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Grim ReaperⅡ:コードネームはダークエンジェル(Code name is Dark Angel)  作者: 湖灯
★★★ Black shadows approaching(迫り来る黒い影)★★★

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【Fish's swim in bed②(ベッドで泳ぐ魚たち)】

 自分でも何故、女言葉が出たのか分からない。

 でも、その事を指摘されると甘痒い感覚が全身を覆い、見透かされているようで恥ずかしかった。

「大丈夫。ここはマンションの高層階だから誰も覗く事は出来ないわ。それにこんな時間に起きている人なんてゲーマーか小説家、それにSEXに夢中なカップルくらいなものよ」

 エマの唇が甘く被さる。

 甘く痺れるような気持ちのいい感覚が、心の壺から溢れ出し、全身を包む。

 やがてお互いに激しく唇を貪るように求めあう頃になると、全身を包んでいた甘い痺れは徐々に脳を刺激し始め、そのたびに体が痙攣するように反応する。

 そして最後には頭のドアをガンガン叩きながら、無理やりこじ開けようとする。

 俺は必死に、頭のドアを抑えて堪える。

 しかしエマの容赦のない接吻は、それを許してくれない。

 いつの間にかドアをこじ開けられると、堰の切れた川の水が溢れるように一気に俺の脳に上って来た。

 脳の許容範囲を超えた感覚に、何かにしがみついていないと耐えられなくなり、エマの体に腕を回し強く抱きしめる。

 その感覚はまるで津波の様に激しく俺を襲うと、第2波第3波と大きさを変え次々に俺の頭に波打ってくる。

 最後にはまるで津波が、襲った物や人を海の底に引き込むように、俺の脳を引き込みながら静まって行く。

 俺は何も考えられず、何もできないで、その余韻に体をまかせるまま忘れていた呼吸を激しく繰り返す。


「あらあら、今度は私が抱っこしてあげる番ね」

「うるさい」

 荒い呼吸の中で微かにそう言うのがやっとだった。

「いい?」

「もう少し……」

 今動かされるのが嫌だった。

 波はまだ残っていて、それが落ち着くのを待ちたくて、もう少しこのままでいたかった。

「甘えん坊さんね」

 エマが、おでこにキスをしてくれた。

 俺はエマの首に腕を回し、エマの唇を求めた。


 鳥のさえずる声で目が覚めた。

 開けっ放しのドアから朝の光と、少し湿った冷たい風、そして卵の焼ける匂いに混じってエマの歌声が聞こえてくる。

 楽しそうな張りのある歌声。

 俺も起きなければ。

 体を起こしかけたとき、何かが光った。

 光りを発する物に目を向けると、それはエマの携帯。

 時間は7時丁度だが、目覚ましではない。

 音もバイブもしないサイレントマナーモードの携帯に、相手のナンバーが映し出されて、エマを呼ぼうとする前に直ぐに消えた。

 携帯の光が消えるのと入れ替わりに、メールが届く。

 メールには一言だけ“I will receive a dark angel today”と書かれてあった。

“dark angelって誰?”

“本日受け取りますって、一体何?”


 パタパタと慌ただしく歩くスリッパの音が近づく。

 咄嗟に携帯をもとの位置に戻し、起きていた体をベッドに沈め、何事もなかったように横になり目を閉じる。

 目を閉じていてもエマが寝顔をのぞき込むのが分かり、そして顔の上にアーチを掛けるように、その向こうにある携帯に手を伸ばす。

 エプロンを押し下げている豊かな胸の感覚が頬に伝わる。

「エマ」

「あっ、ゴメン起こしちゃったね。でも丁度いいわ、もう直ぐ朝食よ」

「ありがとう。じゃあ起きる」

 今起きた風に装い、エマの首に手を回し、朝のキス。

 口に柔らかなエマの唇が当たり、腰にはエプロンのポケットに突っ込んだ固い携帯が当たる。

「エマ」

 長いキスのあと、名前を呼んだ。

 偶然見てしまった“I will receive a dark angel today”の事を聞きたくて。

 だけど、聞くのを止めた。

「なに?」

 いつものように、優しく明るい笑顔が帰って来る。

「朝から艶々だな」

「まあ。お上手ね」

 エマが、とびっきりの笑顔を向けて喜んだ。

 そう。エマには、この顔が一番よく似合う。

 あの言葉の意味を聞いても、エマは屹度答えられない。

 決して知らないわけでではないのに”答えられない事”の一つなのだ。

 聞くだけ野暮。

 また、エマに哀しい顔をに作らせてしまうだけ。

 俺は、この笑顔を守らなければならない。

「さてと、お腹が空いた。朝食はなに?」

「オムレツとサンドウィッチ。それにカボチャのポタージュスープに野菜サラダと、ミルク。デザートはマンゴーをミキサーにかけて作ったゼリーよ」

「朝から、そんなに作ったの?」

「そうよ。凄いでしょ」

「凄いよ。絶対良い奥さんになれるよ」

「そうでしょ。私もそう思うのに、男たちは一体どこを見ているのかしら」

「その巨乳」

 エマの胸にチラッと目をやって言った。

「あら、巨乳ならナトちゃんだって私に負けないくらいあるわよ」

 そう言ってエマが俺の胸を揉む。

「そうか?」

「だって、張りが違うもの」

“若いから”と答えようとして止めた。

 31歳のエマは、もう俺の様な20歳には戻れない。

「とりあえず喉が渇いたから、朝のミルクでもいただこう」

 急に赤い顔をしたエマが「もう。出るわけないでしょっ!」と俺の背中を叩く。

「えっ!?」

 エマの勘違いに気が付いて笑うと、また叩かれた。

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