Rem:14 全身全霊をかけて愛する君を守る2
予想通り、慎は七輝が運ばれた日の病室にいた。病室の壁際で悪夢の様子を見ている。
七輝も側にいて、一緒にみんなの背中を見つめている。室内は既に、ベッドの上の七輝の異常に緊迫していた。
『とても苦しかった……。息が出来ない苦しさと恐怖』
彼女は、眉間にシワを寄せた。
『一度目……、病院に着いてからすぐは慎や家族が待ってるからって、光だって心配するって。はっきりしない意識の中にも朧げに思って、何とか堪えた……』
ベッドの上の緊急事態に、看護師がバタバタと行き交う。場面は勝手に流れていく。七輝は家族や慎と別れ、緊急治療室へ消えていった。
その扉の前で、その時の自分が叫ぶ。
「負けるな七輝!しっかりしろ!戻って来い!七輝!」
(でも、ダメなんだ)
これは記憶だから、起こってしまった事実は変わらない。変わるならあの扉の向こうへ飛び込んで、揺すってでも叩いてでも、七輝を起こしたいところだ。
慎は顔を背けた。
「やめてくれ……。これ以上は、もう」
堪えられない。何が理由で、大事な七輝の死を二度も見なくてはならないのだ。
『違うの!そうじゃないの』
隣の七輝の顔をそろそろと見る。彼女は泣きそうな顔をしていた。
『私が悪いの!』
「……七輝?」
『二回目も呼吸が出来なくて辛かったけど、でも、いつまで苦しみが続くのかってそっちの方が怖くて……」




