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ようこそ! あやかしの世界へ!  作者: 紫 凡愚
第1章 あやかし界への導き
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ブックマーク、コメント、評価、よろしくお願いします。

感想もくれたら、最高に喜んでしまいます。

霧濃い深山(みやま)の奥の奥 人化(ひとば)け猫が毛繕い

嫁入り道具の確認を

かんざし 着物 アマ台 鏡台 

チリ チリ チリリ チリン チリン

それから雅な首の鈴

主人を迎えに 人の世に

導く我らのあやかし界

チリ チリ チリリ チリン チリン

小粋に揺れる首の鈴

夢想のことと思うなかれ 今に向かうぞ

チリ チリ チリリ チリン チリン




「うわあ!」


 七月の蒸し暑い教室、乾いた蝉の鳴き声と眠気を誘う教師の声の中に、叫び声が響き渡った。

叫び声を上げた生徒を教師も他の生徒もじっと見つめている。そして段々と「クスクス」という笑い声が教室に湿気と共に漂い始めた。


「またお前か、雅楽(うた)。授業中に寝るだけならまだしも、そうやって叫んで起きるのはやめてくれ」


 教師が叫び声を上げた生徒、雅楽を注意すると、クラス中の生徒がどっと笑った。彼がこうして叫びながら起きるのはこれが初めてではなかった。


「すいません……」

「全く。まあ、ちょうどチャイムもなったし今日の授業はここで終わりにする。明日は夏休み前の最後の授業だから、ちゃんと起きとけよ」

「分かりました」


 教師が教室を出ていくと、生徒たちは嬉しそうに教科書をしまい、帰り支度を始めた。未だ眠気の残る雅楽はぼーっと頬杖をついていた。長い前髪が目元で揺れて痒かった。しかし、それを直すことすら面倒くさかった。彼は目が髪で隠れているので、いつも陰鬱そうだった。


 窓の外に視線を移すと、グランドで体操着を着ている生徒たちがサッカーをして遊んでいた。体育の授業は終わっているが、少しだけ遊んでいるのだろう。雅楽はそれを羨ましそうに眺めていた。


「雅楽、今日もまたあの夢を見たのか?」


 茶髪の短髪で見るからに活発そうな生徒が話しかけてきた。彼の持つ鞄には『鈴木武臣(たけおみ)』という名札がつけられている。彼は高校に入ってすぐにできた友達であり、三ヶ月たった今でも二人はよく遊んでいた。


「そうなんだ……。毎回驚いちゃうんだよ、この夢を見ると」

「というか、雅楽が怖がりすぎなんだろ。本当にビビりだよな」

「僕は別に普通だよ」

「強がんなよ。夢が怖くて授業中に叫んで起きるやつなんていないって」


 雅楽には悩みがあった。まず極度の怖がりだということだ。彼は昔からホラー映画や心霊番組が怖くて見られなかった。特に幽霊系のホラーは、よくある学校の七不思議程度のものでさえ耳を塞いでしまうほど恐れているのだった。


 それから先ほども見た夢も悩みの種だった。いつからかは分からないが彼が小さい時から何度も同じ夢を見ていた。着物姿で後ろを向いた女性がただ歌っているだけなのだが、年々その夢を見る頻度が増していた。


「それにしても不思議な夢だよな」

「なんで怖がりの僕に限ってこんな夢見るんだろう……」

「まあ、幽霊なんているわけないし。そう考えたら気が楽だろ?」

「幽霊がいないのは分かっているよ。でも怖いものは怖いんだ。特にこの夢はね」


 最初は「霧濃い深山の奥の奥」というフレーズだけ歌って終わっていたのだが、時が経つに連れ、段々と歌が伸びていき、最近ではこんなに長くなっていた。

 

それだけならば怖くないはずなのだが、どういうわけかその女性に、雅楽の最も嫌いな類の人ならざる者の雰囲気を感じてしまうのだった。


「ま、そんなことはどうでもいいよ。俺としてはそんなに授業をサボってるくせに毎回テストで高得点とるほうが気になる。お前、なんか特別な勉強してんのか?」

「してないよ。物覚えは昔からいいんだ。そういう武臣こそ、勉強しないといけないんじゃない?」

「はあ……、母さんからも夏休みに塾行けって言われてるんだよ。思い出させないでくれ……。せっかく雅楽と遊べるかと思ってたのに、忙しくなりそうだ。勉強の話はこれで終わり! 夏休みになるんだし、遊びに行こうぜ!」

「そう言って一週間ずっと遊び続けてるじゃん。それに昨日も言ったでしょ? 今日はお父さんが帰ってくるから家に帰るよ」

「ああ、そういえばそうだったな。すっかり忘れてたよ。じゃ、一緒に帰ろーぜー」


 雅楽の父親はシングルファーザーで、一人で彼のことを育てた。最近は仕事が忙しく転勤をしていたが、今日は久々に帰ってくるのだ。父親が愛情を持って雅楽を育てたように、雅楽もまた父親のことが大好きだった。母親はいないが、父のおかげで今まで寂しく思ったことは一度もなかった


作者の紫 凡愚と申します!

この作品が面白い、気になると思った方は是非、ブックマーク、コメント、評価お待ちしています。途轍もないやる気になります! タイトル通りストックは最終話まであるため、人気になればどんどん投稿ペース上げてくのでよろしくお願いします!

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