Rem:6 奇跡のはじまり4
「え?何で?」
光は質問の主に、聞き返す。
「だって、あんまり喋ってくれないし」
「うん。何を考えてるのか、ちょっと読めないっていうところはあるかな」
ね、と彼女たちは顔を見合わせる。
「そんなに、お堅い奴じゃないよ。聞けば答えるでしょ?」
「まあ、それはそうなんだけど……」
歯切れの悪い言い方に、光は『ん?』と首を傾げた。
「えっと……。こんな言い方したら良くないかもしれないけど、彼はあんまりあたし達のことをよく思っていないのかなー?とか」
「いやいや。それはないよ」
光は手を振って否定した。
「まあ、普段からあんな感じっていうのは言えるかな」
光に同調して、クラスメイトが頷いた。
「そうなんだ」
「まこは、すっげーいい奴よ。気になるのなら、本人にいろいろ聞いてみたら?俺も最初は話しかけたら逃げられたし」
「え?逃げた?」
「うん。脱兎の如く。例えるなら、ジャイ○ンに追いかけられるの○太みたいな?そりゃ孟ダッシュで」
光は笑った。つられて皆も笑う。
「でもあんな態度になるのも、人見知りだからなんだよ」
「へーえ」
「逃げられた話を聞きたい?」
光の言葉に、頷きが返ってくる。
「あ。私、ちょっと抜けるね?」
話が始まる前に、入口近くに座っていた少女が立ち上がった。
「えー!七輝、話聞かないの?」
「うん。すぐ戻るから」
七輝と呼ばれた少女が出ていき、光が話し始める。
「初めて会ったきっかけはな。まこが小学四年の時に、転校をしてきたからなんだ」




