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異世界帰りのおっさんは、父性スキルでファザコン娘達をトロトロに  作者: タカハシ ヒロ
第八章 光営業

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彼女収集家


 真乃ちゃんを手懐けるのに成功した俺は、替えの下着を買うために一端外に出ることを申し出た。


「んじゃ留守番頼むよ」


 備え付けの電話を手に取り、フロントに連絡を入れる。

 十八歳未満の利用を認めた極悪ラブホなくらいだし、ヤクザみたいな輩に繋がるのかなーと思いきや、受話器の向こうからは穏やかなお姉さん声が聞こえてくる。


『かしこまりました、しばらくお待ち下さい』


 数十秒後。

 ロックが外されたのを確認すると、俺は速やかに部屋を出た。

 あとは真乃ちゃんの下着を買うだけだが……確かこういうところは、自動販売機のコーナーに色々置いてあるはずだ。

 早足で廊下を進み、目的の場所へ急ぐ。


「おっ」

 

 予想は的中。

 避妊具や飲料と並んで、女性用ランジェリーが売られているのを見つけた。

 ありがたいことにコスプレ衣装まであって、しかも『買い取り可能』の表記まで貼られている。

 少し料金は高めだが、これで着替え問題は完全に解決したことになる。


「……」


 いや、違う。

 確かに当初の問題は解決したが、今度は新たな問題が生じてしまった。

 

 ――場所が場所なせいか、過激なデザインの下着しか売られていないのである。

 しかもコスプレ衣装が、無駄にバリエーション豊富なのである。

 どれを買えばいいのか、すこぶる悩ましいのである……!


 まずはパンツから選ぶことにしてみるが……。


「無難にピンクか?」


 でもこれ、女子中学生に穿かせたら禁固刑食らいそうなくらい面積が小さいんだよな。

 かといってあっちの白いやつは、アンジェリカの巫女装束並みに透け透けだし。罰金刑って感じだし。

 となると真ん中の黒いパンツが一番大人しいデザインなのか……ってよく見たら股間が丸出しになる構造じゃねえかお前、こんなの未成年に与えたら国外退去食らうわ。


 この中でまだ情状酌量の余地がある方なのは、最初のピンクか。

 いささか露出は多いかもしれないが、中身が見えるようなものを穿かせるよりはマシであろう。

 うむ、決まりだ。


 お次は衣装の番だが、セーラー服、アイドル風タータンチェック、体操服&ブルマ、チャイナドレス、婦警さん、ナース服、メイド服、と着たまま外を出歩くのは不可能そうなラインナップだった。


 とはいえ使うのは下半分なわけだし、上半身のデザインは無視すればいいだけの話。

 まあ……この婦警さん衣装を買えばいいか。下はただの黒いミニスカートに見えなくもないし。

 なんだかんだで配慮のあるチョイスになったな、と己の良心に安堵しながら硬貨を投入する。


 そうして俺は、真っ白な透け透けパンツと体操服、及びブルマを購入したのだった。


 ……え?

 いやなんで!?


 確かにこの組み合わせが一番真乃ちゃんの幼さを強調しながらエロ可愛くできるとは思ったけど、指が勝手に動くほどのアイディアかよそれ!?


 ……もしかしたら女の子に可愛い服を着せたいという衝動は、性欲とは全く無関係の場所から出てくるのかもしれない。絶賛賢者モード中なのにベスト衣装を選んじゃったくらいだし、人間には生来的に美少女を着せ替え人形にしたい、という本能が備わっているのかもしれない。

 だから俺のせいじゃないのかもしれない。

 今度はナース服と股間丸出し黒パンツを買っちゃったけど、やはり俺のせいではないのかもしれない。


 気が付くと俺は、自販機で販売中の下着と衣装をフルコンプするという偉業を成し遂げていた。


「……どうすんだよこれ……」


 選択肢が多いのはいいことかもしれないが、「このおっさんきもっ、私でコスプレ遊びする気?」とドン引きされるのではなかろうか。

 変に懐かれるより後腐れがなくていいのかもしれないけどよ。

 そんなことを考えながら部屋に戻ると、真乃ちゃんは「わぁ、可愛い服!」と大喜びで抱き着いてきたあげく、【鈴木真乃の好感度が500上昇しました】というシステムメッセージが表示された。


「エロめの衣装ばっかだけど、大丈夫? いや俺もどうかと思ったんだけど、こういうのしか売ってなくてさ」

「全然おっけーですよ。だって彼氏の好みなんですし、そっちに寄せるのは当然じゃないですか」

「ははは。尽くすタイプなんだな。って彼氏?」

「え? 私と中元さんってもう付き合ってるってことでいいんですよね?」

「は?」


 何言ってんだこの十四歳。

 俺とこの子ってまだラブホに入っておっぱい揉みながらディープキスしただけの関係じゃん。その程度じゃ全然恋人同士とは言え……あれ? 言えるな? 

 めっちゃ言い逃れできねえな?


「どれ着よっかなー」


 はしゃぎながら衣装選びを行なう少女を、茫然と眺めることしかできない俺がいた。

 ……ごめん真乃ちゃん。俺は多分、君の気持ちに応えることがでいない。

 だって俺にはもう、守ると決めた女がいる。


 俺を地獄から救い上げてくれたアンジェリカ。

 エルザの面影で俺を癒してくれるリオ。

 手料理で俺を支えてくれる綾子ちゃん。

 今では最強の味方と化したフィリア。

 頼れる参謀兼抱き枕のエリン。

 甘えん坊で凛々しい実の娘クロエ。

 番組で面倒を見てるうちに距離が縮まり、先日俺に告ってきたハーフ子役のエミリー。

 同じ楽屋になると妹のように甘えてくる、アイドルの樹里。

 恋愛禁止なグループに所属してるはずなのに、ロケ先の旅館で俺にキスをしてきたアイドルの咲良。

 バラエティ番組で俺の筋肉を触って以来、やたらと馴れ馴れしいグラビアアイドルのタカコ。

 楽屋で悪ふざけして押し倒したら、彼女面をしてくるようになったタカコの後輩、ミナミ。

 この前共演してから時々デートするようになった、女子アナの瞳。

 俺の追っかけの一般人、瑞穂ちゃんと愛菜ちゃんと碧ちゃん。

 ADの美里ちゃん……吉浦さん……あと早坂さんと加藤さんの婦警コンビもそろそろ落ちそうだし……リオのおふくろさんとも最近メールのやり取りしてるし……。


 うん。

 冷静に考えたら今さら一人増えたところで、大して変わんねえなこりゃ。 

 というわけで俺は、真乃ちゃんの好意を受け入れることにした。

 年齢が年齢なのでお手付きするわけにはいかないし、育成枠として配下登録を済ませておくとしよう。

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