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イタリア料理屋で第3話

今回は少しシリアスがあります。

夏休み最終日。

俺は並々ならぬ努力の結果……というか委員長に助けてもらってとうとう宿題を全て終わらせた。

まあFF風にやるとしゅくだい を すべて おわらせた!

どうでもええわ。

そして俺はやっと当初の目的に移行するのである。

そう、謎の覆面料理人の正体を暴いて……


「クックック……」


正直な話すでに食べ物の恨みとかそんなものはない。

ただ好奇心で動いているのだ。

だって気になるじゃないか。

覆面料理人の正体。


「それにしても……」


俺はつくづく覆面と付き合いが多いらしい。

この間だって……ん!?


「何かおかしくないか?」


俺は考え込んだ。

……そう、答えは簡単。


「そんなにいっぱい覆面の奴が出てくるわけないだろうがぁぁぁぁ!!」


俺は頭を抱えた。

どうして気が付かなかった!?

少し考えれば分かるはずだろう。

覆面料理人と覆面ドラマーが同一人物の可能性が高い。

何せ両方女性。

かなり可能性が高いに決まっている。


「そうと決まれば……」


数分後、俺は部屋にはいなかった。




時刻は正午。

場所は光芒町駅前。


「さて、ちょうどお昼時だな」


何故この時間帯に俺がここに来たのかはお分かりであろう。

そう、昼食を食べに来たのだ!

……もあるけど、真の目的は謎の覆面料理人を探すこと。


「ちょうど昼時だ。出現率は高いぜっ!」


俺は片っ端から調査を開始した。


「すいません!ここらへんで覆面している人を見ませんでしたか?」


「いえ……」


「すいません!俺は謎の覆面料理人を探していて……」


「知りません」


しかし中々調査の進みは芳しくない。

そもそも普通覆面して町を歩いていたら目立つし、警察に捕まるかもしれない。

だから街中で覆面をしているとは考えにくい。


「と、なると……」


覆面をつけるのは店の前ということか……

これでは中々見つからない。

明日には学校が始まるし、モタモタしてはいられない。


「……とりあえず闇雲に探すしかないか」


俺がトボトボ歩いていると知っている姿を発見した。


「あれ?ナナちゃん?」


何かナナちゃんがゴソゴソしていた。


「おーい!ナーナちゃーん!」


「!?」


するとナナちゃんは驚いた顔でこっちに振り向いた。


「ど、どうしたの?」


その顔に気圧されながらも俺は言葉を紡いだ。


「べ、別に何もしてませんよ!ただここでお昼ご飯を食べようかなと思っただけですよ!」


「そ、そうか……」


そういえばナナちゃんはイタリア料理店の前に立っていた。


「ん?」


俺はナナちゃんが何かを後に隠しているような気がした。


「ねえナナちゃ……」


「そうだ!カイ先輩も一緒にお昼はどうですか!?」


「え?あ、別に良いけど……」


俺はナナちゃんの誘いを断る理由もなかったので……いや、まああるけどさ、何かあんまり断るのが苦手なので、受け入れた。


「じゃあ早く入りましょう!さあさあさあ!」


「ちょっ!あまり押すなって!」


俺はバランスを崩しそうになるが、何とか店内に無事に入れた。


「いらっしゃいませ〜。何名様ですか?」


「2名で」


俺は綺麗なウェイトレスの人にそう告げた。


「2名様、お席はこちらで〜す」


「良かった。空いてた」


何せ夏休み最終日の昼時なので、かなり店内が混んでいた。

まあ一応良かった。


「ご注文は何にしますか?」


随分対応が早いウェイトレスだな。

この時間じゃ注文も決まるわけが無いと思うが。


「私は明太子スパゲッティで。カイ先輩は?」


「え?俺?じゃあ俺も同じので」


「かしこまりました」


そう言ってウエイトレスさんは去っていった。


「ふう……それにしても……」


ナナちゃんが周りを見渡した。


「カップルばっかりですねえ」


「へ?」


俺もキョロキョロ周りを見渡した。


「た、確かに……」


俺は少し肩身が狭い思いがした。


「じゃあ私達も恋人に見られてるってことですよね?」


「……かもな」


何か期待したまなざしでこっちを見てきたナナちゃん。

いや、そんな眼差しをされても。


「嬉しくないですか?」


「う〜ん……」


ナナちゃんねえ……

俺はナナちゃんのことを考えた。

ちょっと……いや、かなり不思議系で時々毒舌。そして下ネタも多い。でもいつも明るいからみんなのムードメーカー的存在であり……


「よく分からん」


「え?」


「だからよく分からないな」


俺はナナちゃんのことをどう思っているのか、という問いには答えられないと思う。

俺にとっては面白い後輩と言うイメージが強いし。


「そうですか……少しへこみます」


「え!?」


ナナちゃんが落ち込み始めた。


「ど、どうしたの!?」


「……なんて冗談はともかく」


しかし顔をあげたナナちゃんにはいつもと同じ笑顔が。


「ここではHなことも出来ませんよね〜」


「な!?き、君は真昼間からなんて事を!」


俺はナナちゃんの下ネタトークに突っ込んだ。


「カイ先輩ってやっぱり面白いですね〜」


「そうか?ナナちゃんの方がよっぽど……」


「そんなことはありませんよ」


「え?」


突然ナナちゃんの顔が真面目になる。


「私って結構うそつきなんですよ」


「え?」


確かに嘘みたいなことを言われたのは多いが、うそつきと言うわけでは無いだろう。


「秘密の多い乙女と言うか……キャッ!今の私はとってもミステリアスでしたよね〜」


「……は?」


突然の変わりように驚く俺。

一体ナナちゃんは何が本心なのかよく分からない。


「いやいやカイ先輩も急に真面目になっちゃって〜!」


「だぁぁぁぁ!もう!年上をからかうな!」


俺は笑顔のナナちゃんに吠えた。

もちろん笑顔で。


「はい、明太子スパゲッティ2つです。ご注文は以上で?」


「は〜い」


ナナちゃんが元気よく返事をした。


「じゃあ食べようか」


「そうですね」


こうして俺達はここで昼飯を食べた。

その後、俺達は別れて俺は帰った。



ようするに俺は謎の覆面料理人探しに失敗したのだった。



……俺のバカ野郎。




?SIDE


危ないところでした。あと少しで見つかるところでした。


見つかったら何かまずいの?


別にやばくないですよ。ただ秘密なのって中々楽しいですよ〜。


へえ……


何かミステリアスガールみたいでしょう?キャッ!


……あなたね。


大丈夫ですよ。今までたくさん助けてもらいましたし、ちゃんと恩は返します。


別に無理にとは言わないわ。


でも私は力になりたいんです。カイ先輩の。そして……


……ありがとう。


いえいえ、どういたしまして。






ナナ「座右の銘は天下統一!」

カイ「意味が分からねぇ!」


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