最強のタッグ
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「……まずい。あれはぬらりひょんの本来の姿、百々目鬼だ。できればあの姿になる前に倒したかった」
百々目鬼は手のひらから尖った骨を出した。その先端は鋭利で、人どころか、岩ですら貫けそうなほど鋭かった。
「治郎! 後ろじゃ!」
千草がそう叫んだ時には、百々目鬼は今までにない速度で治郎の背後に後ろに移動し、手を突き出していた。治郎は身をよじってなんとかそれをかわした。治郎の強化した反射神経でも、ギリギリの速度だった。
「みんな、よく聞くんじゃ。百々目鬼となった奴の速度についてこれるものはおらぬ。だから心を読める妾が指示を出す。妾なら奴が行動を起こす前に何をするかが分かるからのう。じゃから、雅楽殿は妾を守り、みんなは妾の指示に従うんじゃ」
「私も忘れないでほしいですねー。『氷襲』」
つららの足元から大量の氷が広がっていく。氷はたくさんの棘を持ち、触れただけで貫かれそうだった。
「来て! 『ぬりかべ』」
懐から巻物を出した蓮香は、あやかしを出した。ぬりかべと呼ばれたあやかしは、あやかしというよりも、ただの巨大な壁だった。それは真正面からつららの攻撃を受け止めた。
「カグヤ! 蓮香の右横に百々目鬼がくるのじゃ! なんとかして守るのじゃ!」
「……分かった。『紅葉舞う神木』」
百々目鬼の攻撃は、大木によって防がれた。しかしその大木に向けて、つららは氷の軌道を変えた。鋭い氷は一瞬で大木を砕いた。その瞬間に百々目鬼は蓮香に向けて、攻撃する。
「『天轟く鳳笙』」
百々目鬼の手に握られた骨を、下から治郎が弾く。骨は手を離れ、くるくると宙を舞った。
「雅楽!」
「『竹刺』」
百々目鬼の足元から何本か竹が伸びる。いずれの先端も骨と同じくらい鋭く、百々目鬼の体を貫こうとしている。
「許しませんよー。『氷地結』」
つららの氷が竹の上を多い、成長を止めた。
さらに氷の上に百々目鬼が乗ると、氷は自由自在に移動し、まるでサーフィンのようにあちらこちらを滑った
。
つららと百々目鬼は初対面だというのに、なぜか阿吽の呼吸で行動することができた。つららに隙ができれば百々目鬼がそれをカバーし、百々目鬼に隙ができればつららがその隙を埋める。つらら自身、パズルのピースがはまるように、相性が合うと感じていた。
「カグヤ! 右に飛び退くのじゃ!」
指示を受けたカグヤは右に大きく飛んだ。先ほどまでカグヤがいた場所には氷の柱できており、百々目鬼がそれを貫いて砕いていた。
「……千草が一番厄介です」
つららが不愉快そうに眉をひそめ、百々目鬼と目線を合わせた。二人の間で、何か意志の交換のようなものをしている。
再び百々目鬼はつららの氷に飛び乗った。百々目鬼を乗せた氷は高速で移動し、蓮香へ迫ってくる。
「蓮香! ぬりかべの後ろに隠れるのじゃ!」
蓮香は急いで通りにぬりかべの背後に回った。攻撃の手を阻まれたつららたちだったが、むしろ計画通りという感じで、不気味に笑った。
「むふふー。騙されましたね」
「……っ! まずいのじゃ!」
つららは自分の心を読まれていると知り、わざと嘘をついた。裏切ろうという魂胆を隠していた時のように、蓮香を狙おうという表向きの心を千草に見せて、その奥底では千草を狙おうとしていた。
先ほど目線を合わせた時に、百々目鬼はその作戦に気づき、ただ目の前に来た敵を殺そうとだけ考え、その相手は足元の氷を操るつららに任せていた。
目線を交わしただけでそこまでの計画を立てられた二人の息はまさしくピッタリで、最強のタッグだった。
「逃げ……」
千草は急いでその場を離れようとした。しかし、足が動かない。つららの力により、足と地面が凍りついており、くっついていた。
「すまぬ……、かぐやよ……」
足が動かない千草の前に、ぐんぐんと百々目鬼が近づいてくる。その手に、再び先端が尖った骨が生やされた。触れるだけで貫通してしまう鋭さを持った骨は、まっすぐに千草の胸を指している。
その光景を見ていた雅楽は、急いで駆け出した。もはやあやかしの力を使うことは間に合わず、千草を救うにはその身を捧げることしかなかった。
百々目鬼と千草の間に雅楽が立ち塞がる。つららは焦った様子見せた。このままでは雅楽が死んでしまう。
「まずいです!」
雅楽だけは殺したくなかったつららは、急いで氷の勢いを緩めた。なんとか雅楽の前で氷は止まりそうだったが、百々目鬼は勝手に行動を起こした。彼は先ほどつららと交わした約束を破り、そのまま雅楽を殺そうとした。この場にいる全員の精神的支柱である雅楽を殺せば、士気が低くなると考えたようだ。
「『百目貫』」
百々目鬼は勢いよく手を突き出した。その手に握られた恐ろしいまでに白い骨は、雅楽の心臓へ吸い込まれてゆく。
もう治郎の奥の手もない。雅楽は自分の死を覚悟した。
(ああ。せめて親孝行だけしたかった……。お父さんにお母さんの話を聞きたかった……)
自分が死ぬのが怖くて、雅楽は思わず目を閉じた。
「『鬼笛葉二』」
治郎の声が聞こえた。
—グサリ
作者の紫 凡愚と申します!
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