つららの親
ブックマーク、コメント、評価、よろしくお願いします。
感想もくれたら、最高に喜んでしまいます。
「『氷盾』」
避けきれない攻撃をつららが氷を出して守った。勢いづく竹も、流石に重厚な氷を貫くことはできず、百々目鬼の寸前で止まった。
「やっぱりつららは強いな……」
雅楽はつららの方をチラリと見た。その視線を感じたのか、つららは戦っているというのに、笑顔で手を振った。彼はまだまだ余裕そうだ。
「それにしても、なんでこんなにも百々目鬼さんと相性が合うんでしょうねー?」
「それは我らが親子だからだろう」
「え?」
先程まで笑顔だったつららから急に表情が消えた。「親子」という単語が恐ろしいのか、冷や汗までかいている。
「な、なんの冗談ですかー?」
「冗談などではない。最初に見たときにどうも既視感があると思ったが、一緒に戦ってようやくわかった。我らは親子だから戦いやすいのだろう」
百々目鬼は鷹揚な素振りで、つららに近づいた。
つららはその分後ずさりする。白い肌を流れる冷や汗は、途中で凍りついた。
「我は生涯を通して最高の食事を探し求めている。何千年前からそんな生活をしてきたか忘れてしまったが、十数年前ふと思ったのだ。我の食事は百体の処女の死体と自然物を混ぜ合わせて作られる。その自然物を変えて今まで食事を楽しんできたが……、死体の方を変えたことはなかった」
つららはその赤い瞳に百々目鬼の禍々しい姿を映した。
「十五年前、試しに五十体の男と、五十体の女の死体を混ぜ合わせ、そこに富士の山頂に積もった雪を加えてみた。すると女のような姿をした男が生まれたではないか。我はあくまで女じゃないと食べる気はしないからのお。その容姿が最も活かせそうな職業である影間に売った。だからお前はその見た目で、小さい時から雪や氷を操ることができたのだろう」
百々目鬼はその大きな腕で、つららのことを抱きしめた。つららはされるがまま、彼に体を預けている。
「お前は、親の愛に飢えているのだろう。その瞳を見ればわかる。どこまでも愛を求め、狂ってしまったのだな。これからは我と共に生を歩んでいこうではないか」
百々目鬼は抱きしめた両手で、つららの背中をさすった。彼の温もりの中で、つららは満面の笑みを浮かべた。この一ヶ月毎日過ごしてきた雅楽が、見たことがないほどの笑顔だった。
「そういうことだったんですねー」
つららは百々目鬼の腕の中で、氷を出した。氷は氷柱のように尖った角を持ちながら、つららを包んだ。そしてその棘は百々目鬼の体を何箇所も串刺しにした。
百々目鬼は慌てて距離をとったが、その体にはいくつも穴が空いている。
「なぜだ……」
体に開いた穴はあっという間に塞がった。しかしその表情には動揺と怒りが混ざっていた。
彼は、なぜつららがようやく見つけた自分の父親を拒むのか理解ができないようだった。
「殺せる。殺せる殺せる殺せる! 小さい時からの私の夢! それを叶える時が来ました!」
周辺の気温がぐんぐん下がっていく。雅楽が人生で感じたことのないほどの寒さだった。
つららは今までも十分強かった。しかし、それでも彼は今まで本気を出したことがなかったのかもしれない。
雅楽はそう確信した。
「雅楽くん。今更ですが、加勢させてくださいー。私はこいつを殺さなくてはいけませんから」
「つらら! 今更そんなことを言っても!」
「……いいよ」
「雅楽!」
「いいんだ、蓮香。お父さんはつららに殺されたわけじゃないし。それに僕たちで百々目鬼を殺すのは難しいでしょ?」
「それはそうだけど……」
つららが雅楽たちの元へとやってきた。これで、全員が百々目鬼のことを倒す決意をすることができた。
百々目鬼は再び骨を出すと、雅楽たちに向けた。それに迎え撃つように、雅楽たちも身構える。
「みんな行くぞ!」
作者の紫 凡愚と申します!
この作品が面白い、気になると思った方は是非、ブックマーク、コメント、評価お待ちしています。途轍もないやる気になります! タイトル通りストックは最終話まであるため、人気になればどんどん投稿ペース上げてくのでよろしくお願いします!




