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Grim ReaperⅡ:コードネームはダークエンジェル(Code name is Dark Angel)  作者: 湖灯
★★★Showdown with a black masked man黒覆面の男との対決★★★
34/53

【Natow gets caught.③(ナトー捕まる)】

「おいおい、一体どうなっちまっているんだ」

「モンタナ体を起こすな!」

 顔を上げようとするモンタナをニルスが止める。

「でも、少尉」

「おそらくエマたちは今、怪しまれないように監視カメラを探している。その存在がハッキリと分かるまで待て」

「承知しました」

 不承不承ながらモンタナは、また荷台に体を横にした。



<アジトの一室>

「いいですか、勘違いをしてもらったら困りますが私たちの活動の趣旨は、世界の平和なのです。一概に世界平和と言っても、それを願っているだけでは現実は中々叶いません。勿論反戦デモなどと言う行為は時間と労力を無駄に使うだけで、おまけに経済的にも無価値であるばかりか只損益だけを出すだけの愚かな行為に他有りません」

「自分たちが平和主義者とでも言いたいのか」

 押し殺してはいるが、明らかに怒りを込めてハンスが言った。

「さすがハンス大尉、その通り。私たちは平和主義者です」

「平和主義者が、何故ナトーの命を狙った!」

 今度は怒りを隠さずに、怒鳴った。

「おっと、勘違いしてもらっては困ります。彼らは只のアルバイトです。ナトーさんの捕獲、あるいは命を取ったらと言う高額報酬の誘いに乗って来ただけの、愚かな民。勿論これまでの経過で御存じの通り、彼等ごときにナトーさんの命、あるいは捕獲など出来るはずもありません。言ってみれば彼らは、甘い言葉やひと時の感情に左右され易い戦争予備軍でしかない。戦争予備軍の殆どは実際の戦場の悲惨さを目の当たりにしたとき、只立ち尽くし敵の的になるだけの忌まわしい民でしかありません」


「なるほど、それでザリバンに高価な地対空ミサイルを与えたと言う訳か」


「さすがはナトーさん。正解です。戦いたいと願う民には、気の済むまで戦ってもらえば、自ずと戦う民は減りますからね。第二次世界大戦末期のドイツや日本のように、戦える人数の限界を越えてもなお戦おうとすれば、全ての生産能力が落ち、民は気力を失います」

「それで、どれだけの人間が死んだと思っている!お前たちは、そうやって戦いを煽り、武器を売るのが目的ではないのか!」

 飛び掛かって首を締め上げたいが、椅子ごと縛られているため、ただ椅子がカタカタとなるだけだった。

「勿論、慈善事業ではないので、武器の売り上げは崇高な意思を持つ仲間たちの生活のために必要ですから。――どうです、この前の話。貴方たちなら良いお給料を払わせていただきますよ」

「「断る!!」」

 2人同時に返事を返した。

 更に俺は、その後に、偽ミヤンの頬に唾を吐きかけた。

「ふっ、一介の下士官ごときの分際で……」

 偽ミヤンはスーツのポケットからハンカチを出し、俺の掛けた唾を拭きとると、そのハンカチをゴミ箱に捨てて部屋から出て行くときに、振り返ってニヤッと笑って言った。


「捕らえられたジャンヌダルクが、処刑までの間どういう目に遭ったのか、思い知るといいですね。敵に捕らえられた英雄の最後というものが、どれほど惨めなものか……」




「おおぉぉぉぉーーー!!!」

「こっちに来るぜ!」

「いいケツしてるぜ!」

 警備室は興奮の坩堝。




「どう、見つけた?」

「わからない……それっぽい物が、有るような、無いような……」

 人に見られていると言う環境で、しかも作戦行動中にキスをされたり下半身を触られたりしながらで、何をどうしたら良いのかさえ分からない。

 言ってみれば、正気を保つので精一杯の状態のキース。

「シッカリしなさいよ。じゃあ私が見るわ」

 エマが体の向きを変え、キースを車に押し付けた。




「おおぉぉぉぉーーー!!!」

「女の方、結構積極的だな」

「体勢を替えて、男の方を車に押し付けやがった」

「結構ボリュームのある胸が揺れているぜ!」

「おいっ、顔が見えるぜ!」

「おおぉぉぉぉーーー!!!」

「ナカナカの美人じゃねえか!」

「あっ、見えなくなった」

「女が、男のズボンをパンツごと降ろした!」

「ひぇ~っ!たまんねぇ~!!」




“なっ、何をするんです!”

“しっ!”

「レイラ、見つけたわよ。型番言うから調べて頂戴」




 車で待機していたレイラの元に、エマから監視カメラの型番を調べるように依頼が有った。

「型番って、監視カメラのだろ。そんなに覗き込んで怪しまれないのですか?」

 パソコンで調べているレイラの横で、心配顔のメントスが聞く。

「エージェントはね、見抜かれないような調査方法を知っているのよ……あった。エマ、その監視カメラはPTZ(パン+チルト+ズーム/左右+上下+拡大)カメラよ。映像の伝送方式はLANケーブルによる有線か、SIMカードによる無線のどちらか、オプションだけど集音機能も有るから気を付けて。音声は双方向で音声オプションが発動したらカメラの下側に付いているLEDライトが赤く光る仕組みよ」

『サンキュー、レイラ。ライトバンからケーブルは出ていないから屹度SIMカードよ。ハッキングして違う映像を流せられる?』

「出来ない事も無いけれど、何を流すつもりなの?」

『SEXの自撮りなんて沢山あるでしょ。その点について男の子は皆“専門家”よ』

「分かった。じゃあそっちは彼に任せるけど、少し時間を頂戴」

『OK!でも、なるべく早くしてね、彼ったら逞しくて私スイッチ入っちゃうかも』

「……」


 通話が切れて直ぐにレイラはハッキング作業に取り掛かった。

 そしてメントスは、顔の出ていないグラマラスボディーの自撮りSEX映像の検索。

「おかしいでしょう。なんで僕が」

「ナトちゃんやハンス隊長だけじゃなく、皆の命が掛かっているのよ“専門家”でしょっ、確りしなさい!」




「よし、飽きられたら困るからまた入れ替わるよ」

「そんなにハッキリ言ったら敵に音声が拾われて……」

「大丈夫よ。赤色のLEDライトは点灯していないから、まだ敵は音声機能を使っていない。その代りPTZカメラと言って、人間みたいにキョロキョロ周囲を探れるの。だから確り頑張ってもらわないと、そこでチョットだけ首を出している元NFLのオジサンが見つかっちゃうの。だから本気で来てね!」

「こらっモンタナ!」

 車の荷台でニルスに怒られたモンタナが、渋々身を伏せた。




「おおぉぉぉぉーーー!!!」

「また体勢を替えたぞ!」

「って言うことは、準備OKってことか?」

「ビンゴ!」

「おいおい、女が自分からパンツを降ろしたぜ」

「見えたか!?」

「駄目だ、腰を落としやがった」

「音声スイッチを入れろ!声も聴きたい!」

「でも、そうするとカメラの存在がバレてしまいますが」

「バレるものか。そんなこと気にする奴がこんな所で始めるかよ!」

「それはそうですね。ではスイッチを入れます」

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