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あなたはいつも天才でした  作者: 佐倉 弥生
第1章 「始まりの日たち」
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第1章 プロローグ

 はじめて、にっき、というものをかきます。

 文字をおぼえはじめたのだからと、お父さまがおすすめしてくれました。

 えほんや、おはなしがすきなわたくしなら、きっと「ぶんしょう」をかくこともすきだろうと、すすめてくださったのです。

 お父さまはいそがしいのに、わたくしのことも気にかけてくださるし、マホウも上手だし、すごいっておもいます。だから、だいすきです。

 だいすきなの人はほかにもいます。となりのりょうちにすむ、わたくしのおさななじみの…なまえをいうのははずかしいし、お母さまはたぶんはしたないというので、「ゼット」とにっきではかくことにします。

 わたくしも、さいきん自分のことはなまえじゃなくて、「わたくし」というし、せっかくだしにっきの中だけならなまえで自分をよんでもいいとおもうので、こちらもかりのなまえで「エイ」ということにします。

 ちょっとものがたりのしゅじんこうのきぶんです。




 今日は昔の日記を読み返しました。しかも1冊目、初めて日記を書いた日のものからです。大変懐かしい気持ちにもなりましたが、少し罪悪感もわきました。紙が特産品の我が領地では日記もそれを生かしたお土産や名産の一つですが、子供にそれをやらせるのは今思うと中々に勿体ないと感じます。文字は無駄に大きいし、そのくせ難しい言葉や文字は使えないので、情報量は少ないんですものね。子供の頃のものとは言え、自分が書いたものがここまで拙かったと思うと大変恥ずかしく、日記が欲しい他の人々に申し訳なさも出てきます。紙は安くなく、インクもそうです。それを大量に使う日記は今はそうでもないですが、10年以上前の当時でしたらお父様はそこそこの金額を払ったのではないでしょうか…。今でも所謂親バカなお父様ですが、この頃は特に酷かったと思うので多分お母様に私が見えない所で怒られたのでしょう。お母様は倹約家ですしね。

 それにしても、1日目から私がゼットの話を出しているのは少し苦いものがありました。そう考えると、なんとも長い初恋で、片思いでしょうね。自分のしぶとさ、もとい粘り強さには呆れます。その性格だから日記も続けているのですが。

 さて、明日はいよいよ学園に入学の日です。寮の方は思ったよりも居心地が良いので、ちゃんと眠って入学式に出られそうです。明日は気を引き締めないといげせんからね。なんてたって、ゼットが入学の挨拶をするのですから。出来るだけ、ちゃんと見ていたいのです。

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