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第三十話 桔梗ちゃん、鈴蘭さんに忠告される

桔梗視点です。

 鈴菜さん達とお友達になった日。お家に帰った私は鈴蘭お姉ちゃんに、お友達が出来たので会って欲しいと伝えたところ、何故かしーちゃんと雪片お兄ちゃんを招いてちょっとしたお祝いをすることになりました。普段のお夕飯の場にしーちゃん達がいることが、どうしてだか嬉しく思いました。


「雪片くん、妹にお友達が出来たんだから、一緒にお祝いしよう?」

「そうだな」

「と言いますか、そういう理由でしたら僕はいなくてもいいような」

「詩恩さんを誘わなかったら桔梗ちゃんが悲しむから。それにわたしも詩恩さんと話したいし」


 パパとママが準備している間、私達は四人でお話しします。今回のお祝いは私にお友達が出来たこと以外にも、みんなでしーちゃんと親睦を深めたいという理由もあるみたいです。確かに私がずっとしーちゃんと一緒にいるので、鈴蘭お姉ちゃん達がしーちゃんとお話している姿を見ていません。ですから、こうやって二人の会話を見るのも新鮮です。


「わかりました。お招きいただき、ありがとうございます」

「お礼を言うのはわたしの方だよ。桔梗ちゃんのお友達作りに協力してくれてありがとう」

「いえいえ、それは桔梗ちゃんが頑張ったからです。お友達で思い出しましたけど鈴蘭さん、桔梗ちゃんから聞いてるかもですけど」

「明日のことだよね。大丈夫、雪片くんも承諾してるから、明日は四人で登校しよっか」

「ありがとうございます」


 タイプは違いますけど、お綺麗な二人がお話ししているだけで、まるでドラマのワンシーンみたいに見えてきます。ちなみに話している内容は、明日四人で登校して、鈴菜さん達に私の家族を紹介するというものです。


「お礼はいいよ。わたしも桔梗ちゃん達のお友達に会ってみたいし」

「そうだな。で、その友達の性別はどうなんだ?」

「男女一人ずつですけど、それが何か?」

「だったらいい。桜庭にも同性の友達が出来たかどうか知りたかっただけだからな」

「お気遣いありがとうございます」


 しーちゃんが男の子と仲良くなるのは、私がお友達を作ること以上にハードルが高い。そう考えた雪片お兄ちゃんがこうしてしーちゃんにお友達の性別を確認したのでしょう。しーちゃんが雪片お兄ちゃんにお礼を告げると、鈴蘭お姉ちゃんがこんな提案をしたのです。


「二人とも、いい加減名前で呼び合ったらどうかな? 時水さん達みたいに年が離れてるならともかく、一つしか変わらないんだし」

「言われてみればそうかもな。これからは詩恩と呼ばせて貰うか」

「でしたら僕も雪片先輩と呼ばせていただきますね」

「よかった。せっかく四人でお話ししてるのに、二人だけ距離があるのにモヤモヤしてたから」

「私もです」


 お二人が名前で呼び合うこととなったので、鈴蘭お姉ちゃんも私も安心しました。お二人はまるで兄弟みたいに同時に頬を掻きながら照れくさそうにしています。


「何と言いますか、僕から名前を呼ぶのはどうかなと」

「俺から呼ぼうにも、きっかけが中々無くてな」

「もう、雪片くんも詩恩さんも素直になろうよ」

「わかってはいるが、これが中々な」

「ですね」


 お二人とも本心では距離を縮めたかったようですけど、すれ違っていたみたいです。苦笑する彼らを見て、男の子って難しいと思いました。


「雪片くん、あとでお説教だよ。それと桔梗ちゃんと詩恩さんにお友達が出来たのなら、一つ忠告したいことがあるんだ」

「「何でしょう?」」


 鈴蘭お姉ちゃんから忠告という言葉が出て来たので、私としーちゃんは真剣なお話が始まると考え身構えました。そして彼女はひと言こう告げたのです。


「これからも二人で一緒にいたいと思うのなら、その意味をもっと深く考えて欲しい」

「意味、ですか?」

「そう。今はきっと幼馴染だから一緒にいたいって思ってるだろうけど、それはこれからもずっと使える理由じゃないんだよ。桔梗ちゃんは一昨年から去年にかけてのわたしを見てたから、何となくはわかるよね?」


 一昨年から去年の鈴蘭お姉ちゃんと聞いて、私はハッとしました。その時期の鈴蘭お姉ちゃんは、幼馴染のお二人と三角関係になっているという噂を流され、結果として疎遠になってしまったのです。幼馴染だからという理由だけでは一緒にいられないという、この上ない実例でした。


「過去の鈴蘭さんですか」

「うん。簡単に言うとわたし達は普通に仲良くしたかったのに、周りが勝手に三角関係だと騒いじゃったみたいな。自慢になるけど、わたしも幼馴染の子もすごい目立ってたから噂が大きくなりすぎて」

「それは確かに、離れないとならない事情ですよね」


 周りに騒がれることに実感があるのか、しーちゃんはうんざりしたお顔で鈴蘭お姉ちゃんのお話を聞き、納得していました。


「わかるなら話が早いね。だから、異性同士の幼馴染が一緒にいるのは、年を重ねるごとに難しくなるんだよ。ましてや二人は離れ離れになってから再会したんだから」

「俺や鈴蘭に言えたことじゃないが、付き合ってない男女がずっと一緒にいるのは不健全だからな。友達が出来たのなら幼馴染との距離の違いに悩むときがきっと来るだろう」

「今はまだいいけど、そのときになったら幼馴染だからっていうのは通用しないから、ちゃんと答えを出してね」


 鈴蘭お姉ちゃんや雪片お兄ちゃんの意見に、私もしーちゃんも反論出来ませんでした。少なくとも今はまだ、子供の頃のように一緒にいたいと思っているだけだからです。いつかは違う答えが出せるのでしょうか?

お読みいただき、ありがとうございます。


それと、この話で完全にストックが尽き、続きも考えている最中ですので、一旦区切りとさせていただきます。続きがある程度書けましたら、また投稿を再会したいと思います。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。 ひとまず、お疲れ様です。 ふたりが、どうやって、さらに近づいていくのか・・・まあ、ほっておいてもそうなるのでしょうが(笑)。 難しくも楽しみなところですね。 周…
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