ま、まあ、普段と同じなら気も楽ですし。」
無理だった。
本物の王太子殿下とその婚約者の公爵令嬢がいる所で、私が姫をやるという口を挟む隙がなかった。
「はい、私、魔女役やりたいです。」
「ありがとう、ラプン男爵令嬢。魔女役も決まりだ。」
「私、いつか悪役ってやってみたかったんだよね。」
悪役もベルに取られた。
どうしよう。
何の役ならいいかな。
「じゃあ、私達三人で妖精役やります。」
「それも決まりです。」
迷っている間に役が決まった。
「ハナとエスタと私の3人で妖精役は、楽しそうですわね。一緒にやりましょう。」
「うん、そうだね。一緒にやるわ。」
妖精役なら、可愛いしいいかな。
それに、エスタとハンナも一緒だし。
「王様と王妃様の役は、シュマロ公爵子息とリッシュ侯爵令嬢ですね。」
「私が王役で良いのですか?」
「ショーン様とアリッサ様には、主役をやってもらわなきゃだから、私達は、王様と王妃様しかないじゃない。」
「そうですね、主役は確かに。私は、王様役を引き受けましょう。」
王妃様、そういう役もあったのか。
でも、それもこの雰囲気じゃ、絶対取れなかったな。
公爵子息と婚約者の侯爵令嬢だし、間に入れないわ。
「良い魔女役をアンナ様、ウタナ様とバーム伯爵令嬢にお願いします。」
「「はーい。」」
「わかりましたわ。」
「その他は、ナレーションをこのカナデル=フランクが。大道具や衣装等の手配を他の方々にやっていただきます。」
「衣装なら、登場人物分が必要だな。後、カーテンとか布系なら、うちのディー子爵にまかせてくれ。」
「キートの所は、繊維業が盛んだったな。任せた。」
「うちの領地は、テーブルや椅子、額縁なんかの木材系は、任せてくれ。」
「ウッド頼んだ。流石、レート大森林を持つレート伯爵だ。よろしく。」
「なら、うちは飲み物、食べ物だな。」
「流石は、コース。美食の街と呼ばれるジュエ子爵の料理、美味しそうだな。ぜひ、劇の為に用意してくれ。」
次々にやる事が決まっていく。
「一組は、話が早くて楽だな。もう決まったなら、お前らに任せる。今日は一日、劇に時間を充てていい。本番が成功する様に、クラス全員で協力してくれ。家族にはかかった経費は、学園に請求するように。又、学園への寄付も勿論歓迎だと伝えてくれ。俺は職員室にいる。」
ハンレーは、そういうと教室をでていった。
教室の前の黒板で喋っているのは、カナデル=フランクで子爵子息だ。
カナデルの魔法は、マイク。
自分の声や違う人の声を大きくできる。
ナレーションはぴったりだ。
他にも、男子の半数が大道具や小道具を担当してくれた。
「台本はどうする?」
「三年前に姉のクラスが眠り姫をやったから、その台本を譲ってもらえないか、聞いてみるよ。それをこのクラス風にアレンジしてみる。」
「カイ、頼んだよ。」
「任せて欲しい。後、ここをこうにしたいという希望があったら、教えて欲しいです。なるべく脚本に取り入れます。」
「王子と王女のキスシーンをいれて欲しいな。」
「ショーン様、なんて事をおっしゃるんですか!」
「良いじゃないか、私達は婚約者なのだから。」
「良くありません。沢山の方が観にくるのですよ。人前でキスなんて出来ませんわ。」
「わかったよ。ただフリでいいからシーンだけは、あって欲しいな。」
「王太子殿下、かしこまりました。」
「絶対にフリですからね!」
ざわざわとクラスが盛り上がる。
キスシーンをいれたら、確かに盛り上がるだろう。
しかも、王太子殿下とその婚約者の公爵令嬢のキスシーンだ。
これで最優秀賞は、うちのクラスに決まりだろう。
ただ、攻略したい私としては、不満だ。
ショーンと仲良くなりたいのに、どうしたらいいのか。
そうしてる間にも話はどんどん進む。
衣装のサイズは、デザイナーに直接贈ることになった。
デザインはお任せになる。
「三年前の眠り姫は、眠りにつくのは、薔薇の棘が刺さったからというシーンだったんだけれど、そこは変更なしでもいいかな?」
「いいんじゃないか。薔薇に囲まれて眠る姫は見応えあると思うから。」
「薔薇の花も調達しよう。」
「季節外れじゃないか?」
「研究所に問い合わせてみよう。」
本当に話がどんどん決まる。
二週間後から、午後の授業が全て学園祭準備に変わる。
それまでに衣装が仕上がるそうだ。
ディー子爵子息が張り切って、最優先に仕上げると言っていた。
大道具は難しいが、小道具は二週間後に揃うらしい。
練習場所はダンスホールを借りられることになった。
台本もそれまでには間に合わせると、カイ=ムパイが息巻いている。
このクラス、優秀な人しかいないと聞いてはいたけれど、優秀すぎる。
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