Rem:12 お出かけ計画5
駅に着いて少し歩き、こじんまりとした別荘に着いた。
そんなに広くはないけれど、この人数なら過ごせるだろう。
鍵を持った光がドアを開け、皆は中に入った。
「女の子は寝るときも部屋ね。男はリビングにごろ寝」
簡単に説明をし……。
「それじゃあ早速、お着替えタイムー!」
わあっとはしゃいで、それぞれに散った。女の子は二手に分かれ、寝室に入る。ドアを閉める前、
「あんたたち、覗かないでよ!」
と、念押し。
「見るわけねえじゃん」
にやにやしながらクラスメイトの一人が言うと、疑われる。
「あんたのその顔、怪しいーっ」
「いいから着替えてこい。だいたい、女は着替えに時間かかるんだから」
「はいはい。瀬谷くん!」
男女で冗談の言い合いをしている中、慎は顔を上げた。
「こいつらが変なことをしないか、見張っててね!」
「何で瀬谷の場合はそうなるんだよ?」
「瀬谷くんは、そういうことをしなさそうなんだもん。やっぱり、普段の行いよね!」
「異義あり!」
「異議なし!」
女の子は笑いながら言い、部屋の戸を閉めた。
慎たちもリビングで手早く着替えた。予想通り、着替えは女の子たちの方が遅かった。
「まだかよー」
誰かが小声で呟いたとき、やっと部屋の扉が開いた。
「お待たせ!」
「おいおい。何でお前らは全員Tシャツやら上着を着てるんだよ。もっとオープンにだな」
「エローっ!バカ!海に入る前にちゃんと脱ぐわよ。だいたい、瀬谷くんだって着てるじゃない」
おっしゃる通り、慎も薄手の上着を来ていた。
「瀬谷……。何でお前は、女でもないのにそうなるんだ」
クラスメイトが、慎の肩をつかんで頭を落とした。
「……んー」
「さてはお前、皆で銭湯行っても、一人だけ隠すタイプだろ」
「お下劣!」
ビシッ!女の子の一人が頭を叩き、クラスメイトを止めた。それを見て、光が笑いながら仲裁する。
「はいはい。ケンカはその辺で。海に行きたくないの?」
「行きたいー!」
「じゃ、仲良くな。元気がいいのは良いことだけどなー。出発しまーす」
うまく皆をまとめ、外に出るようにリアクションで促す。全員はぞろぞろと外に出て、光と慎は最後にドアをくぐり、鍵を閉めた。




