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Grim ReaperⅡ:コードネームはダークエンジェル(Code name is Dark Angel)  作者: 湖灯
★★★Showdown with a black masked man黒覆面の男との対決★★★

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【Showdown with Fake Miyan②(偽ミヤンとの対決)】

 奴はさっきの水蒸気爆発で吹き飛ばされて飛んできた2mほどもある鉄パイプを拾うと「女だからって容赦しねえ」と言った。

 今までの丁寧な話し方が雑になったのは、余裕が消えたと言う事なのだろう。

 男は直ぐに長い鉄パイプを物凄い勢いで振りした。

 鉄パイプが振られるたびに、ビュンビュンと風を切る音が鳴る。

 万が一でも、これに当たろうものなら骨は砕かれるだろう。

 棒や刃物の場合は相手が打ち込んで来るのを交わして間合いを詰めた所から、武器を持っている手を掴んで捻るなどして無効化を図るのだが、こうも長さがあるとナカナカ奴の懐へ潜り込む事が出来ないし、奴の手を払うにしても蹴りさえ届かない。

 俺は振り回される鉄パイプを避けて移動するだけ。

 つまり逃げ回っているだけの状態。

 

 だが、ただ逃げている訳ではない。

 奴の体力が早く消耗するように、わざと吹き飛ばされてきた瓦礫の散らかっている足場の悪い所を探して通り、背後に障害物のある所で鉄パイプを振らせている。

 他にもっといいやり方もあるかも知れないが、まだ俺はそれを知らない。

 だから今は“君子危うきに近寄らず”を通している。

“君子危うきに近寄らず”とは古い中国のことわざで“賢い人は危険に自から近づかない”と言う意味の言葉で、不利な状況での対処方法の一つとして“逃げるが勝ち”と一緒に赤十字難民キャンプ時代サオリに教わった。

 とは言っても、逃げ回っている間、一つも反撃をしない訳ではない。

 たまに拾った瓦礫を奴に向けて投げた。

 奴は長い鉄パイプを使って、俺の投げたものを正確に俺に戻すように撃ち返してきた。

 おかげで奴が避けた、あるいは防御のために鉄パイプを引いた瞬間を狙おうとした俺の目論見は的を外されてしまい、逆に俺は自ら投げた瓦礫を避けなければならなかった。

 奴の余りにも見事な鉄パイプさばきに、敵ながら少し感動していた。

 ひょっとしたら奴の出身地はアメリカなのかも知れない。

 なぜなら瓦礫を撃ち返すバットコントロールとフォームが良いから。

 逃げるのにも飽きてきて、つい余計な事を考えてしまったが、そろそろこちらから仕掛けても良い頃合いだろう。

 2mもあるゴツイ鉄パイプを休みなしであれだけ振り回していれば、奴の筋肉には乳酸が溜まってパンパンになって来ているはず。



 女にしては背が高いが、それにしては子ギツネの様にチョロチョロと良く動き回るし、その動き方も美しい。

 女の投げた瓦礫を撃ち返してやった時に彼女が見せた、真ん丸に見開かれた眼も可愛いらしかった。

 こういう女をスカウトできなかったのは、実に勿体ない。

 奴に蹴られた太ももの裏の痛みは未だ癒えてはいないが、だいぶマシになって来たが今度は重い鉄パイプを振り過ぎて、そろそろ腕がパンパンになって来た。

 なにしろこの女ときたら、逃げまわるだけでは飽き足らず、俺に向けてその辺の瓦礫を投げて来やがるから腕が休まる事がない。

 大学でベースボールに取り組んでいなかったら、1発くらい食らっていたかもしれないが、投げられたものはチャンと投げた本人に返している。

 もっとも彼女は、それを受取ろうとしないが。

 もうそろそろ腕も限界に近いと思った頃、女が瓦礫に躓いて尻もちをついた。

”しめた!”

 すかさず斜め上から女の頭を目掛けて鉄パイプを振り降ろす。

 手懐けて嫁にしたいほど、好い女だったが、仕方がない。

 ホンの少し未練が残り、軌道修正をして女の肩にパイプの照準を合わせ直した。

 ところが振り下ろすはずの場所に、もう女はいない。

“しまった。罠だ!!”


 地を這うようなダッシュを決めて、女は踏み込んだ俺の懐に潜って来た。

 慌てて振り下ろした手から鉄パイプを離したが、もう遅かった。

 女は振り下ろした俺の左腕の袖を掴むと脇の間から頭を出して横向きになり、もう片方の手を股の間に入れ右足を抱えて持ち上げようとした。


“馬鹿な!たかが体重60kgにも満たない女の分際で、90kg近くあるこの俺を持ち上げて投げようというのか?!”

 小さい投げ技なら分からないでもないが、この女が掛けようとしている技は、柔道の大技“肩車”!

 しかも、殆ど立った状態での強力な奴だ。

“馬鹿な!”

 あっと言う間に俺の体は女の肩に担ぎ上げられたかと思うと、次の瞬間には大きく投げ飛ばされていた。


 ドンッ!


 男を肩車から投げ飛ばした瞬間、2度目の水蒸気爆発が起こった。

“何で、こんな時に”

 爆発が起こると分かっていたなら爆風を避けるため低く身を伏せていたのに、今は奴をプライドごと投げ飛ばそうとして高く背を伸ばした所から投げた所だから爆風もまともに喰らってしまう。

 俺は慌てて手から離れた男の手を再び掴み、引っ張るように身を沈め爆風をかわそうとしたが、強烈な爆風は俺たちを体ごと吹き飛ばした。


 屋上のコンクリートの床から脚が離れ、宙に浮く。

 風圧にさらわれる様に、体ごと流さされる。

 このまま風に流されれば、俺たちはビルの向こうまで飛ばされてしまう。

“ヤバイ!”

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