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Grim ReaperⅡ:コードネームはダークエンジェル(Code name is Dark Angel)  作者: 湖灯
★★★Royal Soap Great Operation(石鹸大作戦)★★★
30/53

【Infiltrate the enemy's hideout②(敵アジトへの潜入)】

「よう、エマ。こんな所で何している? ナトーは?」

 フランソワたちのハーレー部隊が到着した。

「ナトちゃんなら、貴方たちの隊長さんとOutdoorを楽しんでいるんじゃないの?」

「森の中か」

「そう私を除け者にしてね……男と女の2人っきり、森の中で何しているか分かりはしないわ」

「ナトーは、そう言うヤツじゃねえよ。なぁ」

 フランソワは笑い、後ろのジェイソンとボッシュを振り返る。

 2人ともウンウンと首を縦に振り、同じように笑っていた。

「そうね、貴方たちの言う通りナトちゃんなら大丈夫かも。でも、ついて行くと言う私をここに置き去りにしたのは隊長さんよ」

「隊長だって大丈夫だぜ……なぁ」

 またジェイソンとボッシュが、首を縦に振り頷く。


「そーかしら、森の中は薄暗くて独特の雰囲気があるわ。それに上り坂も有れば急な斜面だってあるのよ。例えば急な上り坂でナトちゃんを先に行かせれば何が見える?」

「……」

「貴方たちも良く知っての通り、ああ見えて意外に大きいのよね、ナトちゃんのお尻って。それに太腿だってムチムチでしょ」

 フランソワたちは黙ったまま、ゴクリと唾を呑み込んだ。

「急な下り斜面はどう?もしもナトちゃんが足を滑らせて、それをハンスが抱きかかえたら? まあ、抱きかかえなくても手を取ってもいいわ。袖を持たれた事で、シャツの第1ボタンと第2ボタンくらいは外れてしまうでしょうね。そうしたら何が現れる? そう、あの巨乳!しかも、それを間近で上から覗く様に見る事になるのよ。勿論深い谷間だって見られるし、その先端にあるピンク色の――」

「おい野郎共!追うぞ!!」

 フランソワたちは話を最後まで聞かないで、慌てて森の中に駆け入ってしまった。

「――まったく、いつでもOKな、こんなに良い女が居るのに……」

 時折森の中から鳥の鳴く声が聞こえる中、エマは小さく呟いた。



「大丈夫なんですか?道路脇じゃあねえですか」

 運転をしているモンタナが、ニルスのパソコンのモニターに映るナトーたちの位置情報発信機の画像を覗いて聞いた。

「ああ、たしかにおかしい。止まっている時間が長すぎる」

「ドローンが遣られて……いっ、いや、そんなはずはねぇ。隊長も参加してくれているし、ナトーがそんなヘマをする訳がねえです」

「心配か?」

 モンタナが更にアクセルを踏んだ事に気が付いたニルスが聞いた。

「いいや、心配なんか……それより早く着かなきゃ、出番が無くなっちまいまさあ」



 ザクッ。

 薄暗い森の中をナトーと2人で進む。

 前を歩かせていると崖の上で転びそうになったナトーを助けたとき不可抗力で触れてしまったお尻や、ライフルを背中に“たすき掛け”して担いでいるためにベルトが胸に食い込んで強調されてしまっている膨らみが気になってしまう。

 俺だって男だ。

 好きな女は気になるし、ましてその女の色っぽい仕草や姿は特に。

 しかし俺は軍人。

 軍で決められた規律は守らなければいけない。

 あのグラウンドでの事は、少し……いや、だいぶ魔が差しただけだ。

 気が散ってしまうので、後ろに着く様に指示した。

 だが、後ろにいればいたで、今度は後ろが気になって仕方がない。

 見えない分をカバーするために聴覚が後ろに集中してしまいナトーの吐く微かな息までも捉え、ただ山の中を歩くために多めに空気を取り入れているだけの呼吸が“はあはあ”と艶めかしく聞こえてしまい、前に居るときよりも余計気になって仕方がない。

 ここは戦場ではないが、これから敵と対峙すると言うのに、こんなヘンテコな気持ちになってしまったのは初めてだ。

“ハンス・シュナイザー大尉、確りしろ!こんなことでナトーや仲間たちを守れるのか!”


 ハンスにお尻を触られた。

 恥ずかしさで咄嗟に蹴ってしまったけれど、いけなかっただろうか?

 不意に触られてビックリしただけ。

 別に嫌ではなかった。

 むしろ、この森の中に2人で入ることになった時から、何故か分からないがドキドキしていた。

“私を置き去りにして、ナトちゃんとイチャイチャするつもりじゃないでしょうね!”

 置いてけぼりを食らったエマが腹癒せにエッチな気分になる魔法を掛けた。



「あら、意外に早かったわね」

 待っていたエマの所にモンタナの運転するピックアップが到着した。

「ナトーは?」

「ナトさんは?」

「軍曹は?」

 皆が一斉に、この場に居ないナトーのことを聞く。

「だーめ。教えてあげない」

「何故!?」

「先ず、なんで私がここに一人で居るのか?そして大丈夫なのか?それからナトちゃんたちはどうしたのか?って、聞くのが順序じゃないかしら?」

「エマ少佐はピンヒールの高そうな靴を履いているから残された。理由は、この先の森の中を進むため。そしてハンスとナトーは森の中に入り、置いてけぼりにされたエマ少佐は御機嫌斜め」

「ピンポーン!って、誰が推理しろって言った、このパソコンオタク!」

 得意げに自分の推理を披露したニルスがエマに怒られた。

「っで、これから、どうする?」

「敵のアジトに向かうには、この森の中を進む他に、少し先に有る林道を進む手もあるわ」

「じゃあ俺たちは林道の方から行くか」

「駄目よ。林道から行くと、アジトの分岐点には廃車が1台止めてあって、廃車の中には屹度監視カメラが仕掛けられてあるから直ぐに見つかってしまうわ」


「じゃあ俺たちも、森に入って追いかけましょうぜ!」

 装備を整えたモンタナは、森の中に入る気満々。

 他のメンバーも。

「ちょっと待って、私に考えがあるの」

 エマが、そう言ってニッコリとニルスに微笑んだ。

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