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異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに  作者: タカハシ ヒロ
第八章 光営業

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中元、開き直る


 真乃ちゃんと一通りイチャイチャし終えた俺は、恋人繋ぎをしながらホテルを出た。

 体操着姿のJCとこんな真似をしていたら、即通報が社会常識なはずだが、今の俺は隠蔽魔法のおかげで完全犯罪を成し遂げている。


 道端に落ちている中学生は、周りに見られていないなら食べて構わない。

 三秒ルールみたいなものである。


「……」


 なんだろう。

 これもう全然勇者の思考じゃない気がする。

 

 確かに俺は、以前の反省を踏まえて考えを改めた。

 無自覚に色んな女を惚れさせたくせに、エルザ一筋だったせいでパーティーを崩壊させた、天然サークラ野郎。そんな自分を変えたくて、今度はオープンにハーレムを求めるようになったのだが……。


 流石にここまでくると、人間失格ではなかろうか……。

 

 一人でもやもやしていると、突然真乃ちゃんが足を止めた。

 何事かと思って目を向けてみれば、何やら切なげな表情で俺を見上げている。


「中元さん」

「なんだ?」

「ちゅーしたい」


 まったく、中学生は最高だぜ。

 俺は身をかがめ、真乃ちゃんの唇に吸いつく。

 さっきから五分おきにキスをねだってくるのだが、成長期の性欲ってすげえなあとしか言いようがない。

 おじさん身が持たないよこれじゃ。


 このままずっと十四歳の絞り汁を啜っていたくもあるのだが、残念ながらこの世には時間というものが存在する。


「どうする真乃ちゃん? 君は今日、どこに帰るんだ?」

「……家はやだ。お父さんが帰ってきたら、どうせまた変なお仕事に連れてかれる」

「だろうな。当分はどこか遠方のホテルに泊まるという線も――」

「中元さんのお家がいい」

「……」


 しょうがねえなあ。

 俺は嫌なんだけどな?

 気が進まないんだけどな?


「でも俺の家、女の子がたくさん出入りしてんだよね」

「え……リオって人だけじゃないんですか?」

「見損なったかな」

「ちょ、ちょっと考えさせて下さい」


 俺はスマホを取り出し、これ見よがしに通話を始める。


「もしもし、綾子ちゃんか? もうちょっとしたら帰るよ。でさ、今日は客が来るから多目に作っといてくんない? え? よくわかるね。そうだよ、また女の子なんだ。ごめん、悪いとは思ってる。わかったわかった、今度また一緒にお風呂入ろう? ああうん、愛してるよ。んじゃアンジェに代わってくれる?……おうアンジェか。うん、そうなんだ。違う違う、事情があるんだって。お詫びにHしてほしい? うーん……考えとく。ん? うん、俺も愛してるよ。あ、フィリアに代わってくれるか?」

 

 青ざめた顔の真乃ちゃんを、ちらりと横目で見やる。


 これで俺を見限ってくれるなら、それはそれでよし。

 いくらなんでも幼過ぎるし、この子のためを考えるなら俺に幻滅した方がいいだろう。

 あえて嫌われるような真似をする、というおっさんなりの思いやりなのである。


 だがもし、これでもついてくるというなら――


「わ、私、他の子には負けませんから!」


 ――落ちたか。

 

 この子もアンジェリカ達と同じで、嫉妬で燃え上がるタイプなようだ。

 ほんと女の子のジェラシーってのは、諸刃の剣だよな。本人にとっても、周囲にとっても。


「私……中元さんに彼女がいても……愛人がいても……構わないから……だから、傍に……」


 俺は真乃ちゃんの頭をくしゃくしゃとかき回し、「いい子だ」と囁く。

 良心はズキズキと痛み続けているが、それと同じくらい達成感もあった。

 

 俺は一人でも強い子供を残すよう、国家に期待された種馬。

 実際、俺の血を引いた子がスキルを受け継ぐ可能性はゼロではないんだし――

 ハーレムメンバーを増やすのは、善行なのだと思うことにしよう。

 

「じゃ、俺ん家に行こうか」


 再びスマホを操作し、権藤を呼びつける。

 

「俺だ。今すぐ車出せよ。できるだろ?」


 ヤクザを私的なタクシーとして利用する、お笑い芸人。色々危うい関係性だと思うが、真乃ちゃんは「怖い人達も従わせちゃってるんですね」ときらきらした目を向けてくる。

 悪っぽい男に憧れるのはJCの本能だもんな。あれは本当に謎である。


 俺は通話を終えると、真乃ちゃんの顎や腋をくすぐって時間を潰した。

 こちらとしては子猫とじゃれているような感覚だが、【鈴木真乃の好感度が1000上昇しました】というメッセージが何度も表示されたため、向こうは違う解釈をしたらしい。

 そうして三十分ほど遊んでいただろうか。


 女子中学生ってちょれえなあ、と人類の風上にも置けない感想を抱いていると、黒塗りのベンツが周囲の車に道を譲られながら現れた。

 うむ、中々早くてよろしい。


 俺は隠蔽魔法を解除し、右手を上げて位置を伝える。

 権藤の方も気付いたらしく、クラクションを鳴らして合図してきたが……。


「ん?」


 よく見るとベンツの後ろに、ドムドムと音楽を鳴らしたガラの悪そうなワゴンが迫っている。

 しかも一台ではない。二台、三台、四台……大名行列じゃあるまいし。

 よく見るとベンツの運転手は今にも死にそうな顔をしているし、権藤は開き直ったような笑みを浮かべている。


「あのバカ……」


 つまりこいつは、半グレ集団に追い回されて来たと。

 実にわかりやすいストーリーだった。

 しょうがない、ちっと一暴れするか。

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