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14/66

女の子

よろしくお願いします。

.


「ああ、ごめんね。びっくりさせちゃったかな?実は先に、僕の方がここにいたんだけど、言いだすタイミングが無くなっちゃって。」


そこには、司書がいた。


「そうだったんですね。」


「うん。随分と大きなエメラルドだね。まあ、宰相の息子なら、それ位の大きさはお小遣いで買えるレベルだね。気にせず、貰っておくといいと思うよ。」


「宝石の値段がわかるんですか?」


「ああ、目利きは得意なんだ。」


にんまりと笑う。


「君は僕と会話をしてくれるんだね。他の子達は、質問に答えてくれるだけだったのに。」


そう言えば、三人から近づくなって言われてた。


「私もそろそろ勉強に戻らないと。」


「そっか。僕の名前はアンドリュー。じゃあ、またね。」 


「さようなら。」


本を抱き抱え、階段を下りる。

またね、って言われた。

近づかないって約束したのに。

図書館に来ないなんて無理だろうし、どうしよう。

……でも、別にアンドリューは、何も悪くないのに、誰からも会話をして貰えないなんて可哀想。

私が少し位喋っても、いい気がする。


「ハナ、遅かったね。ライ様はすぐ降りてきたのに。」


「うん。色々お薦めの本を聞いたから迷っちゃって。でも、この三冊にしたわ。」


ごめん。

嘘ついちゃったわ。


「そう。ライ様にお薦めを教えて貰えるなんて良かったわね。」


カーン。カーン。

遠くから鐘の音がする。


「お昼休みだわ。片付けて食堂に行きましょう。」


アンドリューとは違う司書に、本を借りる手続きをして、図書館を後にした。


「隣に、食堂があるのよ。」


そこは、高級レストランの様だった。

aコースとbコースの好きな方を選び、普通か大盛りを選べる。


「私は、肉料理のaコースにするわ。」


「私もそっちにしよ。」


「私は魚料理のbコースにしますわ。」


「私もbコースにするわ。」


エスタとベルはaコース、私とハンナはbコースだ。

席に座れば、ウエイターがカトラリーをだして、飲み物とコースを聴きに来る。

直ぐに前菜が運ばれてきた。


「お昼っていつもコース料理なの?」


「そうよ。マナーを身に付けるための授業の範囲らしいわ。だから、お昼に一時間、その後、一時間休憩があるの。」


「休み時間が一時間あるなんて流石は、魔法学園ね。」


前世じゃ、ありえないわ。


「でも、急がないとよ。午後の授業はダンスだから、休み時間のうちに、ドレスに着替えなきゃ。」


「なるほど、そういう時間もあるから、一時間あるのね。」


凄い納得した。

ナサリーに頑張って貰わなきゃ。

コース料理は、凄く美味しかった。

男爵領の料理よりも、美味しい。

前世に比べたら、何百倍だろう。

凄く手が込んでる。

だけど、二コースしかないから、暖かいうちに料理がでてくる。

美味しいから今度は、肉料理も食べなきゃだ。


「ここの料理凄く美味しいわよね。王宮の料理と同じレシピなんですって。流石は、王族も食べるランチよね。男性の先輩は、ランチで就職先を王宮に決めた人もいるらしいわよ。」


「確かに卒業してからも食べられるなんて、幸せね。私も考えるかも。」


「将来が選べるなら、そうだね。私達に選択肢があるかは、解らないけど。」


「え?」


「ほら、私達は貴族の子女ですから、学園を卒業したら、結婚をする様に親から言われてますもの。」


「私も。外交官にはなれそうだけど、それも外交官の夫がいて着いていくって感じでしょうね。きっと、お父様の部下と結婚する将来だわ。」


「私も、納得はまだしてないが、きっとフェーンが卒業したら、公爵を賜って結婚するんだと思うよ。まあ、婚約中は王宮で暮らすかもだけど。」


「私は、きっと商会を大きくする為の結婚をするはずですわ。まだ、相手は居ないですけど、お父様にとって一番条件が良い方が相手になるはずです。」


「皆、そんな感じなの?自分の将来なのに?」


「何を言っているのですか?私達貴族なら、当たり前の考えでしょう?」


皆が、急に遠い存在に思えてきた。

私と彼女達では、価値観が違いすぎる。

前世では勉強して、採用されれば自分の希望の職業につけた。

だけど、ここの世界は違うんだ。

女の子は学園を卒業すれば、結婚しなくちゃならない。


「……私も結婚するのかしら。」


「それは、そうよ。前も言ったけれど、アリッサ様にご兄弟がいれば、その時点で婚約者が決まっていた位だから。公爵家じゃなくても他に高位貴族は沢山いるわ。ハナなら、可愛いし回復魔法も凄いから、引くて数多よ。今から唾をつけて置けば、必ず婚約を申し込んでくれると思うわ。一クラスなら、同い年だし、将来有望よ?」


「そうですわ。私みたいに何歳上のおじさんに嫁ぐかわからないなんてことにならないだけ、ハナさんは恵まれていると思いますわよ。」


二人の会話が重い。

私は学園でハーレム希望だし、恋愛したり、胸がキュンキュンする様な事は、起きて欲しい。

好きな乙女ゲームのヒロインになったら、誰でも夢見ると思う。

だけど、私は今すぐ結婚したかった訳じゃない。

普通、結婚ていうのは、何年か付き合ってお互いの相性を見た上でするものじゃないの?

知らないおじさんとなんて絶対結婚したくない。

途端に美味しかった筈の料理から、味がしなくなる。

おかしいな、本当は美味しい筈なのに。


「まあ、大丈夫だよ。まだ私達には、一年以上学園が残ってるんだから。学園生活を楽しもう。」


「羽が伸ばせる自由な生活に友達と喋る時間、こんな貴重な物は、ないですわ。楽しまないと損ですわよ?」


皆、大人だな。

ハンナなんて、望まない結婚になるってわかってるのに、絶望しないなんて。

一年て、もう一年しかでしょう。


「さあ、食べたら、ドレスを着ましょ。コルセットを閉めるのだから、お腹が半分満たされる位が良いと思うわ。それに、綺麗に着飾ったら、私だけの王子様が結婚を申込んでくれるかもしれないし。」


「あら、エスタまでそんな夢見がちな事を言うんですのね。それなら、私にも商会に有益で、尚且つ見た目もかっこいいそんな人が現れる様に頑張って着飾りますわ。」


「夢を見るのは、自由だからね。午後の授業も頑張ろう。」


食欲がなくなった私は、その後のご飯がほとんど食べられなかった。

だけど、三人とも同じくらいしか食べてなかった。

普段からあまり食べないようにしているのか、それとも小食なのか、それとも本当は皆私と同じ理由で食が進まなかったのか。

私には、思いもよらぬ返事が返ってきそうで、三人に理由が聞けなかった。


「お嬢様、どうされましたか?浮かない顔をされていますが……。」


「ああ、ナサリー。心配させてごめんね。何でもないの。それに、私友達が四人も出来たのよ。とても学園が楽しいわ。」


食事が終わった後、寮に帰ってきた。

新しく作ってもらったドレスに着替えている。

可愛いドレスに身を包んで、嬉しい筈なのに、モチベーションが上がらない。

ナサリーに髪の毛を編み込んでもらって少しだけ垂らしている。

凄くかわいい。

でも、ドキドキしないの。


「お嬢様。」


ナサリーに、優しく微笑まれる。


「うちのお嬢様は、世界一可愛いですわ。お姫様にも負けていません。悲しい事があった時は、他の楽しい事を考えると良いですわ。薔薇野雫先生の漫画のことでも良いですし、かっこいい男の子の事でも何でも良いんです。お嬢様が楽しそうにしているだけで、ナサリーは嬉しいですよ。」


ナサリーは、私の手を引いて、鏡の前に連れていってくれる。


「さあ、この美人さんは一体誰でしょう。お嬢様には、わかりますか?」


「ふふ、私よ。」


「そうです、私の大事なお嬢様ですわ。」


「ありがとう。ナサリーのおかげで少し前向きになったわ。」


「それは、良かったです。」


そうよね。

学園生活が短いなら、思いっきり楽しめばいいのね。

やれるだけやってやるわ。

私が目指すのは、ハーレムよ!

私は、制服のポケットから、図書館で貰った大きなエメラルドのブローチを箱から取り出した。


「お嬢様、これはどうしたのですか?」


「くれるって言うから、貰ったの。失明を回復魔法で救ったお礼ですって。」


「そんな大きい事を、この短い間にされていたのですね。しかも、そんなに大きな宝石。贈られた男性は、余程高位貴族の方なのでしょう。」


胸元ではなく、腰についているリボンの辺りにブローチをつける。

全体的に黄緑色の柔らかな色合いのドレスで、リボンの辺りに造花が付いているが、濃い緑のブローチをそこに付ける事で、ぐっと引き締まった気がする。


「お嬢様、頑張ってくださいね。」


ナサリーは、笑顔で見送ってくれた。


「ええ、頑張るわ。」


ここからが、ヒロインの見せ所よね!


.

読んでいただき、ありがとうございます。

この次は、もう一度あの人のターンです。

よろしくお願いします。

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